前に戻る 歴代志略下 🔝

 

〘789㌻〙

第1章

1 ダビデの子こソロモン堅かたくその國くににたてりその神かみヱホバこれとともに在いまして之これを甚はなはだ大おほいならしめたまひき 2 茲こゝにソロモン、イスラエルの一切すべての人々ひと〴〵すなはち千せん人にんの長かしら百ひやく人にんの長かしら裁判󠄄人さばきびとならびにイスラエルの全󠄃地ぜんちの諸すべての牧伯等つかさたち宗家そうけの長ちやうなどに吿つぐる所󠄃ところあり 3 而しかしてソロモンおよび全󠄃ぜん會衆くわいしうともにギベオンなる崇邱たかきところに往󠄃ゆけりヱホバの僕しもべモーセが荒野あれのにて作つくりたる神かみの集會しふくわいの幕屋まくやかしこにあればなり 4 されど神かみの契󠄅約けいやくの櫃はこはダビデすでにキリアテヤリムよりこれが爲ために備そなへたる處ところに携たづさへ上のぼれりダビデ曩さきにヱルサレムにて之これが爲ために幕屋まくやを張はりまうけたりき 5 またホルの子こウリの子こなるベザレルが作つくりたる銅あかがねの壇だん彼處かしこにおいてヱホバの幕屋まくやの前󠄃まへにありソロモンおよび會衆くわいしうこれに就つきて求もとむ 6 即すなはちソロモン彼處かしこに上のぼりゆき集會しふくわいの幕屋まくやの中うちにあるヱホバの前󠄃まへなる銅あかがねの壇だんに就つき燔祭はんさい一千せんを其その上うへに献さゝげたり

7 その夜よ神かみソロモンに顯あらはれてこれに言いひたまひけるは我われなんぢに何なにを與あたふべきか求もとめよ 8 ソロモン神かみに申まうしけるは汝なんぢは我わが父󠄃ちゝダビデに大おほいなる恩惠めぐみをほどこし又󠄂また我われをして彼かれに代かはりて王わうとならしめたまへり 9 今いまヱホバ神かみよ願ねがはくは我わが父󠄃ちゝダビデに宣のたまひし事ことを堅かたうしたまへ其そは汝なんぢ地ちの塵ちりのごとき衆多おほくの民たみの上うへに我われを王わうとなしたまへばなり 10 我わが此この民たみの前󠄃まへに出で入いりすることを得えんために今いま我われに智慧󠄄ちゑと智識ちしきとを與あたへたまへ斯かくのごとき大おほいなる汝なんぢの民たみを誰たれか鞫さばきえんや 11 神かみソロモンに言いひたまひけるは此事このことなんぢの心こゝろにあり汝なんぢは富有󠄃とみをも財寳たからをも尊󠄅貴たふときをも汝なんぢを惡にくむ者ものの生命いのちをも求もとめずまた壽長いのちながからんことをも求もとめず惟たゞ智慧󠄄ちゑと智識ちしきとを己おのれのためにもとめて我わが汝なんぢを王わうとなしたる我民わがたみを鞫さばかんとすれば 12 智慧󠄄ちゑと智識ちしきは已すでに汝なんぢに授さづかれり我われまた汝なんぢの前󠄃さきの王等わうたちの未いまだ得えたること有󠄃あらざる程󠄃ほどの富有󠄃とみと財寳たからと尊󠄅貴たふときとを汝なんぢに與あたへん汝なんぢの後のちの者ものもまた是かくのごときを得えざるべし
 789㌻ 
13 斯かくてソロモンはギベオンの崇邱たかきところを去さり集會しふくわいの幕屋まくやの前󠄃まへを去さりてヱルサレムに歸かへりイスラエルを治をさめたり

14 ソロモン戰いくさ車ぐるまと騎兵きへいとを集あつめしに戰車いくさぐるま一千せん四百ひやく輛りやう騎兵きへい一萬まん二千せん人にんありきソロモンこれを戰車いくさぐるまの邑々まち〳〵に置おき又󠄂またヱルサレムにて王わうの所󠄃ところに置おけり 15 王わう銀ぎんと金きんとを石いしのごとくヱルサレムに多おほからしめまた香柏かうはくを平󠄃野ひらのの桑くはの樹きのごとく多おほからしめたり 16 ソロモンの有󠄃もてる馬むまは皆みなエジプトよりひききたれり王わうの商買あきうど一群ひとむれ一群ひとむれとなして之これを取とりいだし群むれごとに價金あたひをはらへり〘608㌻〙 17 エジプトより取とりいだして携たづさへ上のぼる戰車いくさぐるま一輛りやうは銀ぎん六百ぴやく馬むま一匹󠄃ぴきは百ひやく五十なりき是かくのごとくヘテ人びとの諸すべての王等わうたちおよびスリアの王等わうたちのためにもその手てをもて取とりいだせり

第2章

1 茲こゝにソロモン、ヱホバの名なのために一ひとつの家いへを建󠄄たてまた己おのれの國くにのために一ひとつの家いへを建󠄄たてんとし 2 ソロモンすなはち荷にを負󠄅おふべき者もの七萬人まんにん山やまにおいて木きや石いしを斫きるべき者もの八萬人まんにん是等これらを監督かんとくすべき者もの三千ぜん六百ぴやく人にんを數󠄄かぞへ出いだせり 3 ソロモンまづツロの王わうヒラムに人ひとを遣󠄃つかはして言いはしめけるは汝なんぢはわが父󠄃ちゝダビデにその住󠄃すむべき家いへを建󠄄たつる香柏かうはくをおくれり請󠄃こふ彼かれになせしごとく亦また我われにもせよ 4 今いま我われわが神かみヱホバの名なのために一ひとつの家いへを建󠄄たて之これを聖󠄃別きよめて彼かれに奉たてまつり彼かれの前󠄃まへに馨かうばしき香かうを焚たき常つねに供前󠄃そなへのパンを供そなへ燔祭はんさいを朝󠄃夕あさゆふに献さゝげまた安息日あんそくにち月󠄃朔ついたちならびに我われらの神かみヱホバの節󠄄期せちゑなどに献さゝげんとす是これはイスラエルの永ながく行おこなふべき事ことなればなり 5 我わが建󠄄たつる家いへは大おほいなり其そは我われらの神かみは諸よろづの神かみよりも大おほいなればなり 6 然さりながら天てんも諸しよ天てんの天てんも彼かれを容いるること能あたはざれば誰たれか彼かれのために家いへを建󠄄たつることを得えんや我われは何人なにびとぞや爭いかでか彼かれのために家いへを建󠄄たつることを得えん唯たゞ彼かれの前󠄃まへに香かうを焚たくためのみ 7 然されば請󠄃こふ今いま金銀きんぎん銅どう鐵てつの細工さいくおよび紫むらさき赤あか靑あをの製造󠄃せいざうに精くはしく雕刻󠄂てうこくの術󠄃じゆつに巧たくみなる工人こうじん一箇ひとりを我われに遣󠄃おくり我わが父󠄃ちゝダビデが備そなへおきたるユダとヱルサレムのわが工人こうじんとともに操作はたらかしめよ
 790㌻ 
8 請󠄃こふ汝なんぢまた香柏かうはく松󠄃木まつのきおよび白びやく檀󠄂だんをレバノンより我われにおくれ我われなんぢの僕しもべ等どもがレバノンにて木きを斫きることを善よくするを知しるなり我わが僕しもべまた汝なんぢの僕しもべと共ともに操作はたらくべし 9 是かくのごとくして我わがために材木ざいもくを多おほく備そなへしめよ其そは我わが建󠄄たてんとする家いへは高大かうだいを極きはむる者ものなるべければなり 10 我われは木きを斫きる汝なんぢの僕しもべに搗つき麥むぎ二萬まん石ごく大おほ麥むぎ二萬まん石ごく酒さけ二萬まんバテ油あぶら二萬まんバテを與あたふべしと

11 是こゝにおいてツロの王わうヒラム書ふみをソロモンにおくりて之これに答こたへて云いふヱホバその民たみを愛あいするが故ゆゑに汝なんぢをもて之これが王わうとなせりと 12 ヒラムまた言いひけるは天地てんちの造󠄃主つくりぬしなるイスラエルの神かみヱホバは讃ほむべきかな彼かれはダビデ王わうに賢かしこき子こを與あたへて之これに分󠄃別ふんべつと才智さいちとを賦さづけ之これをしてヱホバのために家いへを建󠄄たてまた己おのれの國くにのために家いへを建󠄄たつることを得えせしむ 13 今いま我われわが達󠄃人たつじんヒラムといふ才智さいちある工人こうじん一人ひとりを汝なんぢにおくる 14 彼かれはダンの子孫しそんたる婦󠄃をんなの產うめる者ものにて其その父󠄃ちゝはツロの人ひとなるが金銀きんぎん銅どう鐵てつ木ぼく石せきの細工さいくおよび紫むらさき布ぬの靑あを布ぬの細布ほそぬの赤あか布ぬのの織法おりかたに精くはしく又󠄂また能よく各種もろ〳〵の雕刻󠄂てうこくを爲なし奇巧たくみを凝こらして諸もろ〳〵の工わざをなすなり然されば彼かれを用もちひてなんぢの工人こうじんおよび汝なんぢの父󠄃ちゝわが主しゆダビデの工人こうじんとともに操作はたらかしめよ〘609㌻〙 15 是これについては我わが主しゆの宣のたまへる小麥こむぎ大おほ麥むぎ油あぶらおよび酒さけをその僕しもべ等どもに遣󠄃おくりたまへ 16 汝なんぢの凡すべて需もとむるごとく我われらレバノンより木きを斫きりいだしこれを筏いかだにくみて海うみよりヨツバにおくるべければ汝なんぢこれをヱルサレムに運󠄃はこびのぼりたまへと

17 ここにおいてソロモンその父󠄃ちゝダビデが核󠄂數󠄄かぞへしごとくイスラエルの國くににをる異邦󠄆人ことくにびとをことごとく核󠄂數󠄄かぞへみるに合あはせて十五萬まん三千ぜん六百ぴやく人にんありければ 18 その七萬人まんにんをもて荷にを負󠄅おふ者ものとなし八萬人まんにんをもて山やまにて木きや石いしを斫きる者ものとなし三千ぜん六百ぴやく人にんをもて民たみを操作はたらかしむる監督かんとく者しやとなせり
 791㌻ 

第3章

1 ソロモン、ヱルサレムのモリア山やまにヱホバの家いへを建󠄄たつることを始はじむ彼處かしこはその父󠄃ちゝダビデにヱホバの顯あらはれたまひし所󠄃ところにて即すなはちヱブス人びとオルナンの打うち場ばの中うちにダビデが備そなへし處ところなり 2 之これを建󠄄たつることを始はじめたるはその治世ぢせいの四年ねんの二月󠄃ぐわつ二日ふつかなり 3 神かみの家いへを建󠄄たつるためにソロモンの置すゑたる基もとゐは是かくのごとし長ながさ六十キユビト濶ひろさ二十キユビト皆みな古いにしへの尺しやくに循したがふ 4 家いへの前󠄃まへの廊らうは家いへの濶ひろさにしたがひてその長ながさ二十キユビトまたその高たかさは百ひやく二十キユビトその內うちは純金じゆんきんをもて蔽おほふ 5 またその大おほ殿とのは松󠄃まつの木きをもて張はりつめ美よき金こがねをもて之これを蔽おほひその上うへに棕櫚しゆろと鏈索くさりの形かたちを施ほどこし 6 また寳はう石せきをもてその家いへを美うるはしく飾󠄃かざるその金きんはパルワイムの金きんなり 7 彼かれまた金きんをもてその家いへその樑はりその閾しきみその壁かべおよびその戶とを蔽おほひ壁かべの上うへにケルビムを刻󠄂ほりつく

8 また至いと聖󠄃所󠄃きよきところの家いへを造󠄃つくりしがその長ながさは家いへの濶ひろさにしたがひて二十キユビトその濶ひろさも二十キユビト、美よき金こがねをもてこれを蔽おほふその金きん六百ぴやくタラント 9 その釘くぎの金きんは重おもさ五十シケルまた上うへの室しつも金きんにて覆󠄄おほふ

10 また至いと聖󠄃所󠄃きよきところの家いへの內うちに刻󠄂ほり鐫ちりばめたる二ふたつのケルビムを造󠄃つくり金きんをこれに覆󠄄おほふ 11 そのケルビムの翼󠄅つばさは長ながさ二十キユビト此このケルブの一ひとつの翼󠄅つばさは五キユビトにして家いへの壁かべに達󠄃たつしその他ほかの翼󠄅つばさも五キユビトにして彼かのケルブの翼󠄅つばさに達󠄃たつす 12 また彼かのケルブの一ひとつの翼󠄅つばさは五キユビトにして家いへの壁かべに達󠄃たつしその他ほかの翼󠄅つばさも五キユビトにして此このケルブの翼󠄅つばさと相あひ接まじはる 13 是等これらのケルビムの翼󠄅つばさはその舒のびひろがること二十キユビト共ともにその足あしにて立たちその面かほを家いへに向むく 14 彼かれまた靑あを紫むらさき赤あかの布ぬのおよび細布ほそぬのをもて障蔽へだての幕まくを作つくりケルビムをその上うへに繍ぬふ〘610㌻〙

15 また家いへの前󠄃まへに柱󠄃はしら二本ふたつを作つくるその高たかさは三十五キユビトその頂いたゞきの頭かしらは五キユビト 16 また環󠄃わ飾󠄃かざりを造󠄃つくり鏈索くさりを之これに繞めぐらしてこれを柱󠄃はしらの頂いたゞきに施ほどこし石榴ざくろ一百ぴやくをつくりてその鏈索くさりの上うへに施ほどこす 17 この柱󠄃はしらを拜殿はいでんの前󠄃まへに竪たてて一本ひとつを右みぎに一本ひとつを左ひだりに置すゑ右みぎなる者ものをヤキンと名なづけ左ひだりなる者ものをボアズと名なづく
 792㌻ 

第4章

1 ソロモンまた銅あかがねの壇だんを作つくれりその長ながさ二十キユビト濶ひろさ二十キユビトその高たかさ十キユビト 2 また海うみを鑄い造󠄃つくれり此この邊󠄎ふちより彼かの邊󠄎ふちまで十キユビトにしてその周󠄃圍󠄃まはりは圓まろくその高たかさは五キユビトその周󠄃圍󠄃まはりには三十キユビトの繩󠄂なはをめぐらすべし 3 その下したには牛うしの像󠄃かたちありてその周󠄃圍󠄃まはりを繞めぐる即すなはち一キユビトに十とを宛づつありて海うみの周󠄃圍󠄃まはりを繞めぐれり此この牛うしは二ふた行ならびにして海うみを鑄いる時ときに鑄い付つけたるなり 4 その海うみは十二の牛うしの上うへに立たてりその三みつは北きたにむかひ三みつは西にしにむかひ三みつは南みなみにむかひ三みつは東ひがしにむかふ海うみはその上うへにありて牛うしの後うしろはみな內うちにむかふ 5 その厚あつさは手て寛はばその邊󠄎ふちは百合花ゆり形がたにして杯さかづきの邊󠄎ふちの如ごとくに作つくれり是これは三千バテを受うけ容いる 6 彼かれまた洗盤はち十箇とをを作つくりて五箇いつつを右みぎに五箇いつつを左ひだりに置すゑたり是これはものを洗あらふ所󠄃ところにして燔祭はんさいの品しなをその中なかにて灌そゝぐ海うみは祭司さいしが其その身みを洗あらふ處ところなり

7 また金きんの燈臺とうだい十とををその例規さだめに從したがひて作つくり拜殿はいでんの中うちに五いつつを右みぎに五いつつを左ひだりに置おき 8 また案つくゑ十とをを作つくりて拜殿はいでんの中うちに五いつつを右みぎに五いつつを左ひだりに据すゆ又󠄂また金きんの鉢はち一百ぴやくを作つくれり 9 彼かれまた祭司さいしの庭󠄄にはと大庭󠄄おほにはおよび庭󠄄にはの戶とを作つくり銅あかがねをもてその扉󠄆とびらを覆󠄄おほふ 10 海うみは東ひがしのかた右みぎの方かたに置すゑて南みなみに向むかはしむ 11 ヒラムまた鍋なべと火鏟じふのうと鉢はちとを作つくれり  斯かくヒラムはソロモン王わうのためになせる神かみの家いへの諸もろ〳〵の工事わざを終󠄃をへたり

12 即すなはち二ふたつの柱󠄃はしらと毬たまとその二ふたつの柱󠄃はしらの頂いたゞきの頭かしらおよびその柱󠄃はしらの頂いたゞきなる頭かしらの二ふたつの毬たまを包󠄃つゝむ二ふたつの網󠄄工あみもの 13 ならびに其そのふたつの網󠄄工あみものの上うへにほどこす石榴ざくろ四百ひやくこの石榴ざくろは各々おの〳〵の網󠄄工あみものの上うへに二ふた行ならびづつありて柱󠄃はしらの頂いたゞきなる頭かしらの二の毬たまを包󠄃つゝむ 14 また臺だいを作つくり臺だいの上うへの洗盤はちを作つくれり 15 また一ひとつの海うみとその下したなる十二の牛うし 16 および鍋なべ火鏟じふのう肉󠄁叉にくさしなどヱホバの家いへの諸もろ〳〵の器具󠄄うつはものを達󠄃人たつじんヒラム ソロモン王わうの爲ために作つくりたり是これみな磨󠄃みがき銅あかがねなり
 793㌻ 
17 王わうヨルダンの窪地くぼちに於おいてスコテとゼレダタの間あひだの黏土ねばつちの地ちにて是等これらを鑄いさせたり 18 是かくのごとくソロモン是これらの諸もろ〳〵の器皿うつはものを甚はなはだ多おほく造󠄃つくりたればその銅あかがねの重おもさは測はかられざりき

19 ソロモン神かみの家いへの一切すべての器皿うつはものを造󠄃つくれり即すなはち金きんの壇だん供前󠄃そなへのパンを載のする案つくゑ〘611㌻〙 20 また定規さだめのごとく神殿しんでんの前󠄃まへにて火ひをともすべき純金じゆんきんの燈臺とうだいおよびその燈盞ともしびざら 21 その花はなその燈盞ともしびざらその燈鉗しんかき是等これらは金きんの純じゆん精せいなる者ものなり 22 また剪刀はさみ鉢はち匙さじ火盤ひざら是等これらも純金じゆんきんなり又󠄂また家いへの內うちの戶とすなはち至いと聖󠄃所󠄃きよきところの戶とおよび拜殿はいでんの戶との肘鈕ひじつぼ是これも金きんなり

第5章

1 斯かくソロモンがヱホバの家いへのために爲なせる一切すべての工事こうじをはれり是こゝにおいてソロモンその父󠄃ちゝダビデが奉納󠄃をさめたる物ものなる金銀きんぎんおよび諸もろ〳〵の器皿うつはものを携たづさへいりて神かみの家いへの府庫くらの中なかに置おけり

2 茲こゝにソロモン、ヱホバの契󠄅約けいやくの櫃はこをダビデの邑まちシオンより舁かきのぼらんとてイスラエルの長老としより者たちと諸すべての支󠄂派󠄄わかれの長かしら等たちイスラエルの子孫ひと〴〵の宗家そうけの長をさをヱルサレムに召集めしあつめければ 3 イスラエルの人ひとみな七月󠄃ぐわつの節󠄄筵いはひに當あたりて王わうの所󠄃ところに集あつまり 4 イスラエルの長老等としよりたちみな至いたりレビ人びと契󠄅約けいやくの櫃はこを執とりあげ 5 その契󠄅約けいやくの櫃はこと集會しふくわいの幕屋まくやと幕屋まくやにありし諸もろ〳〵の聖󠄃きよき器うつはを舁かきのぼれり即すなはち祭司さいしレビ人びとこれを舁かきのぼりぬ 6 時ときにソロモン王わうおよび彼かれの許もとに集あつまれるイスラエルの會衆くわいしう契󠄅約けいやくの櫃はこの前󠄃まへにありて羊ひつじと牛うしを献さゝげたりしがその數󠄄かず多おほくして書しるすことも數󠄄かぞふることも能あたはざりき 7 かくて祭司さいし等たちヱホバの契󠄅約けいやくの櫃はこをその處ところに舁かきいれたり即すなはち室いへの神殿しんでんなる至いと聖󠄃きよき所󠄃ところの中うちのケルビムの翼󠄅つばさの下したに舁かきいりぬ 8 ケルビムは翼󠄅つばさを契󠄅約けいやくの櫃はこの所󠄃ところの上うへに舒のべケルビム上うへより契󠄅約けいやくの櫃はことその杠さをを掩おほふ 9 杠さを長ながかりければ杠さをの末はしは神殿しんでんの前󠄃まへの契󠄅約けいやくの櫃はこより見みえたり然しかれども外そとには見みえざりき其それは今日こんにちまで彼處かしこにあり 10 契󠄅約けいやくの櫃はこの內うちには二ふた枚ひらの板いたの外ほか何なにもあらず是これはイスラエルの子孫ひと〴〵のエジプトより出いでたる時ときヱホバが彼かれらと契󠄅約けいやくを結むすびたまへる時ときにモーセがホレブにて藏をさめたる者ものなり
 794㌻ 

11 斯かくて祭司さいし等たちは聖󠄃所󠄃せいじよより出いでたり此こゝにありし祭司さいしはみな身みを潔󠄄きよめその班列くみによらずして職務つとめをなせり 12 またレビ人びとの謳歌者うたうたふものすなはちアサフ、ヘマン、ヱドトン及および彼かれらの子等こどもと兄弟きやうだい等たちはみな細布ほそぬのを纒󠄂まとひ鐃鈸ねうはちと瑟しつと琴こととを操とりて壇だんの東ひがしに立たてりまた祭司さいし百二十人にん彼かれらとともにありて喇叭らつぱを吹ふけり 13 喇叭らつぱを吹ふく者ものと謳歌者うたうたふものとは一人ひとりのごとくに聲こゑを齊ひとしうしてヱホバを讃ほめかつ頌󠄃たゝへたりしが彼かれら喇叭らつぱ鐃鈸ねうはち等などの樂器がくきをもちて聲こゑをふりたて善よいかなヱホバその矜憫あはれみは世々よゝ限かぎりなしと言いひてヱホバを讃ほめける時ときに雲くもその室いへすなはちヱホバの室いへに充みてり 14 祭司さいしは雲くもの故ゆゑをもて立たちて奉事つとめをなすことを得えざりきヱホバの榮光えいくわう神かみの室いへに充みちたればなり〘612㌻〙

第6章

1 是こゝにおいてソロモン言いひけるはヱホバは濃あつき雲くもの中うちに居をらんと言いひたまひしが 2 我われ汝なんぢのために住󠄃すむべき家いへ永久とこしなへに居をるべき所󠄃ところを建󠄄たてたりと 3 而しかして王わうその面かほをふりむけてイスラエルの全󠄃ぜん會衆くわいしうを祝しゆくせり時ときにイスラエルの會衆くわいしうは皆みな立たちをれり

4 彼かれいひけるはイスラエルの神かみヱホバは讃ほむべき哉かなヱホバはその口くちをもて吾わが父󠄃ちゝダビデに言いひその手てをもて之これを成󠄃なしとげたまへり 5 即すなはち言いひたまひけらく我われはわが民たみをエジプトの地ちより導󠄃みちびき出いだせし日ひより我わが名なを置おくべき家いへを建󠄄たてしめんためにイスラエルの諸もろ〳〵の支󠄂派󠄄わかれの中うちより何いづれの邑まちをも選󠄄えらみしこと無なく又󠄂また何人なにびとをも選󠄄えらみて我民わがたみイスラエルの君きみとなせしこと無なし 6 只たゞ我われはわが名なを置おくためにヱルサレムを選󠄄えらみまた我民わがたみイスラエルを治をさめしむるためにダビデを選󠄄えらめり 7 夫それイスラエルの神かみヱホバの名なのために家いへを建󠄄たつることは我わが父󠄃ちゝダビデの心こゝろにありき 8 然しかるにヱホバわが父󠄃ちゝダビデに言いひたまひけるは我わが名なのために家いへを建󠄄たつること汝なんぢの心こゝろにあり汝なんぢの心こゝろにこの事ことあるは善よし
 795㌻ 
9 然しかれども汝なんぢはその家いへを建󠄄たつべからず汝なんぢの腰󠄃こしより出いづる汝なんぢの子こその人ひとわが名なのために家いへを建󠄄たつべしと 10 而しかしてヱホバその言いひたまひし言ことばをおこなひたまへり即すなはち我われわが父󠄃ちゝダビデに代かはりて立たちヱホバの言いひたまひしごとくイスラエルの位くらゐに坐ざしイスラエルの神かみヱホバの名なのために家いへを建󠄄たて 11 その中うちにヱホバがイスラエルの子孫しそんになしたまひし契󠄅約けいやくを容いるる櫃はこををさめたりと

12 ソロモン、イスラエルの全󠄃ぜん會衆くわいしうの前󠄃まへにてヱホバの壇だんの前󠄃まへに立たちてその手てを舒のぶ 13 ソロモンさきに長ながさ五キユビト濶ひろさ五キユビト高たかさ三キユビトの銅あかがねの臺だいを造󠄃つくりてこれを庭󠄄にはの眞󠄃中まんなかに据すゑおきたりしが乃すなはちその上うへに立たちイスラエルの全󠄃ぜん會衆くわいしうの前󠄃まへにて膝ひざをかがめ其その手てを天てんに舒のべて 14 言いひけるはイスラエルの神かみヱホバ天てんにも地ちにも汝なんぢのごとき神かみなし汝なんぢは契󠄅約けいやくを保たもちたまひ心こゝろを全󠄃まつたうして汝なんぢの前󠄃まへに步あゆむところの汝なんぢの僕しもべ等どもに恩惠めぐみを施ほどこしたまふ 15 汝なんぢは汝なんぢの僕しもべわが父󠄃ちゝダビデにのたまひし所󠄃ところを保たもちたまへり汝なんぢは口くちをもて言いひ手てをもて成󠄃就なしとげたまへること今日こんにちのごとし 16 イスラエルの神かみヱホバよ然されば汝なんぢが僕しもべわが父󠄃ちゝダビデに語かたりて若もし汝なんぢの子孫しそんその道󠄃みちを愼つゝしみて汝なんぢがわが前󠄃まへに步あゆめるごとくに我わが律法おきてにあゆまばイスラエルの位くらゐに坐ざする人ひとわが前󠄃まへにて汝なんぢに缺かくること無なかるべしと言いひたまひし事ことをダビデのために保たもちたまへ〘613㌻〙 17 然さればイスラエルの神かみヱホバよ汝なんぢが僕しもべダビデに言いひたまへるなんぢの言ことばに效驗しるしあらしめたまへ

18 但たゞし神かみ果はたして地ちの上うへに人ひととともに居ゐたまふや夫それ天てんも諸しよ天てんの天てんも汝なんぢを容いるるに足たらず况まして我わが建󠄄たてたる此この家いへをや 19 然しかれども我わが神かみヱホバよ僕しもべの祈禱いのりと懇願ねがひをかへりみて僕しもべが今いま汝なんぢの前󠄃まへに祈いのるその號呼よばはりと祈禱いのりを聽きゝたまへ 20 願ねがはくは汝なんぢの目めを夜よる晝ひる此この家いへの上うへ即すなはち汝なんぢが其その名なを置おかんと言いひたまへる所󠄃ところの上うへに開ひらきたまへ願ねがはくは僕しもべがこの處ところにむかひて祈いのらん祈禱いのりを聽きゝたまへ
 796㌻ 
21 願ねがはくは僕しもべと汝なんぢの民たみイスラエルがこの處ところにむかひて祈いのる時ときにその懇願ねがひを聽きゝたまへ請󠄃こふ汝なんぢの住󠄃處すみかなる天てんより聽きき聽きゝて赦ゆるしたまへ

22 人ひとその隣人となりびとにむかひて罪つみを犯をかせることありてその人ひと誓ちかひをもて誓ちかふことを要󠄃もとめられんに若もし來きたりてこの家いへにおいて汝なんぢの壇だんの前󠄃まへに誓ちかひなば 23 汝なんぢ天てんより聽きゝて行おこなひ汝なんぢの僕しもべ等らを鞫さばき惡あしき者ものに返󠄄報むくいをなしてその道󠄃みちをその首かうべに歸きし義者ただしきものを義ぎとしてその義ぎにしたがひて之これを待あしらひたまへ

24 汝なんぢの民たみイスラエルなんぢに罪つみを犯をかしたるがために敵てきの前󠄃まへに敗やぶれんに若もしなんぢに歸かへりて汝なんぢの名なを崇あがめ此この家いへにて汝なんぢの前󠄃まへに祈いのり願ねがひなば 25 汝なんぢ天てんより聽きゝて汝なんぢの民たみイスラエルの罪つみを赦ゆるし汝なんぢが彼等かれらとその先祖せんぞに與あたへし地ちに彼等かれらを歸かへらしめたまへ

26 彼かれらが汝なんぢに罪つみを犯をかしたるがために天てん閉とぢて雨あめなからんに彼かれら若もしこの處ところにむかひて祈いのり汝なんぢの名なを崇あがめ汝なんぢが彼かれらを苦くるしめたまふ時ときにその罪つみを離はなれなば 27 汝なんぢ天てんより聽ききて汝なんぢの僕しもべ等らなんぢの民たみイスラエルの罪つみを赦ゆるしたまへ汝なんぢ旣󠄁すでにかれらにその步あゆむべき善よき道󠄃みちを敎をしへたまへり汝なんぢの民たみに與あたへて產業さんげふとなさしめたまひし汝なんぢの地ちに雨あめを降󠄄くだしたまへ

28 若もしくは國くにに饑󠄃饉ききんあるか若もしくは疫病えきびやう枯死ふけ朽腐くさり蟊賊󠄄おほねむし稲蠧いなむしあるか若もしくは其その敵てきかれらをその國くにの邑まちに圍󠄃かこむ等など如何いかなる災禍わざはひ如何いかなる疾病やまひあるとも 29 もし一人ひとり或あるひは汝なんぢの民たみイスラエルみな各々おの〳〵おのれの災禍わざはひと憂患うれへを知しりてこの家いへにむかひて手てを舒のべなば如何いかなる祈禱いのり如何いかなる懇願ねがひをなすとも 30 汝なんぢの住󠄃處すまひどころなる天てんより聽きゝて赦ゆるし各々おの〳〵の人ひとにその心こゝろを知しりたまふごとくその道󠄃々みち〳〵にしたがひて報むくいたまへ其そは汝なんぢのみ人々ひと〴〵の心こゝろを知しりたまへばなり 31 汝なんぢかく彼かれらをして汝なんぢが彼かれらの先祖せんぞに與あたへたまへる地ちに居をる日ひの間あひだつねに汝なんぢを畏おそれしめ汝なんぢの道󠄃みちに步あゆましめたまへ
 797㌻ 

32 且かつ汝なんぢの民たみイスラエルの者ものにあらずして汝なんぢの大おほいなる名なと强つよき手てと伸のべたる腕うでとのために遠󠄄とほき國くにより來きたれる異邦󠄆人ことくにびとにおいてもまた若もし來きたりてこの家いへにむかひて祈いのらば〘614㌻〙 33 汝なんぢの住󠄃處すみかなる天てんより聽きき凡すべて異邦󠄆人ことくにびとの汝なんぢに龥よびもとむるごとく成󠄃なしたまへ汝なんぢかく地ちの諸すべての民たみをして汝なんぢの名なを知しらしめ汝なんぢの民たみイスラエルの爲なすごとくに汝なんぢを畏おそれしめ又󠄂またわが建󠄄たてたる此この家いへは汝なんぢの名なをもて稱󠄄となへらるるといふことを知しらしめたまへ

34 汝なんぢの民たみその敵てきと戰たゝかはんとて汝なんぢの遣󠄃つかはしたまふ道󠄃みちに進󠄃すゝめる時ときもし汝なんぢが選󠄄えらびたまへるこの邑まちおよびわが汝なんぢの名なのために建󠄄たてたる家いへにむかひて汝なんぢに祈いのらば 35 汝なんぢ天てんより彼かれらの祈禱いのりと懇願ねがひを聽きゝて彼かれらを助たすけたまへ

36 人ひとは罪つみを犯をかさざる者ものなければ彼かれら汝なんぢに罪つみを犯をかすことありて汝なんぢかれらを怒いかり彼かれらをその敵てきに付わたしたまひて敵てきかれらを虜とりことして遠󠄄とほき地ちまたは近󠄃ちかき地ちに曳ひきゆかん時とき 37 彼かれらその擄とらはれゆきし地ちにおいて自みづから心こゝろに了さとるところあり其その俘擄とらはれの地ちにおいて飜ひるがへりて汝なんぢに祈いのり我われらは罪つみを犯をかし悖もとれる事ことを爲なし惡あしき事ことを行おこなひたりと言いひ 38 その擄とらへゆかれし俘擄とらはれの地ちにて一心いつしん一念いちねんに汝なんぢに立たち歸かへり汝なんぢがその先祖せんぞに與あたへたまへる地ちにむかひ汝なんぢが選󠄄えらびたまへる邑まちと我わが汝なんぢの名なのために建󠄄たてたる家いへにむかひて祈いのらば 39 汝なんぢの住󠄃處すみかなる天てんより彼かれらの祈禱いのりと懇願ねがひを聽きゝて彼かれらを助たすけ汝なんぢの民たみが汝なんぢにむかひて罪つみを犯をかしたるを赦ゆるしたまへ

40 然されば我わが神かみよ願ねがはくは此處このところにて爲なす祈禱いのりに汝なんぢの目めを開ひらき耳みゝを傾かたむけたまヘ 41 ヱホバ神かみよ今いま汝なんぢおよび汝なんぢの力ちからある契󠄅約けいやくの櫃はこ起󠄃たちて汝なんぢの安居あんきよの所󠄃ところにいりたまへヱホバ神かみよ願ねがはくは汝なんぢの祭司さいし等どもに拯救すくひの衣ころもを纒󠄂まとはせ汝なんぢの聖󠄃徒せいと等たちに恩惠めぐみを喜よろこばせたまヘ 42 ヱホバ神かみよ汝なんぢの膏あぶらそそぎし者ものの面かほを黜しりぞけたまふ勿なかれ汝なんぢの僕しもべダビデの德とく行かうを記念おもひたまへ

第7章

1 ソロモン祈いのることを終󠄃をへし時とき天てんより火ひくだりて燔祭はんさいと犧牲いけにへとを焚やきヱホバの榮光えいくわうその家いへに充みてり
 798㌻ 
2 ヱホバの榮光えいくわうヱホバの家いへに充みちしに因よりて祭司さいしはヱホバの家いへに入いることを得えざりき 3 イスラエルの子孫ひと〴〵は皆みな火ひの降󠄄くだれるを見みまたヱホバの榮光えいくわうのその家いへにのぞめるを見みて敷󠄃しき石いしの上うへにて地ちに俯伏ひれふして拜はいしヱホバを讃ほめて云いへり善よいかなヱホバその恩惠めぐみは世々よゝ限かぎりなしと

4 斯かくて王わうおよび民たみみなヱホバの前󠄃まへに犧牲いけにへを献さゝぐ 5 ソロモン王わうの献さゝげたる犧牲いけにへは牛うし二萬まん二千せん羊ひつじ十二萬まん斯かく王わうと民たみみな神かみの家いへを開ひらけり 6 祭司さいしは立たちてその職つとめをなしレビ人びとはヱホバの樂器がくきを執とりて立たつ其その樂器がくきはダビデ王わう彼かれらの手てによりて讃美さんびをなすに當あたり自みづから作つくりてヱホバの恩惠めぐみは世々よゝ限かぎりなしと頌󠄃たゝへしめし者ものなり祭司さいしは彼かれらの前󠄃まへにありて喇叭らつぱを吹ふきイスラエルの人ひとは皆みな立たちをる〘615㌻〙 7 ソロモンまたヱホバの家いへの前󠄃まへなる庭󠄄にはの中なかを聖󠄃きよめ其處そこにて燔祭はんさいと酬恩祭しうおんさいの脂あぶらとを献さゝげたり是こはソロモンの造󠄃つくれる銅あかがねの壇だんその燔祭はんさいと素祭そさいと脂あぶらとを受うくるに足たらざりしが故ゆゑなり

8 その時ときソロモン七日なぬかの間あひだ節󠄄筵いはひをなしけるがイスラエル全󠄃國ぜんこくの人々ひと〴〵すなはちハマテの入いり口くちよりエジプトの河かはまでの人々ひと〴〵あつまりて彼かれとともにあり其その會くわいはなはだ大おほいなりき 9 かくて第八日やうかめに聖󠄃せい會くわいを開ひらけり彼かれらは七日なぬかのあひだ壇だん奉納󠄃をさめの禮れいをおこなひまた七日なぬかのあひだ節󠄄筵いはひを守まもりけるが 10 七月󠄃ぐわつの二十三日にちにいたりてソロモン民たみをその天てん幕まくに歸かへせり皆みなヱホバがダビデ、ソロモンおよびその民たみイスラエルに施ほどこしたまひし恩惠めぐみのために喜よろこび且かつ心こゝろに樂たのしみて去されり

11 ソロモン、ヱホバの家いへと王わうの家いへとを造󠄃つくり了をへヱホバの家いへと己おのれの家いへとにつきて爲なさんと心こゝろに思おもひし事ことを盡こと〴〵く成󠄃就なしとげたり 12 時ときにヱホバ夜よるソロモンに顯あらはれて之これに言いひたまひけるは我われすでに汝なんぢの祈禱いのりを聽ききまた此處このところをわがために選󠄄えらびて犧牲いけにへを献さゝぐる家いへとなす 13 我われ天てんを閉とぢて雨あめなからしめ又󠄂または蟊賊󠄄おほねむしに命めいじて地ちの物ものを食󠄃くらはしめ又󠄂または疫病えきびやうを我民わがたみの中なかにおくらんに
 799㌻ 
14 我わが名なをもて稱󠄄となへらるる我民わがたみもし自みづから卑ひくくし祈いのりてわが面かほを求もとめその惡あしき道󠄃みちを離はなれなば我われ天てんより聽きゝてその罪つみを赦ゆるしその地ちを醫いやさん 15 今いまより我われこの處ところの祈禱いのりに目めを啓󠄃ひらき耳みゝを傾かたむけん 16 今いま我われすでに此この家いへを選󠄄えらびかつ聖󠄃別きよむ我わが名なは永ながく此こゝにあるべしまた我わが目めもわが心こゝろも恒つねに此こゝにあるべし 17 汝なんぢもし汝なんぢの父󠄃ちゝダビデの步あゆみしごとく我わが前󠄃まへに步あゆみ我わが汝なんぢに命めいじたるごとく凡すべて行おこなひてわが法度のりと律例おきてを守まもらば 18 我われは汝なんぢの父󠄃ちゝダビデに契󠄅約けいやくしてイスラエルを治をさむる人ひと汝なんぢに缺かくること無なかるべしと言いひしごとく汝なんぢの國くにの祚くらゐを堅かたうすべし

19 然されど汝なんぢら若もしひるがへり我わが汝なんぢらの前󠄃まへに置おきたる法度のりと誡命いましめを棄すて往󠄃ゆきて他ほかの神々かみ〴〵に事つかへかつ之これを拜をがまば 20 我われかれらを我わが與あたへたる地ちより拔ぬきさるべし又󠄂また我わが名なのために我わが聖󠄃別きよめたる此この家いへは我われこれを我わが前󠄃まへより投棄なげすてて萬國ばんこくの中うちに諺語ことわざとなり嘲󠄂笑あざけりとならしめん 21 且かつ又󠄂またこの家いへは高たかくあれども終󠄃つひにはその傍かたはらを過󠄃すぐる者ものは皆みなこれに驚おどろきて言いはんヱホバ何故なにゆゑに此この地ちに此この家いへに斯かくなしたるやと 22 人ひとこれに答こたへて言いはん彼かれら己おのれの先祖せんぞをエジプトの地ちより導󠄃みちびき出いだししその神かみヱホバを棄すてて他ほかの神々かみ〴〵に附つき從したがひ之これを拜をがみ之これに事つかへしによりてなりヱホバ之これがためにこの諸もろ〳〵の災禍わざはひを彼かれらに降󠄄くだせりと〘616㌻〙

第8章

1 ソロモン二十年ねんを經へてヱホバの家いへと己おのれの家いへを建󠄄たてをはりけるが 2 ヒラム邑まち幾何いくばくをソロモンに歸かへしければソロモンまた之これを建󠄄たてなほしイスラエルの子孫ひと〴〵をしてその中うちに住󠄃すましむ

3 ソロモンまたハマテゾバに往󠄃ゆきて之これに勝󠄃かてり 4 彼かれまた曠野あれののタデモルを建󠄄たてハマテの諸もろ〳〵の府庫くら邑まちを建󠄄たつ 5 また上かみベテホロンおよび下しもベテホロンを建󠄄たつ是これは堅固けんごの邑まちにして石垣いしがきあり門もんあり關木くわんのきあり 6 ソロモンまたバアラテとおのが有󠄃もてる府庫くらの邑々まち〳〵と戰車いくさぐるまの諸すべての邑々まち〳〵と騎兵きへいの邑々まち〳〵ならびにそのエルサレム、レバノンおよび己おのが治をさむるところの全󠄃地ぜんちに建󠄄たてんと望󠄇のぞみし者ものを盡こと〴〵く建󠄄たつ
 800㌻ 

7 凡すべてイスラエルの子孫しそんにあらざるヘテ人びとアモリ人びとペリジ人びとヒビ人びとヱブス人びとの遺󠄃のこれる者もの 8 その地ちにありて彼かれらの後あとに遺󠄃のこれるその子孫しそん即すなはちイスラエルの子孫ひと〴〵の滅ほろぼし盡つくさざりし民たみはソロモンこれを使󠄃役しえきして今日こんにちにいたる 9 然しかれどもイスラエルの子孫ひと〴〵をばソロモン一人ひとりも奴隸どれいとなして其その工事こうじに使󠄃つかふことをせざりき彼かれらは軍人いくさびととなり軍旅󠄃ぐんりよの長かしらとなり戰車いくさぐるまと騎兵きへいの長かしらとなれり 10 ソロモン王わうの有󠄃司つかさびとの首をさは二百ひやく五十人にんありて民たみを統すぶ

11 ソロモン、パロの女むすめをダビデの邑まちより携たづさへのぼりて曩さきにこれがために建󠄄たておきたる家いへにいたる彼かれすなはち言いへり我わが妻つまはイスラエルの王わうダビデの家いへに居をるべからずヱホバの契󠄅約けいやくの櫃はこのいたれる處ところは皆みな聖󠄃きよければなりと

12 茲こゝにソロモン曩さきに廊らうの前󠄃まへに築きづきおきたるヱホバの壇だんの上うへにてヱホバに燔祭はんさいを献さゝぐることをせり 13 即すなはちモーセの命令めいれいにしたがひて每まい日にち例れいのごとくに之これを献さゝげ安息日あんそくにち月󠄃朔ついたちおよび年としに三次󠄄みたびの節󠄄會せちゑすなはち酵たねいれぬパンの節󠄄いはひと七なゝ週󠄃まはりの節󠄄いはひと結茅節󠄄かりほずまひのいはひとに之これを献さゝぐ

14 ソロモンその父󠄃ちゝダビデの定さだめたる所󠄃ところにしたがひて祭司さいしの班列くみを定さだめてその職しよくに任にんじ又󠄂またレビ人びとをその勤務つとめに任にんじて日々ひごと例れいのごとく祭司さいしの前󠄃まへにて頌󠄃讃たたへごとをなし奉事つとめをなさしめ又󠄂また門もんを守まもる者ものをしてその班列くみにしたがひて諸しよ門もんを守まもらしむ神かみの人ひとダビデの命めいぜしところ是かくの如ごとくなりければなり 15 祭司さいしとレビ人びとは諸もろ〳〵の事ことにつきまた府庫くらの事ことにつきて王わうに命めいぜられたる所󠄃ところに違󠄇たがはざりき

16 ソロモンはヱホバの家いへの基もとゐを置すうる日ひまでにその工事こうじの準備そなへをことごとく爲なしおきて遂󠄅つひに之これを成󠄃なしをへたればヱホバの家いへは全󠄃ぜん備びせり〘617㌻〙
 801㌻ 

17 茲こゝにソロモン、ヱドムの地ちの海邊󠄎うみべにあるエジオンゲベルおよびエロテに往󠄃ゆけり 18 時ときにヒラムその僕しもべ等どもの手てに託よりて船󠄄ふねを彼かれに遣󠄃おくりまた海うみの事ことを知しる僕しもべ等どもを遣󠄃おくりけるが彼等かれらすなはちソロモンの僕しもべとともにオフルに往󠄃ゆきて彼處かしこより金きん四百ひやく五十タラントを取とりてソロモン王わうの許もとに携たづさへ來きたれり

第9章

1 茲こゝにシバの女王によわうソロモンの風聞うはさを聞きゝおよび難問なんもんをもてソロモンを試こゝろみんとて甚はなはだ衆多おほくの部從ともまはりをしたがへ香物かうもつと夥多おびただしき金きんと寳はう石せきとを駱駝らくだに負󠄅おはせてヱルサレムに來きたりソロモンの許もとにいたりてその心こゝろにある所󠄃ところをことごとく之これに陳のべけるに 2 ソロモンこれが問とひに盡こと〴〵く答こたへたりソロモンの知しらずして答こたへざる事ことは無なかりき 3 シバの女王によわうソロモンの智慧󠄄ちゑとその建󠄄たてたる家いへを觀み 4 またその席せきの食󠄃物くひものとその諸しよ臣しんの列坐なみゐる狀さまとその侍臣そばづかへの伺候たちをる狀さまと彼かれらの衣服󠄃ころもおよびその酒人さかびととその衣服󠄃ころもならびに彼かれがヱホバの家いへに上のぼりゆく昇のぼり道󠄃みちを觀みるにおよびて全󠄃まつたくその氣きを奪うばはれたり 5 是こゝにおいて彼かれ王わうに言いひけるは我わが自己おのれの國くににて汝なんぢの行爲わざと汝なんぢの智慧󠄄ちゑとにつきて聞きゝおよびたる言ことばは眞󠄃實まことなりき 6 然しかるに我われは來きたりて目めに觀みるまではその言ことばを信しんぜざりしが今いま視みれば汝なんぢの智慧󠄄ちゑの大おほいなる事こと我わが聞きゝたるはその半󠄃分󠄃なかばにも及およばざりき汝なんぢは我わが聞きゝたる風聞うはさに愈󠄃まされり 7 汝なんぢの人々ひと〴〵は幸福さいはひなるかな汝なんぢの前󠄃まへに常つねに立たちて汝なんぢの智慧󠄄ちゑを聽きける此このなんぢの臣僕しもべ等たちは幸福さいはひなるかな 8 汝なんぢの神かみヱホバは讃ほむべき哉かな彼かれなんぢを悅よろこびてその位くらゐに上のぼらせ汝なんぢの神かみヱホバの爲ために汝なんぢを王わうとなしたまへり汝なんぢの神かみイスラエルを愛あいして永ながく之これを堅かたうせんとするが故ゆゑに汝なんぢを之これが王わうとなして公󠄃平󠄃こうへいと正義せいぎを行おこなはせたまふなりと

9 すなはち金きん百ひやく二十タラントおよび莫大ばくだいの香物かうもつと寳はう石せきとを王わうに饋おくれりシバの女王によわうがソロモン王わうに饋おくりたるが如ごとき香物かうもつは未いまだ曾かつて有󠄃あらざりしなり 10 (かのオフルより金きんを取とりきたりしヒラムの臣僕しもべとソロモンの臣僕しもべ等たちまた白檀󠄂びやくだんの木きと寳はう石せきとをも携たづさへいたりければ
 802㌻ 
11 王わうその白檀󠄂びやくだんの木きをもてヱホバの家いへと王わうの宮みやとに段階だんかいを作つくりまた謳歌者うたうたふもののために琴ことと瑟しつとを作つくれり是これより前󠄃まへには是かくのごとき者ものユダの地ちに見みえしこと無なかりき) 12 ソロモン王わうシバの女王によわうに物ものを饋おくりてその携たづさへきたれる所󠄃ところに報むくいたるが上うへにまた之これが望󠄇のぞみにまかせて凡すべてその求もとむる者ものを與あたへたり斯かくて彼かれはその臣僕しもべとともに去さりてその國くにに還󠄃かへりぬ〘618㌻〙

13 一年ねんにソロモンの所󠄃ところに來きたれる金きんの重量めかたは六百ぴやく六十六タラントなり 14 この外ほかにまた商賣あきうどおよび商旅󠄃たびあきうどの携たづさへきたる者ものありアラビアの一切すべての王等わうたちおよび國くにの知事つかさ等たちもまた金銀きんぎんをソロモンに携たづさへ至いたれり 15 ソロモン王わう展のべ金きんの大楯おほだて二百ひやくを作つくれりその大楯おほだて一枚まいには展のべ金きん六百ぴやくシケルを用もちふ 16 また展のべ金きんの小こ干だて三百びやくを作つくれり其その小こ干だて一枚まいには金きん三百びやくシケルを用もちふ王わうこれらをレバノン森もりの家いへに置おけり 17 王わうまた象牙󠄂ざうげをもて大おほいなる寳座くらゐ一ひとつを造󠄃つくり純金じゆんきんをもて之これを蔽おほへり 18 その寳座くらゐには六むつの階級きだあり又󠄂また金きんの足あし臺だいありて共ともにその寳座くらゐに連󠄃つらなりその坐ざする處ところの此旁こなた彼旁かなたに按手てかけありて按手てかけの側わきに二頭ふたつの獅子しゝ立たちをり 19 その六むつの階級きだに十二の獅子しゝありて此旁こなた彼旁かなたに立たてり是かくのごとき者ものを作つくれる國くには未いまだ曾かつて有󠄃あらざりしなり 20 ソロモン王わうの用もちゐる飮料のみものの器うつはは皆みな金きんなりまたレバノン森もりの家いへの器うつはもことごとく精金せいきんなり銀ぎんはソロモンの世よには何なにとも算かぞへざりしなり 21 其そは王わうの舟ふねヒラムの僕しもべを乘のせてタルシシに往󠄃ゆき三年ねん每ごとに一回ひとたびその舟ふねタルシシより金銀きんぎん象牙󠄂ざうげ猿さるおよび孔雀くじやくを載のせて來きたりたればたり

22 ソロモン王わうは天てん下かの諸王しよわうに勝󠄃まさりて富有󠄃とみと智慧󠄄ちゑとをもちたれば 23 天てん下かの諸王しよわうみな神かみがソロモンの心こゝろに授さづけたまへる智慧󠄄ちゑを聽きかんとてソロモンの面かほを見みんことを求もとめ 24 各々おの〳〵その禮物れいもつを携たづさへ來きたる即すなはち銀ぎんの器うつは金きんの器うつは衣服󠄃ころも甲冑よろひ香物かうもつ馬むま騾らなど年々とし〴〵定分󠄃さだまりありき 25 ソロモン戰車いくさぐるまの馬むま四千せん廐󠄇きう騎兵きへい一萬まん二千せんあり王わうこれを戰車いくさぐるまの邑々まち〳〵に置おきまたヱルサレムにて自己おのれの所󠄃ところに置おけり 26 彼かれは河かはよりペリシテの地ちとエジプトの界さかひまでの諸王しよわうを統治すべをさめたり
 803㌻ 
27 王わうは銀ぎんを石いしのごとくヱルサレムに多おほからしめまた香柏かうはくを平󠄃野ひらのの桑くはの木きのごとく多おほからしめたり 28 また人衆ひと〴〵エジプトなどの諸國しよこくより馬むまをソロモンに率󠄃ひきいたれり

29 ソロモンのその餘ほかの始終󠄃しじうの行爲わざは預言者よげんしやナタンの書ふみとシロ人びとアヒヤの預言よげんと先見者せんけんしやイドがネバテの子こヤラベアムにつきて述󠄃のべたる默旨もくしの中うちに記しるさるるにあらずや 30 ソロモンはヱルサレムにて四十年ねんの間あひだイスラエルの全󠄃地ぜんちを治をさめたり 31 ソロモンその先祖せんぞ等たちと俱ともに寢ねむりてその父󠄃ちゝダビデの邑まちに葬はうむられ其その子こレハベアムこれに代かはりて王わうとなれり

第10章

1 爰こゝにレハベアム、シケムに往󠄃ゆけり其そはイスラエルみな彼かれを王わうとなさんとてシケムに到いたりたればたり 2 ネバテの子こヤラベアムはさきにソロモン王わうの面かほを避󠄃さけてエジプトに逃󠄄のがれ居をりしがこのことを聞きゝてエジプトより歸かへれり〘619㌻〙 3 人衆ひと〴〵人ひとを遣󠄃つかはして之これを招まねきたるなり斯かくてヤラベアムとイスラエルの人ひとみな來きたりてレハベアムに語かたりて言いひけるは 4 汝なんぢの父󠄃ちゝ我われらの軛くびきを苦くるしくせり然されば汝なんぢ今いま汝なんぢの父󠄃ちゝの苦くるしき役つとめとその我われらに蒙かうむらせたる重おもき軛くびきを輕かろくしたまへ然さすれば我儕われらなんぢに事つかへん 5 レハベアムかれらに言いひけるは汝なんぢら三日みつかを經へて再ふたゝび我われに來きたれと民たみすなはち去されり

6 是こゝにおいてレハベアム王わうその父󠄃ちゝソロモンの生いける間あひだこれが前󠄃まへに立たちたる老人らうじん等たちに計はかりて言いひけるは汝なんぢら如何いかに敎をしへて此この民たみに答こたへしむるや 7 彼かれらレハベアムに語かたりて言いひけるは汝なんぢもし此この民たみを厚あつく待あしらひ之これを悅よろこばせ善よき言ことばを之これに語かたらば永ながく汝なんぢの僕しもべたらんと 8 然しかるに彼かれその老人らうじん等たちの敎をしへし敎をしへを棄すて自己おのれとともに生長そだちて己おのれの前󠄃まへに立たつところの少年せうねん等らと計はかれり 9 即すなはち彼かれらに言いひけるは汝なんぢら如何いかに敎をしへて我われらをして此この我われに語かたりて汝なんぢの父󠄃ちゝの我われらに蒙かうむらせし軛くびきを輕かろくせよと言いふ民たみに答こたへしむるやと
 804㌻ 
10 彼かれとともに生長そだちたる少年せうねん等らかれに語かたりて言いひけるは汝なんぢに語かたりて汝なんぢの父󠄃ちゝ我われらの軛くびきを重おもくしたれば汝なんぢこれを我われらのために輕かろくせよと言いひたる此この民たみに汝なんぢかく答こたへ斯かくこれに言いふべし吾わが小こ指ゆびは我わが父󠄃ちゝの腰󠄃こしよりも太ふとし 11 我わが父󠄃ちゝは汝なんぢらに重おもき軛くびきを負󠄅おはせたりしが我われは更󠄃さらに汝なんぢらの軛くびきを重おもくせん我わが父󠄃ちゝは鞭むちをもて汝なんぢらを懲こらせしが我われは蠍󠄂さそりをもて汝なんぢらを懲こらさんと

12 偖さてまたヤラベアムと民等たみどもは皆みな王わうの吿つげて第三日みつかめに再ふたゝび我われにきたれと言いひしごとく第三日みつかめにレハベアムに詣いたりしに 13 王わう荒々あら〳〵しく彼かれらに答こたへたり即すなはちレハベアム王わう老人らうじんの敎をしへを棄すて 14 少年せうねんの敎をしへのごとく彼かれらに吿つげて言いひけるは我わが父󠄃ちゝは汝なんぢらの軛くびきを重おもくしたりしが我われは更󠄃さらに之これを重おもくせん我わが父󠄃ちゝは鞭むちをもて汝なんぢらを懲こらせしが我われは蠍󠄂さそりをもて汝なんぢらを懲こらさんと 15 王わうかく民たみに聽きくことをせざりき此事このことは神かみより出いでたる者ものにしてその然しかるはヱホバかつてシロ人びとアヒヤによりてネバテの子こヤラベアムに吿つげたる言ことばを成󠄃就なしとげんがためなり

16 イスラエルの民たみみな王わうの己おのれに聽きかざるを見みしかば王わうに答こたへて言いひけるは我われらダビデの中うちに何なにの分󠄃ぶんあらんやヱッサイの子この中うちには所󠄃有󠄃しよいうなしイスラエルよ汝なんぢら各々おの〳〵その天てん幕まくに歸かへれダビデ族やからよ今いまおのれの家いへを顧󠄃かへりみよと斯かくイスラエルは皆みなその天てん幕まくに歸かへれり 17 但たゞしユダの邑々まち〳〵に住󠄃すめるイスラエルの子孫ひと〴〵の上うへにはレハベアムなほ王わうたりき 18 レハベアム王わう役えき夫ふの頭かしらなるアドラムを遣󠄃つかはしけるにイスラエルの子孫ひと〴〵石いしをもてこれを擊うちて死しなしめたればレハベアム王わう急󠄃いそぎてその車くるまに登のぼりてエルサレムに逃󠄄にげかへれり〘620㌻〙 19 是かくのごとくイスラエルはダビデの家いへに背そむきて今日こんにちにいたる

第11章

1 茲こゝにレハベアム、ヱルサレムに至いたりてユダとベニヤミンの家いへより倔强くつきやうの武者つはもの十八萬まんを集あつめ而しかしてレハベアム國くにを己おのれに歸かへさんためにイスラエルと戰たゝかはんとせしに 2 ヱホバの言ことば神かみの人ひとシマヤに臨のぞみて云いふ
 805㌻ 
3 ソロモンの子こユダの王わうレハベアムおよびユダとベニヤミンにあるイスラエルの人々ひと〴〵に吿つげて言いふべし 4 ヱホバかく言いふ汝なんぢら攻せめ上のぼるべからず又󠄂またなんぢらの兄弟きやうだいと戰たゝかふべからず各々おの〳〵その家いへに歸かへれ此事このことは我われより出いでたる者ものなりと彼かれら乃すなははちヱホバの言ことばにしたがひヤラベアムに攻せめゆくことを止やめて歸かへれり

5 斯かくてレハベアム、ヱルサレムに居をりユダに守衛󠄅まもりの邑々まち〳〵を建󠄄たてたり 6 即すなはちその建󠄄たてたる者ものはベテレヘム、エタム、テコア 7 ベテズル、シヨコ、アドラム 8 ガテ、マレシヤ、ジフ 9 アドライム、ラキシ、アゼカ 10 ゾラ、アヤロン、ヘブロン是等これらはユダとベニヤミンにありて守衛󠄅まもりの邑まちなり 11 彼かれその守衛󠄅まもりの邑々まち〳〵を堅固けんごにし之これに軍長ぐんちやうを置おき糧りやう食󠄃しよくと油あぶらと酒さけとを貯たくはへ 12 またその一切すべての邑まちに盾たてと矛ほことを備そなへて之これを甚はなはだ强つよからしむユダとベニヤミンこれに附つけり

13 イスラエルの全󠄃地ぜんちの祭司さいしとレビ人びとは四方よもの境さかひより來きたりてレハベアムに投とうず 14 即すなはちレビ人びとはその郊地かうちと產業さんげふとを離はなれてユダとヱルサレムに至いたれり是こはヤラベアムとその子等こらかれらを廢はいして祭司さいしの職つとめをヱホバの前󠄃まへに爲なさしめざりし故ゆゑなり 15 ヤラベアムは崇邱たかきところと牡山羊をやぎと己おのれが作つくれる犢こうしとのために自みづから祭司さいしを立たつ 16 またイスラエルの一切すべての支󠄂派󠄄わかれの中うち凡すべてその心こゝろを傾かたむけてイスラエルの神かみヱホバを求もとむる者ものはその先祖せんぞの神かみヱホバに禮物そなへものを献さゝげんとてレビ人びとにしたがひてヱルサレムに至いたれり 17 是かくのごとく彼等かれらユダの國くにを固かたうしソロモンの子こレハベアムをして三年ねんの間あひだ强つよからしめたり即すなはち民たみは三年ねんの間あひだダビデとソロモンの道󠄃みちに步あゆめり

18 レハベアムはダビデの子こヱレモテの女むすめマハラテを妻つまに娶めとれりマハラテはヱッサイの子こエリアブの女むすめアビハイルの產うみし者ものなり 19 彼かれヱウシ、シヤマリヤおよびザハムの三子しを產うむ 20 また之これが後のちにアブサロムの女むすめマアカを娶めとれり彼かれアビヤ、アツタイ、ジザおよびシロミテを產うむ
 806㌻ 
21 レハベアムはアブサロムの女むすめマアカをその一切すべての妻つまと妾そばめとにまさりて愛あいせり彼かれは妻つま十八人にん妾そばめ六十人にんを取とり男子なんし二十八人にん女子によし六十人にんを擧まうく 22 レハベアム、マアカの子こアビヤを王わうとなさんと思おもふが故ゆゑに之これを立たてて首かしらとなしその兄弟きやうだいの長をさとなせり〘621㌻〙 23 斯かゝるが故ゆゑに慧󠄄さとく取とり行おこなひ其その男子むすこ等どもを盡こと〴〵くユダとベニヤミンの地ちなる守衛󠄅まもりの邑々まち〳〵に散ちらし置おき之これに糧りやう食󠄃しよくを多おほく與あたへかつ衆多おほくの妻つまを求もとめ得えさせたり

第12章

1 レハベアムその國くにを固かたくしその身みを强つよくするに及およびてヱホバの律法おきてを棄すてたりイスラエルみな之これに傚ならふ 2 彼かれら斯かくヱホバにむかひて罪つみを犯をかすによりてレハベアムの五年ねんにエジプトの王わうシシヤク、ヱルサレムに攻せめのぼれり 3 その戰車いくさぐるまは一千せん二百ひやく騎兵きへいは六萬まんまた彼かれに從したがひてエジプトより來きたれる民たみルビ人びとスキ人びとエテオピヤ人びと等らは數󠄄かずしれず 4 彼かれすなはちユダの守衛󠄅まもりの邑々まち〳〵を取とり進󠄃すすみてヱルサレムに至いたる 5 是こゝにおいてレハベアムおよびユダの牧伯等つかさたちシシヤクの故ゆゑによりてヱルサレムに集あつまり居ゐけるに預言者よげんしやシマヤこれが許もとにいたりて之これに言いひけるはヱホバかく言いひたまふ汝等なんぢらは我われを棄すてたれば我われも汝なんぢらをシシヤクの手てに遺󠄃すておけりと 6 是こゝをもてイスラエルの牧伯等つかさたちおよび王わうは自みづから卑ひくくしてヱホバは義ただしと言いへり 7 ヱホバかれらが自みづから卑ひくくするを見みたまひければヱホバの言ことばシマヤに臨のぞみて言いふ彼等かれらは自みづから卑ひくくしたれば我われかれらを滅ほろぼさず少すこしく拯救すくひを彼かれらに施ほどこさん我われシシヤクの手てをもて我われ忿怒いかりをヱルサレムに洩もらさじ 8 然さりながら彼等かれらは之これが臣しんとならん是これ彼かれらが我われに事つかふる事ことと國々くに〴〵の王等わうたちに事つかふる事こととの辨わかちをしらん爲ためなりと

9 エジプトの王わうシシヤクすなはちヱルサレムに攻せめのぼりヱホバの家いへの寳物たからものと王わうの家いへの寳物たからものとを奪うばひて盡こと〴〵くこれを取とり又󠄂またソロモンの作つくりたる金きんの楯たてを奪うばひされり
 807㌻ 
10 是こゝをもてレハベアム王わうその代かはりに銅あかがねの楯たてを作つくり王わうの家いへの門もんを守まもる侍衛󠄅じゑいの長かしら等たちの手てにこれを交󠄄わたし置おきけるが 11 王わうヱホバの家いへに入いる時ときには侍衛󠄅じゑいきたりて之これを負󠄅おひまた侍衛󠄅じゑいの房󠄃いへにこれを持もちかへれり 12 レハベアム自みづから卑ひくくしたればヱホバの忿怒いかりかれを離はなれこれを盡こと〴〵く滅ほろぼさんとは爲したまはず又󠄂またユダにも善事よきことありき

13 レハベアム王わうはヱルサレムにありてその力ちからを强つよくし世よを治をさめたり即すなはちレハベアムは四十一歳さいのとき位くらゐに即つき十七年ねんの間あひだヱルサレムにて世よを治をさむ是これすなはちヱホバがその名なを置おかんとてイスラエルの一切すべての支󠄂派󠄄わかれの中うちより選󠄄えらびたまへる邑まちなり彼かれの母はゝはアンモニ人びとにしてその名なをナアマといふ 14 レハベアムはヱホバを求もとむる事ことに心こゝろを傾かたむけずして惡あしき事ことを行おこなへり〘622㌻〙

15 レハベアムの始し終󠄃じうの行爲わざは預言者よげんしやシマヤの書ふみおよび先見者せんけんしやイドの書ふみの中うちに系圖󠄃けいづの形かたちに記しるさるるに非あらずやレハベアムとヤラベアムの間あひだには絕たえず戰爭いくさありき 16 レハベアムその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりてダビデの邑まちに葬はうむられ其その子こアビヤ之これにかはりて王わうとなれり

第13章

1 ヤラベアム王わうの十八年ねんにアビヤ、ユダの王わうとなり 2 ヱルサレムにて三年ねんの間あひだ世よを治をさめたり其その母はゝはギベアのウリエルの女むすめにして名なをミカヤといふ茲こゝにアビヤとヤラベアムの間あひだに戰爭いくさあり 3 アビヤは四十萬まんの軍勢ぐんぜいをもて戰鬪たたかひに備そなふ是これみな倔强くつきやうの猛たけき武夫つはものなり又󠄂またヤラベアムは倔强くつきやうの人ひと八十萬まんをもて之これにむかひて戰爭いくさの行伍そなへを立たつ是これまた大勇󠄃士だいゆうしなり
 808㌻ 
4 時ときにアビヤ、エフライムの山地やまちなるゼマライム山やまの上うへに立たちて言いひけるはヤラベアムおよびイスラエルの人々ひと〴〵皆みな聽きけよ 5 汝なんぢら知しらずやイスラエルの神かみヱホバ鹽しほの契󠄅約けいやくをもてイスラエルの國くにを永ながくダビデとその子孫しそんに賜たまへり 6 然しかるにダビデの子こソロモンの臣しんたるネバテの子こヤラベアム興おこりてその主しゆ君くんに叛󠄃そむき 7 邪󠄅曲よこしまなる放蕩はうたう者しゃこれに集あつまり附つき自みづから强つよくしてソロモンの子こレハベアムに敵てきせしがレハベアムは少わかくまた心こゝろ弱󠄃よわくして之これに當あたる力ちからなかりき 8 今いままたなんぢらはダビデの子孫しそんの手てにあるヱホバの國くにに敵てき對たいせんとす汝なんぢらは大軍たいぐんなり又󠄂またヤラベアムが作つくりて汝なんぢらの神かみと爲なしたる金きんの犢こうしなんぢらと偕ともにあり 9 汝なんぢらはアロンの子孫しそんたるヱホバの祭司さいしとレビ人びととを逐󠄃おひ放はなち國々くに〴〵の民たみの爲なすがごとくに祭司さいしを立たつるにあらずや即すなはち誰たれにもあれ少わかき牡牛をうし一匹󠄃ひとつ牡羊をひつじ七匹󠄃ななつを携たづさへきたりて手てに充みたす者ものは皆みなかの神かみならぬ者ものの祭司さいしとなることを得うるなり 10 然されど我儕われらに於おいてはヱホバ我儕われらの神かみにましまして我儕われらは之これを棄すてずまたヱホバに事つかふる祭司さいしはアロンの子孫しそんにして役事はたらきをなす者ものはレビ人びとなり 11 彼かれら朝󠄃あさごと夕ゆふごとにヱホバに燔祭はんさいを献さゝげ香かうを焚たくことを爲なし又󠄂また供前󠄃そなへのパンを純じゆん精せいの案つくゑの上うへに供そなへまた金きんの燈臺とうだいとその燈盞ともしびざらを整ととのへて夕ゆふごとに點ともすなり斯かくわれらは我われらの神かみヱホバの職守つとめを守まもれども汝なんぢらは却かへつて彼かれを棄すてたり 12 視みよ神かみみづから我われらとともに在いまして我われらの大たい將しやうとなりたまふまた其その祭司さいし等どもは喇叭らつぱを吹ふきならして汝なんぢらを攻せむイスラエルの子孫ひと〴〵よ汝なんぢらの先祖せんぞの神かみヱホバに敵てきして戰たゝかふ勿なかれ汝なんぢら利りあらざるべければなりと

13 ヤラベアム伏兵ふくへいを彼かれらの後うしろに回まはらせたればイスラエルはユダの前󠄃まへにあり伏兵ふくへいは其その後うしろにあり 14 ユダ後うしろを顧󠄃かへりみるに敵てき前󠄃ぜん後ごにありければヱホバにむかひて號呼よばはり祭司さいし等ども喇叭らつぱを吹ふけり〘623㌻〙 15 ユダの人々ひと〴〵すなはち吶喊ときのこゑを擧あげけるがユダの人々ひと〴〵吶喊ときのこゑを擧あぐるにあたりて神かみヤラベアムとイスラエルの人々ひと〴〵をアビヤとユダの前󠄃まへに打敗うちやぶり給たまひしかば 16 イスラエルの子孫ひと〴〵はユダの前󠄃まへより逃󠄄にげはしれり神かみかく彼かれらを之これが手てに付わたしたまひければ 17 アビヤとその民たみ彼かれらを夥多おびたゞしく擊うち殺ころせりイスラエルの殺ころされて倒たふれし者ものは五十萬人まんにんみな倔强くつきやうの人ひとなりき
 809㌻ 
18 是この時ときにはイスラエルの子孫ひと〴〵打うち負󠄅まかされユダの子孫ひと〴〵勝󠄃かちを得えたり是こは彼かれらその先祖せんぞの神かみヱホバを賴たのみしが故ゆゑなり 19 アビヤすなはちヤラベアムを追󠄃擊おひうちて邑まち數󠄄すう箇こを彼かれより取とれり即すなはちベテルとその郷里むらざとヱシヤナとその郷里むらざとエフロンとその郷里むらざと是これなり 20 ヤラベアムはアビヤの世よに再ふたゝび權勢いきほひを奮ふるふことを得えずヱホバに擊うたれて死しねり 21 然されどアビヤは權勢いきほひを得え妻つま十四人にんを娶めとり男子なんし二十二人にん女子によし十六人にんを擧まうけたり 22 アビヤのその餘ほかの作爲わざとその行爲おこなひとその言ことばは預言者よげんしやイドの註釋ちうしやくに記しるさる

第14章

1 アビヤその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりてダビデの邑まちに葬はうむられその子こアサこれに代かはりて王わうとなれりアサの代よになりて其その國くに十年ねんの間あひだ平󠄃穩おだやかなりき 2 アサはその神かみヱホバの目めに善よしと視み正義ただしと視みたまふ事ことを行おこなへり 3 即すなはち異ことなる祭壇さいだんを取とりのぞき諸もろ〳〵の崇邱たかきところを毀こぼち柱󠄃はしら像󠄃ざうを打うち碎くだきアシラ像󠄃ざうを斫きり倒たふし 4 ユダに命めいじてその先祖せんぞ等たちの神かみヱホバを求もとめしめその律法おきてと誡命いましめを行おこなはしめ 5 ユダの一切すべての邑々まち〳〵より崇邱たかきところと日ひの像󠄃ざうとを取とり除のぞけり而しかして國くには彼かれの前󠄃まへに平󠄃穩おだやかなりき 6 彼かれまた守衛󠄅まもりの邑まち數󠄄すう箇こをユダに建󠄄たてたり是こはその國くに平󠄃安へいあんを得えて此この年とし頃ごろ戰爭いくさなかりしに因よる即すなはちヱホバ彼かれに安息あんそくを賜たまひしなり 7 彼かれすなはちユダに言いひけるは我儕われら是等これらの邑まちを建󠄄たてその四周󠄃まはりに石垣いしがきを築きづき戌樓やぐらを起󠄃おこし門もんと門閂かんぬきとを設まうけん我儕われらの神かみヱホバを我儕われら求もとめしに因よりて此この國くになほ我儕われらの前󠄃まへにあり我われら彼かれを求もとめたれば四方しはうにおいて我われらに平󠄃安へいあんを賜たまへりと斯かく彼かれら阻滯とどこほりなく之これを建󠄄たて了をへたり 8 アサの軍勢ぐんぜいはユダより出いでたる者もの三十萬まんありて楯たてと戈ほことを執とりベニヤミンより出いでたる者もの二十八萬まんありて小こ楯だてを執とり弓ゆみを彎ひく是これみな大勇󠄃士だいゆうしなり

9 茲こゝにエテオピア人びとゼラ軍勢ぐんぜい百ひやく萬人まんにん戰車いくさぐるま三百びやく輌りやうを率󠄃ひきゐて攻せめきたりマレシヤに至いたりければ 10 アサこれにむかひて進󠄃すゝみ出いで共ともにマレシヤのゼパタの谷たににおいて戰爭いくさの陣列そなへを立たつ
 810㌻ 
11 時ときにアサその神かみヱホバにむかひて呼よばはりて言いふヱホバよ力ちからある者ものを助たすくるも力ちからなき者ものを助たすくるも汝なんぢにおいては異ことなること無なし我われらの神かみヱホバよ我われらを助たすけたまへ我われらは汝なんぢに倚賴よりたのみ汝なんぢの名なに託よりて往󠄃ゆきて此この群ぐん集しうに敵あたるヱホバよ汝なんぢは我われらの神かみにましませり人ひとをして汝なんぢに勝󠄃かたせたまふ勿なかれと〘624㌻〙 12 ヱホバすなはちアサの前󠄃まへとユダの前󠄃まへにおいてエテオピア人びとを擊うち敗やぶりたまひしかばエテオピア人びと逃󠄄にげはしりけるに 13 アサと之これに從したがふ民たみかれらをゲラルまで追󠄃擊おひうてり斯かくエテオピア人びとは倒たふれて再ふたゝび振ふるふことを得えざりき其そは彼等かれらヱホバとその軍旅󠄃ぐんりよに打敗うちやぶられたればなりユダの人々ひと〴〵の得えたる掠取物ぶんどりものは甚はなはだ多おほかりき 14 かれらはまたゲラルの四周󠄃まはりの邑々まち〳〵を盡こと〴〵く擊うちやぶれり是これその邑々まち〳〵ヱホバを畏おそれたればなり是こゝにおいて彼かれらその一切すべての邑まちより物ものを掠かすめたりしがその中うちより得えたる掠取物ぶんどりものは夥多おびただしかりき 15 また家畜かちくのをる天てん幕まくを襲󠄂おそふて羊ひつじと駱駝らくだを多おほく奪うばひ取とり而しかしてヱルサレムに歸かへりぬ

第15章

1 茲こゝに神かみの靈みたまオデデの子こアザリヤに臨のぞみければ 2 彼かれ出いでゆきてアサを迎󠄃むかへ之これに言いひけるはアサおよびユダとベニヤミンの人々ひと〴〵よ我われに聽きけ汝等なんぢらがヱホバと偕ともにをる間あひだはヱホバも汝なんぢらと偕ともに在いますべし汝なんぢら若もしかれを求もとめなば彼かれに遇󠄃あはん然されどかれを棄すてなば彼かれも汝なんぢらを棄すてたまはん 3 抑そも〳〵イスラエルには眞󠄃まことの神かみなく敎訓をしへを施ほどこす祭司さいしなく律法おきてなきこと日ひ久ひさしかりしが 4 患難なやみの時ときにイスラエルの神かみヱホバに立たちかへりて之これを求もとめたれば即すなはちこれに遇󠄃あへり 5 當時そのころは出いづる者ものにも入いる者ものにも平󠄃安へいあんなく惟たゞ大おほいなる苦患くるしみくにぐにの民たみに臨のぞめり 6 國くには國くにに邑まちは邑まちに擊うち碎くだかる其そは神かみ諸もろ〳〵の患難なやみをもて之これを苦くるしめたまへばなり 7 然されば汝なんぢら强つよかれよ汝なんぢらの手てを弱󠄃よわくする勿なかれ汝なんぢらの行爲わざには賞むくい賜たまものあるべければなりと
 811㌻ 

8 アサこれらの言ことばおよび預言者よげんしやオデデの預言よげんを聽きゝて力ちからを得え憎にくむべき者ものをユダとベニヤミンの全󠄃地ぜんちより除のぞきまた其そのエフライムの山地やまちに得えたる邑々まち〳〵より除のぞきヱホバの廊らうの前󠄃まへなるヱホバの壇だんを再さい興こうせり 9 彼かれまたユダとベニヤミンの人々ひと〴〵およびエフライム、マナセ、シメオンより來きたりて寄寓やおでれる者ものを集あつめたりイスラエルの人々ひと〴〵の中うちヱホバ神かみのアサと偕ともに在いますを見みてアサに降󠄄くだれる者もの夥多おびただしかりしなり 10 彼等かれらすなはちアサの治世ぢせいの十五年ねんの三月󠄃ぐわつにヱルサレムに集あつまり 11 其そのたづさへ來きたれる掠取物ぶんどりものの中うちより牛うし七百ひやく羊ひつじ七千せんをその日ひヱホバに献さゝげ 12 皆みな契󠄅約けいやくを結むすびて曰いはく心こゝろを盡つくし精せい神しんを盡つくして先祖せんぞの神かみヱホバを求もとめん 13 凡すべてイスラエルの神かみヱホバを求もとめざる者ものは大小だいせう男女なんによの區別わかちなく之これを殺ころさんと 14 而しかして大おほ聲ごゑを擧あげ號呼よばはりをなし喇叭らつぱを吹ふき角かくを鳴ならしてヱホバに誓ちかひを立たて 15 ユダみなその誓ちかひを喜よろこべり即すなはち彼かれら一いち心しんをもて誓ちかひを立たて一念ひとすぢにヱホバを求もとめたればヱホバこれに遇󠄃あひ四方しはうにおいて之これに安息あんそくをたまへり〘625㌻〙

16 偖さてまたアサ王わうの母はゝマアカ、アシラ像󠄃ざうを作つくりしこと有󠄃ありければアサこれを貶おとして太おほ后きさきたらしめずその像󠄃ざうを斫きりたふして粉󠄃々こな〴〵に碎くだきキデロン川がはにてこれを焚やけり 17 但たゞし崇邱たかきところは尙なほイスラエルより除のぞかざりき然されどもアサの心こゝろは一いち生しやうの間あひだ全󠄃まつたかりしなり 18 彼かれはまたその父󠄃ちゝの納󠄃をさめたる物ものおよび己おのれが納󠄃をさめたる物ものすなはち金銀きんぎんならびに器皿うつはもの等などをヱホバの家いへに携たづさへいれり 19 アサの治世ぢせいの三十五年ねんまでは再ふたゝび戰爭いくさあらざりき

第16章

1 アサの治世ぢせいの三十六年ねんにイスラエルの王わうバアシヤ、ユダに攻せめのぼりユダの王わうアサの所󠄃ところに誰たれをも往󠄃來ゆききせざらしめんとてラマを建󠄄たてたり 2 是こゝにおいてアサ、ヱホバの家いへと王わうの家いへとの府庫くらより金銀きんぎんを取とりいだしダマスコに住󠄃すめるスリアの王わうベネハダデに餽おくりて言いひけるは 3 我わが父󠄃ちゝと汝なんぢの父󠄃ちゝの間あひだの如ごとく我われと汝なんぢの間あひだに約やくを立たてん視みよ我われ今いま汝なんぢに金銀きんぎんを餽おくれり往󠄃ゆきて汝なんぢとイスラエルの王わうバアシヤとの約やくを破やぶり彼かれをして我われを離はなれて去さらしめよ
 812㌻ 
4 ベネハダデすなはちアサ王わうに聽きき自己おのれの軍勢ぐんぜいの長かしら等たちをイスラエルの邑々まち〳〵に攻せめ遣󠄃やりければ彼等かれらイヨン、ダン、アベルマイムおよびナフタリの一切すべての府庫くらの邑々まち〳〵を擊うちたり 5 バアシヤ聞きゝてラマを建󠄄たつることを罷やめその工事こうじを廢はいせり 6 是こゝにおいてアサ王わうユダ全󠄃國ぜんこくの人ひとを率󠄃ひきゐバアシヤがラマを建󠄄たつるに用もちひたる石いしと材木ざいもくを運󠄃はこびきたらしめ之これをもてゲバとミズパを建󠄄たてたり

7 その頃ころ先見者せんけんしやハナニ、ユダの王わうアサの許もとにいたりて之これに言いひけるは汝なんぢはスリアの王わうに倚賴よりたのみて汝なんぢの神かみヱホバに倚賴よりたのまざりしに因よりてスリア王わうの軍勢ぐんぜいは汝なんぢの手てを脱だつせり 8 かのエテオピア人びととルビ人びとは大軍たいぐんにして戰車いくさぐるまおよび騎兵きへいはなはだ多おほかりしにあらずや然しかるも汝なんぢヱホバに倚賴よりたのみたればヱホバかれらを汝なんぢの手てに付わたしたまへり 9 ヱホバは全󠄃ぜん世界せかいを徧あまねく見みそなはし己おのれにむかひて心こゝろを全󠄃まつたうする者もののために力ちからを顯あらはしたまふこの事ことにおいて汝なんぢは愚おろかなる事ことをなせり故ゆゑに此この後のちは汝なんぢに戰爭いくさあるべしと 10 然しかるにアサその先見者せんけんしやを怒いかりて之これを獄舍ひとやにいれたり其そは烈はげしくこの事ことのために彼かれを怒いかりたればなりアサまた其その頃ころ民たみを虐󠄃しへたげたる事ことありき

11 アサの始し終󠄃じうの行爲わざはユダとイスラエルの列王れつわうの書ふみに記しるさる 12 アサはその治世ぢせいの三十九年ねんに足あしを病やみその病患やまひつひに劇はげしくなりしがその病患やまひの時ときにもヱホバを求もとめずして醫師いしやを求もとめたり 13 アサその先祖せんぞ等たちと偕ともに寢ねむりその治世ぢせいの四十一年ねんに死しねり〘626㌻〙 14 人衆ひと〴〵これをその己おのれのためにダビデの邑まちに堀ほりおける墓はかに葬はうむり製香かほりづくりの術󠄃じゆつをもて製せいしたる種々さま〴〵の香物かうもつを盈みたせる床とこの上うへに置おき之これがために夥多おびただしく焚たき物ものをなせり

第17章

1 アサの子こヨシヤパテ、アサに代かはりて王わうとなりイスラエルにむかひて力ちからを强つよくし 2 ユダの一切すべての堅固けんごなる邑々まち〳〵に兵へいを置おきユダの地ちおよびその父󠄃ちゝアサが取とりたるエフライムの邑々まち〳〵に鎭ちん臺だいを置おく
 813㌻ 
3 ヱホバ、ヨシヤパテとともに在いませり其そは彼かれその父󠄃ちゝダビデの最初はじめの道󠄃みちに步あゆみてバアル等などを求もとめず 4 その父󠄃ちゝの神かみを求もとめてその誡命いましめに步あゆみイスラエルの行爲わざに傚ならはざればなり 5 このゆゑにヱホバ國くにを彼かれの手てに堅かたく立たてたまへりまたユダの人衆ひと〴〵みなヨシヤパテに禮物れいもつを餽おくれり彼かれは富とみと貴たふときとを極きはめたり 6 是こゝにおいて彼かれヱホバの道󠄃みちにその心こゝろを勵はげまし遂󠄅つひに崇邱たかきところとアシラ像󠄃ざうとをユダより除のぞけり

7 彼かれまたその治世ぢせいの三年ねんにその牧伯つかさベネハイル、オバデヤ、ゼカリヤ、ネタンエルおよびミカヤを遣󠄃つかはしてユダの邑々まち〳〵にて敎誨をしへをなさしめ 8 またレビ人びとの中うちよりシマヤ、ネタニヤ、ゼバデヤ、アサヘル、セミラモテ、ヨナタン、アドニヤ、トビヤ、トバドニヤなどいふレビ人びとを遣󠄃つかはして之これと偕ともならしめ且かつ祭司さいしエリシヤマとヨラムをも之これと偕ともに遣󠄃つかはしけるが 9 彼かれらはヱホバの律法おきての書ふみを携たづさヘユダにおいて敎誨をしへをなしユダの邑々まち〳〵を盡こと〴〵く行ゆきめぐりて民たみを敎をしへたり。

10 是こゝにおいてユダの周󠄃圍󠄃まはりの地ちの國々くに〴〵みなヱホバを懼おそれてヨシヤパテを攻せめることをせざりき 11 またペリシテ人びとの中うちに禮物れいもつおよび貢みつぎの銀ぎんをヨシヤパテに餽おくれる者ものあり且かつ又󠄂またアラビヤ人びとは家畜かちくをこれに餽おくれり即すなはち牡羊をひつじ七千せん七百ひやく牡山羊をやぎ七千せん七百ひやく 12 ヨシヤパテは益々ます〳〵大おほいになりゆきてユダに城󠄃しろおよび府庫くら邑まちを多おほく建󠄄たて 13 ユダの邑々まち〳〵に多おほくの工事こうじを爲なし大勇󠄃士だいゆうしたる軍人いくさびとをヱルサレムに置おけり 14 彼等かれらを數󠄄かぞふるにその宗家そうけに循したがへば左さのごとしユダより出いでたる千せん人にんの長かしらの中うちにはアデナといふ軍長ぐんちやうあり大勇󠄃士だいゆうし三十萬まんこれに從したがふ 15 その次󠄄つぎは軍長ぐんちやうヨハナン之これに從したがふ者ものは二十八萬人まんにん 16 その次󠄄つぎはジクリの子こアマシヤ彼かれは悅よろこびてその身みをヱホバに献さゝげたり大勇󠄃士だいゆうし二十萬まんこれに從したがふ
 814㌻ 
17 ベニヤミンより出いでたる者ものの中うちにはエリアダといふ大勇󠄃士だいゆうしあり弓ゆみおよび楯たてを持もつもの二十萬まんこれに從したがふ 18 その次󠄄つぎはヨザバデ戰門たたかひの準備そなへをなせる者もの十八萬まんこれに從したがふ 19 是等これらは皆みな王わうに事つかふる者等ものどもなり此この外ほかにまたユダ全󠄃國ぜんこくの堅固けんごなる邑々まち〳〵に王わうの置おける者ものあり〘627㌻〙

第18章

1 ヨシヤパテは富とみと貴たふときとを極きはめアハブと緣えんを結むすべり 2 かれ數󠄄すう年ねんの後のちサマリアに下くだりてアハブを訪とひければアハブ彼かれおよびその部從ともまはりのために牛うし羊ひつじを多おほく宰ほふりギレアデのラモテに俱ともに攻せめ上のぼらんことを彼かれに勸󠄂すゝむ 3 すなはちイスラエルの王わうアハブ、ユダの王わうヨシヤパテに言いひけるは汝なんぢ我われとともにギレアデのラモテに攻せめゆくやヨシヤパテこれに答こたへけるは我われは汝なんぢのごとく我民わがたみは汝なんぢの民たみのごとし汝なんぢとともに戰門たたかひに臨のぞまんと

4 ヨシヤパテまたイスラエルの王わうに言いひけるは請󠄃こふ今日こんにちヱホバの言ことばを問とひたまへと 5 是こゝにおいてイスラエルの王わう預言者よげんしや四百ひやく人にんを集あつめて之これに言いひけるは我われらギレアデのラモテに往󠄃ゆきて戰たゝかふべきや又󠄂または罷やむべきや彼等かれらいひけるは攻せめ上のぼりたまへ神かみこれを王わうの手てに付わたしたまふべしと 6 ヨシヤパテいひけるは此この外ほかに我われらの由よりて問とふべきヱホバの預言者よげんしや此こゝにあらざるや 7 イスラエルの王わうこたへてヨシヤパテに言いひけるは外ほかになほ一人ひとりあり我われら之これによりてヱホバに問とふことを得えん然されど彼かれは今いままで我われにつきて善事よきことを預言よげんせず恒つねに惡あしき事ことのみを預言よげんすれば我われ彼かれを惡にくむなり其その者ものは即すなはちイムラの子こミカヤなりと然しかるにヨシヤパテこたへて王わうしか宣のたまふ勿なかれと言いひければ 8 イスラエルの王わう一人ひとりの官吏󠄄くわんりを呼よびてイムラの子こミカヤを急󠄃いそぎ來きたらしめよと言いへり 9 イスラエルの王わうおよびユダの王わうヨシヤパテは朝󠄃衣てういを纒󠄂まとひサマリアの門もんの入いり口くちの廣ひろ場ばにて各々おの〳〵その位くらゐに坐ざし居をり預言者よげんしやは皆みなその前󠄃まへに預言よげんせり 10 時ときにケナアナの子こゼデキヤ鐵てつの角つのを造󠄃つくりて言いひけるはヱホバかく言いひたまふ汝なんぢ是等これらをもてスリア人びとを衝つきて滅ほろぼし盡つくすべしと 11 預言者よげんしやみな斯かく預言よげんして云いふギレアデのラモテに攻せめ上のぼりて勝󠄃利しやうりを得えたまへヱホバこれを王わうの手てに付わたしたまふべしと
 815㌻ 

12 茲こゝにミカヤを召めさんとて往󠄃ゆきたる使󠄃者つかひこれに語かたりて言いひけるは預言者よげんしや等たちの言ことばは一ひとつの口くちより出いづるがごとくにして王わうに善よし請󠄃こふ汝なんぢの言ことばをも彼かれらの一人ひとりのごとくなして善事よきことを言いヘ 13 ミカヤ言いひけるはヱホバは活いく我わが神かみの宣のたまふ所󠄃ところを我われは陳のべんと 14 かくて王わうに至いたるに王わう彼かれに言いひけるはミカヤよ我われらギレアデのラモテに往󠄃ゆきて戰たゝかふべきや又󠄂または罷やむべきや彼かれ言いひけるは上のぼりゆきて利りを得えたまへ彼かれらは汝なんぢの手てに付わたされんと 15 王わうかれに言いひけるは我われ幾度いくたびなんぢを誓ちかはせたらば汝なんぢヱホバの名なをもて唯たゞ眞󠄃實まことのみを我われに吿つぐるや 16 彼かれ言いひけるは我われイスラエルが皆みな牧者かふものなき羊ひつじのごとく山やまに散ちりをるを見みたるがヱホバ是等これらの者ものは主しゆなし各々おの〳〵やすらかに其その家いへに歸かへるべしと言いひたまへり〘628㌻〙 17 イスラエルの王わう是こゝにおいてヨシヤパテに言いひけるは我われなんぢに吿つげて彼かれは善事よきことを我われに預言よげんせず只たゞ惡あしき事ことのみを預言よげんせんと言いひしに非あらずやと 18 ミカヤまた言いひけるは然されば汝なんぢらヱホバの言ことばを聽きくべし我われ視みしにヱホバその位くらゐに坐ざし居ゐたまひて天てんの萬軍ばんぐんその傍かたはらに右左みぎひだりに立たちをりしが 19 ヱホバ言いひたまひけるは誰たれかイスラエルの王わうアハブを誘いざなひて彼かれをしてギレアデのラモテにのぼりゆきて彼處かしこに斃たふれしめんかと即すなはち一ひとりは此このごとくせんと言いひ一ひとりは彼かのごとくせんと言いひければ 20 遂󠄅つひに一ひとつの靈れいすすみ出いでてヱホバの前󠄃まへに立たち我われかれを誘いざなはんと言いひたればヱホバ何なにをもてするかと之これに問とひたまふに 21 我われいでて虛言いつはりを言いふ靈れいとなりてその諸すべての預言者よげんしやの口くちにあらんと言いへりヱホバ言いひたまひけるは汝なんぢは誘いざなひ且かつこれを成󠄃就なしとげん出いでて然しかすべしと 22 故ゆゑに視みよヱホバ虛言いつはりを言いふ靈れいを汝なんぢのこの預言者よげんしや等どもの口くちに入いれたまへり而しかしてヱホバ汝なんぢに災禍わざはひを降󠄄くださんと定さだめたまふと

23 時ときにケナアナの子こゼデキヤ近󠄃ちかよりてミカヤの頬ほゝを批うちて言いひけるはヱホバの靈れい何いづれの途󠄃みちより我われを離はなれゆきて汝なんぢと言ものいふや 24 ミカヤ言いひけるは汝なんぢ奧おくの室まにいりて身みを匿かくす日ひに見みるべし 25 イスラエルの王わういひけるはミカヤを取とりてこれを邑まちの宰つかさアモンおよび王わうの子こヨアシに曳ひきかへりて言いふべし
 816㌻ 
26 王わうかく言いふ我わが安然やすらかに歸かへるまで比この者ものを牢ひとやにいれて苦惱なやみのパンを食󠄃くはせ苦惱なやみの水みづを飮のませよと 27 ミカヤ言いひけるは汝なんぢもし眞󠄃まことに平󠄃安やすらかに歸かへるならばヱホバ我われによりて斯かく宣のたまひし事ことあらずと而しかしてまた言いへり汝なんぢら民たみよ皆みな聽きくべしと

28 かくてイスラエルの王わうおよびユダの王わうヨシヤパテはギレアデのラモテに上のぼりゆけり 29 イスラエルの王わう時ときにヨシヤパテに言いひけるは我われは服󠄃裝すがたを變かへて戰陣たたかひの中なかにいらん汝なんぢは朝󠄃衣てういを纒󠄂まとひたまへとイスラエルの王わうすなはち服󠄃裝すがたを變かへ二人ふたり俱ともに戰陣たたかひの中なかにいれり 30 スリアの王わうその戰車いくさぐるまの長かしら等たちにかねて命めいじおけり云いはく汝なんぢら小ちひさき者ものとか大おほいなる者ものとも戰たゝかふなかれ惟たゞイスラエルの王わうとのみ戰たゝかへと 31 戰車いくさぐるまの長かしら等たちヨシヤパテを見みて是これはイスラエルの王わうならんと言いひ身みをめぐらして之これと戰たゝかはんとせしがヨシヤパテ號呼よばはりければヱホバこれを助たすけたまへり即すなはち神かみ彼かれらを感動かんどうして之これを離はなれしめたまふ 32 戰車いくさぐるまの長かしら等たち彼かれがイスラエルの王わうにあらざるを見みしかば之これを追󠄃おふことをやめて引ひき返󠄄かへせり 33 茲こゝに一箇ひとりの人ひと何なに心ごころなく弓ゆみを彎ひきてイスラエルの王わうの胸むね當あてと草くさ摺ずりの間あひだに射󠄂いあてたれば彼かれその御ぎよ者しやに言いひけるは我われ傷きずを受うけたれば汝なんぢ手てを旋かへらして我われを軍中ぐんちうより出いだせと〘629㌻〙 34 此この日ひ戰爭いくさ烈はげしくなりぬイスラエルの王わうは車くるまの中うちに自みづから扶持たすけて立たち薄󠄄暮ゆふぐれまでスリア人びとをささへをりしが日ひの沒いる頃ころにいたりて死しねり

第19章

1 ユダの王わうヨシヤパテは恙つつがなくヱルサレムに歸かへりてその家いへに至いたれり 2 時ときに先見者せんけんしやハナニの子こヱヒウ、ヨシヤパテ王わうを出いでむかへて之これに言いひけるは汝なんぢ惡あしき者ものを助たすけヱホバを惡にくむ者ものを愛あいして可よからんや之これがためにヱホバの前󠄃まへより震怒いかりなんぢの上うへに臨のぞむ 3 然さりながら善事よきこともまた汝なんぢの身みに見みゆ即すなはち汝なんぢはアシラ像󠄃ざうを國こく中ちうより除のぞきかつ心こゝろを傾かたむけて神かみを求もとむるなりと

4 ヨシヤパテはヱルサレムに住󠄃すみをりしが復また出いでてベエルシバよりエフライムの山地やまちまで民たみの間なかを行ゆきめぐりその先祖せんぞの神かみヱホバにこれを導󠄃みちびき歸かへせり
 817㌻ 
5 彼かれまたユダの一切すべての堅固けんごなる邑まちに裁判󠄄人さばきびとを立たつ國こく中ちうの邑々まち〳〵みな然しかり 6 而しかして裁判󠄄人さばきびとに言いひけるは汝等なんぢらその爲なすところを愼つゝしめ汝なんぢらは人ひとのために裁判󠄄さばきするに非あらずヱホバのために裁判󠄄さばきするなり裁判󠄄さばきする時ときにはヱホバ汝なんぢらと偕ともにいます 7 然されば汝なんぢらヱホバを畏おそれ愼つゝしみて事わざをなせ我われらの神かみヱホバは惡あしき事ことなく人ひとを偏󠄃視かたよりみることなく賄賂まひなひを取とること無なければなり

8 ヨシヤパテまたレビ人びと祭司さいしおよびイスラエルの族ぞく長ちやうを選󠄄えらびてヱルサレムに置おきヱホバの事ことおよび訴訟󠄃うつたへを審判󠄄さばかしむ彼かれらはヱルサレムにかへれり 9 ヨシヤパテこれに命めいじて云いはく汝なんぢらヱホバを畏おそれ眞󠄃實まことと誠󠄃心まごころをもて斯かくおこなふべし 10 凡すべてその邑々まち〳〵に住󠄃すむ汝なんぢらの兄弟きやうだい血ちを相あひ流ながせる事ことまたは律法おきてと誡命いましめ法度のりと條例さだめなどの事ことにつきて汝なんぢらに訴うつたへ出いづること有󠄃あらばこれを諭󠄄さとしてヱホバに罪つみを犯をかさざらしめよ恐おそらくは震怒いかりなんぢと汝なんぢらの兄弟きやうだいにのぞまん汝なんぢら斯かくおこなはば愆とがなかるべし 11 視みよ祭司さいしの長をさアマリヤ汝なんぢらの上うへにありてヱホバの事ことを凡すべて司つかさどりユダの家いへの宰つかさイシマエルの子こゼバデヤ王わうの事ことを凡すべて司つかさどる亦またレビ人びと汝なんぢらの前󠄃まへにありて官吏󠄄くわんりとならん汝なんぢら心こゝろを强つよくして事わざをなせヱホバ善ぜん人にんを祐たすけたまふべし

第20章

1 この後のちモアブの子孫ひと〴〵アンモンの子孫ひと〴〵およびマオニ人等びとらヨシヤパテと戰たゝかはんとて攻せめきたれり 2 時ときに或ある人ひときたりてヨシヤパテに吿つげて云いふ海うみの彼旁かなたスリアより大衆たいしう汝なんぢに攻せめきたる視みよ今いまハザゾンタマルにありとハザゾンタマルはすなはちエンゲデなり 3 是こゝにおいてヨシヤパテ懼おそれ面かほをヱホバに向むけてその助たすけを求もとめユダ全󠄃國ぜんこくに斷食󠄃だんじきを布令ふれしめたれば〘630㌻〙 4 ユダ擧こぞりて集あつまりヱホバの助たすけを求もとめたり即すなはちユダの一切すべての邑まちより人々ひと〴〵きたりてヱホバを求もとむ
 818㌻ 

5 時ときにヨシヤパテ、ヱホバの室いへの新あたらしき庭󠄄にはの前󠄃まへにおいてユダとヱルサレムの會衆くわいしうの中うちに立たち 6 言いひけるは我われらの先祖せんぞの神かみヱホバよ汝なんぢは天てんの神かみにましますに非あらずや異邦󠄆人いはうじんの諸國しよこくを統すべたまふに非あらずや汝なんぢの手てには能力ちからあり權勢いきほひありて誰たれもなんぢを禦ふせぐこと能あたはざるに非あらずや 7 我われらの神かみよ汝なんぢは此この國くにの民たみを汝なんぢの民たみイスラエルの前󠄃まへより逐󠄃おひはらひて汝なんぢの友ともアブラハムの子孫しそんに之これを永ながく與あたへたまひしに非あらずや 8 彼かれらは此こゝに住󠄃すみ汝なんぢの名なのために此こゝに聖󠄃所󠄃せいじよを建󠄄たてて言いへり 9 刑罰けいばつの劍つるぎ疫病えきびやう饑󠄃饉ききんなどの災禍わざはひわれらに臨のぞまん時ときは我われらこの家いへの前󠄃まへに立たちて汝なんぢの前󠄃まへにをりその苦難なやみの中なかにて汝なんぢに呼號よばはらんしかして汝なんぢ聽きゝて助たすけたまはん汝なんぢの名なはこの家いへにあればなりと 10 今いまアンモン、モアブおよびセイル山やまの子孫ひと〴〵を視みたまへ在昔むかしイスラエル、エジプトの國くにより出いできたれる時とき汝なんぢイスラエルに是等これらを侵󠄃をかさしめたまはざりしかば之これを離はなれさりて滅ほろぼさざりしなり 11 かれらが我われらに報むくゆる所󠄃ところを視みたまへ彼かれらは汝なんぢがわれらに有󠄃たもたしめたまへる汝なんぢの產業さんげふより我われらを逐󠄃おひはらはんとす 12 我われらの神かみよ汝なんぢかれらを鞫さばきたまはざるや我われらは此この斯かく攻せめよせたる此この大衆たいしうに當あたる能力ちからなく又󠄂また爲なすところを知しらず唯たゞ汝なんぢを仰あふぎ望󠄇のぞむのみと 13 ユダの人々ひと〴〵はその小ちひさき者ものおよび妻つま子ことともに皆みなヱホバの前󠄃まへに立たちをれり

14 時ときに會衆くわいしうの中なかにてヱホバの靈みたまアサフの子孫しそんたるレビ人びとヤハジエルに臨のぞめりヤハジエルはゼカリヤの子こゼカリヤはベナヤの子こベナヤはヱイエルの子こヱイエルはマツタニヤの子こなり 15 ヤハジエルすなはち言いひけるはユダの人衆ひと〴〵およびヱルサレムの居民きよみんならびにヨシヤパテ王わうよ聽きくべしヱホバかく汝なんぢらに言いひたまふ此この大衆たいしうのために懼おそるる勿なかれ慄をののくなかれ汝なんぢらの戰たたかひに非あらずヱホバの戰たたかひなればなり 16 なんぢら明日あす彼かれらの所󠄃ところに攻せめくだれ彼かれらはヂヅの坡さかより上のぼり來きたる汝なんぢらヱルエルの野のの前󠄃まへなる谷たにの口くちにて之これに遇󠄃あはん
 819㌻ 
17 この戰爭いくさには汝なんぢら戰たゝかふにおよばずユダおよびヱルサレムよ汝なんぢら惟たゞ進󠄃すゝみいでて立たち汝なんぢらとともに在いますヱホバの拯救すくひを見みよ懼おそるる勿なかれ慄をののくなかれ明日あす彼かれらの所󠄃ところに攻せめいでよヱホバ汝なんぢらとともに在いませばなりと 18 是こゝにおいてヨシヤパテ首かうべをさげて地ちに俯伏ひれふせりユダの人衆ひと〴〵およびヱルサレムの民たみもヱホバの前󠄃まへに伏ふしてヱホバを拜はいす 19 時ときにコハテの子孫しそんおよびコラの子孫しそんたるレビ人びと立たちあがり聲こゑを高たかくあげてイスラエルの神かみヱホバを讃美さんびせり〘631㌻〙

20 かくて皆みな朝󠄃あさはやく起󠄃おきてテコアの野のに出いでゆけり其そのいづるに當あたりてヨシヤパテ立たちて言いひけるはユダの人衆ひと〴〵およびヱルサレムの民たみよ我われに聽きけ汝なんぢらの神かみヱホバを信しんぜよ然さらば汝なんぢら堅かたくあらんその預言者よげんしやを信しんぜよ然さらば汝なんぢら利りあらん 21 彼かれまた民たみと議はかりて人々ひと〴〵を選󠄄えらび之これをして聖󠄃きよき飾󠄃かざりを著つけて軍勢ぐんぜいの前󠄃さきに進󠄃すゝましめヱホバにむかひて歌うたをうたひ且かつこれを讃美さんびせしめヱホバに感謝󠄃かんしやせよ其その恩惠めぐみは世々よゝかぎりなしと言いはしむ 22 その歌うたを歌うたひ讃美さんびをなし始はじむるに當あたりてヱホバ伏兵ふくへいを設まうけかのユダに攻せめきたれるアンモン、モアブ、セイル山やまの子孫ひと〴〵をなやましたまひければ彼かれら打敗うちやぶられたり 23 即すなはちアンモンとモアブの子孫ひと〴〵起󠄃たちてセイル山やまの民たみにむかひ盡こと〴〵くこれを殺ころして滅ほろぼししがセイルの民たみを殺ころし盡つくすに及およびて彼かれらも亦また力ちからをいだして互たがひに滅ほろぼしあへり

24 ユダの人々ひと〴〵野のの觀望󠄇ものみ所󠄃どころに至いたりてかの群衆ぐんしうを觀みたりければ唯たゞ地ちに仆たふれたる死屍しかばねのみにして一人ひとりだに逃󠄄のがれし者ものなかりき 25 是こゝにおいてヨシヤパテおよびその民たみ彼かれらの物ものを奪うばはんとて來きたり觀みるにその死屍しかばねの間あひだに財寳ざいはう衣服󠄃いふくおよび珠玉しゆぎよくなどおびただしく在ありたれば則すなはち各々おの〳〵これを剝はぎとりけるが餘あまりに多おほくして携たづさへ去さること能あたはざる程󠄃ほどなりき其その物もの多おほかりしに因よりて之これを取とるに三日みつかを費つひやしけるが 26 第四日よつかめにベラカ(感謝󠄃かんしや)の谷たにに集あつまり其處そこにてヱホバに感謝󠄃かんしやせり是こゝをもてその處ところの名なを今日こんにちまでベラカ(感謝󠄃かんしや)の谷たにと呼よぶ
 820㌻ 
27 而しかしてユダとヱルサレムの人々ひと〴〵みな各々おの〳〵歸かへりきたりヨシヤパテの後うしろにしたがひ歡よろこびてヱルサレムに至いたれり其そはヱホバ彼等かれらをしてその敵てきの故ゆゑによりて歡喜よろこびを得えさせたまひたればなり 28 即すなはち彼かれら瑟しつと琴ことおよび喇叭らつぱを合奏がつそうしてヱルサレムに往󠄃ゆきてヱホバの室いへにいたる 29 諸もろ〳〵の國くにの民たみヱホバがイスラエルの敵てきを攻擊せめうたたまひしことを聞きゝて神かみを畏おそれたれば 30 ヨシヤパテの國くには平󠄃穩おだやかなりき即すなはちその神かみ四方しはうにおいて之これに安息あんそくを賜たまへり

31 ヨシヤパテはユダの王わうとなり三十五歳さいのときその位くらゐに即つき二十五年ねんの間あひだヱルサレムにて世よを治をさめたり其その母はゝはシルヒの女むすめにして名なをアズバといふ 32 ヨシヤパテはその父󠄃ちゝアサの道󠄃みちにあゆみて之これを離はなれずヱホバの目めに善よしと觀みたまふ事ことを行おこなへり 33 然しかれども崇邱たかきところはいまだ除のぞかず又󠄂また民たみはいまだその先祖せんぞの神かみに心こゝろを傾かたむけざりき 34 ヨシヤパテのその餘ほかの始し終󠄃じうの行爲わざはハナニの子こヱヒウの書ふみに記しるさるヱヒウの事ことはイスラエルの列王れつわうの書ふみに載のす〘632㌻〙

35 ユダの王わうヨシヤパテ後のちにイスラエルの王わうアハジアと相あひ結むすべりアハジアは大おほいに惡あくを行おこなふ者ものなりき 36 ヨシヤパテ、タルシシに遣󠄃やる舟ふねを造󠄃つくらんとて彼かれと相あひ結むすびてエジオンゲベルにて共ともに舟ふね數󠄄すう隻󠄃さうを造󠄃つくれり 37 時ときにマレシヤのドダワの子こエリエゼル、ヨシヤパテにむかひて預言よげんして云いふ汝なんぢアハジアと相あひ結むすびたればヱホバなんぢの作つくりし者ものを毀こぼちたまふと即すなはちその舟ふねは皆みな壞やぶれてタルシシに往󠄃ゆくことを得えざりき

第21章

1 ヨシヤパテその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりてダビデの邑まちにその先祖せんぞ等たちとともに葬はうむられその子こヨラムこれに代かはりて王わうとなる 2 ヨシヤパテの子こたるその兄弟きやうだいはアザリヤ、ヱヒエル、ゼカリヤ、アザリヤ、ミカエルおよびシバテヤ是これみなイスラエルの王わうヨシヤパテの子こなり 3 その父󠄃ちゝ彼かれらに金銀きんぎん寳物はうもつの賜物たまものを多おほく與あたへまたユダの守衛󠄅まもりの邑々まち〳〵を與あたへけるが國くにはヨラムに與あたへたりヨラム長子ちやうしなりければなり
 821㌻ 
4 ヨラムその父󠄃ちゝの位くらゐに登のぼりて力ちからつよくなりければその兄弟きやうだい等たちをことごとく劍つるぎにかけて殺ころし又󠄂またイスラエルの牧伯等つかさたち數󠄄人すうにんを殺ころせり 5 ヨラムは三十二歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて八年ねんの間あひだ世よを治をさめたり 6 彼かれはアハブの家いへのなせるごとくイスラエルの王等わうたちの道󠄃みちにあゆめりアハブの女むすめを妻つまとなしたればなり斯かくかれヱホバの目めに惡あししと觀みたまふ事ことをなせしかども 7 ヱホバ曩さきにダビデに契󠄅約けいやくをなし且かつ彼かれとその子孫しそんとに永遠󠄄とこしへに光明ひかりを與あたへんと言いひたまひし故ゆゑによりてダビデの家いへを滅ほろぼすことを欲のぞみ給たまはざりき

8 ヨラムの世よにエドム人びと叛󠄃そむきてユダの手てに服󠄃ふくせず自みづから王わうを立たてたれば 9 ヨラム其その牧伯等つかさたちおよび一切すべての戰車いくさぐるまをしたがへて渉わたりゆき夜よの中うちに起󠄃たちいでて自己おのれを圍󠄃かこめるエドム人びとを擊うちその戰車いくさぐるまの長かしら等たちを擊うてり 10 エドム人びとは斯かく叛󠄃そむきてユダの手てに服󠄃ふくせずなりしが今日こんにちまで然しかり此時このときにあたりてリブナもまた叛󠄃そむきてユダの手てに服󠄃ふくせずなりぬ是こはヨラムその先祖せんぞの神かみヱホバを棄すてたるに因よりてなり

11 彼かれまたユダの山々やま〳〵に崇邱たかきところを作つくりてヱルサレムの民たみに姦淫かんいんをおこなはせユダを惑まどはせり 12 時ときに預言者よげんしやエリヤの書ふみヨラムの許もとに達󠄃たつせり其その言ことばに云いはく汝なんぢの先祖せんぞダビデの神かみヱホバかく言いひたまふ汝なんぢはその父󠄃ちゝヨシヤパテの道󠄃みちにあゆまずまたユダの王わうアサの道󠄃みちにあゆまずして 13 イスラエルの王等わうたちの道󠄃みちにあゆみユダの人ひととヱルサレムの民たみをしてアハブの家いへの姦淫かんいんをなせるごとくに姦淫かんいんを行おこなはしめまた汝なんぢの父󠄃ちゝの家いへの者ものにて汝なんぢに愈󠄃まされるところの汝なんぢの兄弟きやうだい等どもを殺ころせり〘633㌻〙 14 故ゆゑにヱホバ大おほいなる災禍わざはひをもて汝なんぢの民たみ汝なんぢの子女こども汝なんぢの妻つま等らおよび汝なんぢの一切すべての所󠄃有󠄃もちものを擊うちたまふべし 15 汝なんぢはまた臓腑ざうふの疾やまひを得えて大たい病びやうになりその疾やまひ日々ひびに重おもりて臓腑ざうふつひに墜おちんと
 822㌻ 

16 即すなはちヱホバ、ヨラムを攻せめさせんとてエテオピアに近󠄃ちかきところのペリシテ人びととアラビヤ人びとの心こゝろを振起󠄃ふりおこしたまひければ 17 彼かれらユダに攻せめのぼりて之これを侵󠄃をかし王わうの家いへに在あるところの貨財くわざいを盡こと〴〵く奪うばひ取とりまたヨラムの子等こどもと妻つま等らをも携たづさへ去されり是こゝをもてその末すゑの子こヱホアハズの外ほかには一人ひとりも遺󠄃のこれる者ものなかりき

18 此このもろもろの事ことの後のちヱホバ彼かれを擊うちて臓腑ざうふに愈󠄃いえざる疾やまひを生しやうぜしめたまひければ 19 月󠄃つき日ひを送󠄃おくり二年ねんを經ふるにおよびてその臓腑ざうふ疾やまひのために墜おち重おもき病苦いたつきによりて死しねり民たみかれの先祖せんぞのために焚物たきものをなせし如ごとく彼かれのためには焚物たきものをなさざりき 20 彼かれは三十二歳さいの時とき位くらゐに即つき八年ねんの間あひだヱルサレムにて世よを治をさめて終󠄃つひに薨去みまかれり之これを惜をしむ者ものなかりき人衆ひと〴〵これをダビデの邑まちに葬はうむれり但たゞし王等わうたちの墓はかにはあらず

第22章

1 ヱルサレムの民たみヨラムの季子すゑのこアハジアを王わうとなして之これに繼つがしむ其そは曾かつてアラビヤ人びととともに陣ぢん營えいに攻せめきたりし軍兵ぐんぴやうその長子ちやうしをことごとく殺ころしたればなり是こゝをもてユダの王わうヨラムの子こアハジア王わうとなれり 2 アハジアは四十二歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて一年ねんの間あひだ世よを治をさめたりその母はゝはオムリの女むすめにして名なをアタリヤといふ 3 アハジアもまたアハブの家いへの道󠄃みちに步あゆめり其その母はゝかれを敎をしへて惡あくをなさしめたるなり 4 即すなはち彼かれはアハブの家いへのごとくにヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをおこなへり其その父󠄃ちゝの死しにし後のち彼かれかくアハブの家いへの者ものの敎をしへにしたがひたれば終󠄃つひに身みを滅ほろぼすに至いたれり 5 アハジアまた彼かれらの敎をしへにしたがひイスラエルの王わうアハブの子こヨラムとともにギレアデのラモテにゆきてスリアの王わうハザエルと戰たゝかひけるにスリア人びとヨラムに傷きずを負󠄅おはせたり 6 是こゝにおいてヨラムはそのスリアの王わうハザエルと戰たゝかふにあたりてラムにて負󠄅おふたる傷きずを療いやさんとてヱズレルに歸かへれりユダの王わうヨラムの子こアザリヤはアハブの子こヨラムが病やみをるをもてヱズレルに下くだりてこれを訪とふ
 823㌻ 

7 アハジアがヨラムを訪とふて害󠄅がいに遇󠄃あひしは神かみの然しからしめたまへるなり即すなはちアハジアは來きたり居をりてヨラムとともに出いでてニムシの子こヱヒウを迎󠄃むかへたりヱヒウはヱホバが曩さきにアハブの家いへを絕たえ去さらしめんとて膏あぶらを沃そゝぎたまひし者ものなり〘634㌻〙 8 ヱヒウ、アハブの家いへを罰ばつするに方あたりてユダの牧伯等つかさたちおよびアハジアの兄弟きやうだい等たちの子等こらがアハジアに奉つかへをるに遇󠄃あひて之これを殺ころせり 9 アハジアはサマリヤに匿かくれたりしがヱヒウこれを探さがし求もとめければ人々ひと〴〵これを執とらヘヱヒウの許もとに曳ひききたりて之これを殺ころせり但たゞし彼かれは心こゝろを盡つくしてヱホバを求もとめたるヨシヤパテの子こなればとてこれを葬はうむれり斯かゝりしかばアハジアの家いへは國くにを統治すべをさむる力ちからなくなりぬ

10 茲こゝにアハジアの母はゝアタリヤその子この死しにたるを見みて起󠄃たちてユダの家いへの王わう子こをことごとく滅ほろぼしたりしが 11 王わうの女むすめヱホシバ、アハジアの子こヨアシを王わうの子等こたちの殺ころさるる者ものの中うちより竊ぬすみ取とり彼かれとその乳󠄃媼めのとを夜よ衣ぎの室まにおきて彼かれをアタリヤに匿かくしたればアタリヤかれを殺ころさざりきヱホシバはヨラム王わうの女むすめアハジアの妹いもうとにして祭司さいしヱホヤダの妻つまなり 12 かくてヨアシはヱホバの家いへに匿かくれて彼かれらとともにをること六年ねんアタリヤ國くにに王わうたりき

第23章

1 第だい七年ねんにいたりヱホヤダ力ちからを强つよくしてヱロハムの子こアザリヤ、ヨハナンの子こイシマエル、オベデの子こアザリア、アダヤの子こマアセヤ、ジクリの子こエシヤパテなどいふ百ひやく人にんの長かしら等たちを招まねきて己おのれと契󠄅約けいやくを結むすばしむ 2 是こゝにおいて彼かれらユダを行ゆきめぐりてユダの一切すべての邑まちよりレビ人びとを集あつめまたイスラエルの族ぞく長ちやうを集あつめてヱルサレムに歸かへり 3 而しかしてその會衆くわいしうみな神かみの家いへにおいて王わうと契󠄅約けいやくを結むすべり時ときにヱホヤダかれらに言いひけるけるはダビデの子孫しそんの事ことにつきてヱホバの宣のたまひしごとく王わうの子こ位くらゐに即つくべきなり 4 然されば汝なんぢら斯かくなすべし汝なんぢら祭司さいしおよびレビ人びとの安息日あんそくにちに入いりきたる者ものは三分󠄃ぶんの一は門もんを守まもり 5 三分󠄃ぶんの一は王わうの家いへに居をり三分󠄃ぶんの一は基礎いしずゑの門もんに居をり民たみはみなヱホバの室いへの庭󠄄にはに居をるべし
 824㌻ 
6 祭司さいしと奉事つとめをするレビ人びとの外ほかは何人なにびともヱホバの家いへに入いるべからず彼かれらは聖󠄃者きよきものなれば入いることを得うるなり民たみはみなヱホバの殿みやを守まもるべし 7 レビ人びとはおのおの手てに武器ぶきを執とりて王わうを繞めぐりて立たつべし家いへに入いる者ものをば凡すべて殺ころすべし汝なんぢらは王わうの出いづる時ときにも入いる時ときにも王わうとともに居をれと

8 是こゝにおいてレビ人びとおよびユダの人衆ひと〴〵は祭司さいしヱホヤダが凡すべて命めいじたる如ごとくに行おこなひ各々おの〳〵その手ての人ひとの安息日あんそくにちに入いり來くべき者ものと安息日あんそくにちに出いでゆくべき者ものとを率󠄃ひきゐ居をれり祭司さいしヱホヤダ班列くみの者ものを去さらせざればなり 9 祭司さいしヱホヤダすなはち神かみの家いへにあるダビデ王わうの鎗やりおよび大楯おほだて小こ楯だてを百ひやく人にんの長かしら等たちに交󠄄わたし 10 一切すべての民たみをして各々おの〳〵武器ぶきを手てに執とりて王わうの四周󠄃まはりに立たち殿みやの右みぎの端はしより殿みやの左ひだりの端はしにおよびて壇だんと殿みやにそふて居をらしむ〘635㌻〙 11 斯かくて人衆ひと〴〵王わうの子こを携たづさへ出いだし之これに冠冕󠄅かんむりを戴いただかせ證詞あかしをわたして王わうとなし祭司さいしヱホヤダおよびその子等こらこれに膏あぶらをそそげり而しかして皆みな王わう長壽いのちながかれと言いふ

12 茲こゝにアタリヤ民たみと近󠄃衛󠄅このゑ兵へいと王わうを讃ほむる者ものとの聲こゑを聞ききヱホバの室いへに入いりて民たみの所󠄃ところに至いたり 13 視みるに王わうは入いり口くちにてその柱󠄃はしらの傍かたはらに立たち王わうの側そばに軍長ぐんちやうと喇叭らつぱ手ふき立たちをり亦また國くにの民たみみな喜よろこびて喇叭らつぱを吹ふき謳歌者うたうたふもの樂がくを奏そうし先さきだちて讃美さんびを歌うたひをりしかばアタリヤその衣ころもを裂さき叛󠄃逆󠄃はんぎやくなり叛󠄃逆󠄃はんぎやくなりと言いへり 14 時ときに祭司さいしヱホヤダ軍兵ぐんぴやうを統すぶる百ひやく人にんの長かしら等たちを呼よび出いだしてこれに言いふ彼かれをして列れつの間あひだを通󠄃とほりて出いでしめよ凡すべて彼かれに從したがふ者ものをば劍つるぎをもて殺ころすべしと祭司さいしは彼かれをヱホバの室いへに殺ころすべからずとて斯かくいへるなり 15 是こゝをもて之これがために路みちをひらき王わうの家いへの馬むまの門もんの入いり口くちまで往󠄃ゆかしめて其處そこにて之これを殺ころせり

16 斯かくてヱホヤダ己おのれと一切すべての民たみと王わうとの間あひだにわれらは皆みなヱホバの民たみとならんことの契󠄅約けいやくを結むすべり 17 是こゝにおいて民たみみなバアルの室いへにゆきて之これを毀こぼちその壇だんとその像󠄃ざうを打うち碎くだきバアルの祭司さいしマツタンを壇だんの前󠄃まへに殺ころせり
 825㌻ 
18 ヱホヤダまたヱホバの室いへの職事つとめを祭司さいしレビ人びとの手てに委ゆだぬ昔むかしダビデ、レビ人びとを班列くみにわかちてヱホバの室いへにおきモーセの律法おきてに記しるされたる所󠄃ところにしたがひて歡喜よろこびと謳歌うたとをもてヱホバの燔祭はんさいを献さゝげしめたりき今いまこのダビデの例れいに傚ならふ 19 彼かれまたヱホバの室いへの門々もん〳〵に看守まもる者ものを立たゝせ置おき身みの汚けがれたる者ものには何なにによりて汚けがれたるにもあれ凡すべて入いることを得えざらしむ 20 斯かくてヱホヤダ百ひやく人にんの長かしら等たちと貴族きぞくと民たみの牧伯等つかさたちおよび國くにの一切すべての民たみを率󠄃ひきゐてヱホバの家いへより王わうを導󠄃みちびきくだり上かみの門もんよりして王わうの家いへにいり王わうを國くにの位くらゐに坐ざせしめたり 21 斯かゝりしかば國くにの民たみみな喜よろこびて邑まちは平󠄃穩おだやかなりきアタリヤは劍つるぎにて殺ころさる

第24章

1 ヨアシは七歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて四十年ねんの間あひだ世よを治をさめたりその母はゝはベエルシバより出いでたる者ものにして名なをヂビアといふ 2 ヨアシは祭司さいしヱホヤダの世よにある日ひの間あひだは恒つねにヱホバの善よしと觀みたまふことを行おこなへり 3 ヱホヤダ彼かれのために二人ふたりの妻つまを娶めとれり男子なんし女子によし生うまる

4 此この後のちヨアシ、ヱホバの室いへを修繕つくろはんと志こころざし 5 祭司さいしとレビ人びとを集あつめて之これに言いひけるは汝なんぢら出いでてユダの邑々まち〳〵に往󠄃ゆき汝なんぢらの神かみヱホバの室いへを歳々とし〴〵修繕つくろふべき金子かねをイスラエルの人衆ひと〴〵より聚あつむべし其その事ことを亟󠄃すみやかにせよと然しかるにレビ人びとこれを亟󠄃すみやかにせざりき〘636㌻〙 6 王わうヱホヤダ長をさを召めしてこれに言いひけるは汝なんぢなんぞレビ人びとに求もとめてヱホバの僕しもべモーセおよびイスラエルの會衆くわいしうの古昔むかし證詞あかしの幕屋まくやのために集あつめたるが如ごとき税ぜいをユダとヱルサレムより取とりきたらせざるやと 7 かの惡あしき婦󠄃をんなアタリヤの子等こら神かみの家いへを壞やぶりかつヱホバの家いへの諸もろ〳〵の奉納󠄃物ほうなふものをバアルに供そなへたり

8 是こゝにおいて王わうの命めいにしたがひて一箇ひとつの匱はこを作つくりヱホバの室いへの門もんの外そとにこれを置おき 9 ユダとヱルサレムに宣布ふれて汝なんぢら神かみの僕しもべモーセが荒野あれのにてイスラエルに課くわしたる如ごとき税ぜいをヱホバに携たづさへきたれと言いひけるに
 826㌻ 
10 一切すべての牧伯等つかさたちおよび一切すべての民たみみな喜よろこびて携たづさへきたりその匱はこに投なげいれて遂󠄅つひに納󠄃をさめをはれり 11 レビ人びとその匱はこに金きんの多おほくあるを見みてこれを王わうの廳ちやうに携たづさへゆく時ときは王わうの書記しよきと祭司さいしの長をさの下した役やくきたりてその匱はこを傾かたむけ復またこれを取とりて本もとの處ところに持もちゆけり日々ひびに斯かくのごとくして金きんを聚あつむること夥多おびただし 12 而しかして王わうとヱホヤダこれをヱホバの家いへの工事こうじを爲なす者ものに付わたし石工せきこうおよび木匠たくみを雇󠄃やとひてヱホバの室いへを修繕つくろはせまた鐵てつ工こうおよび銅どう工こうを雇󠄃やとひてヱホバの室いへを修復しゆふくせしめけるが 13 工人こうじん動作はたらきてその工事こうじを成󠄃なしをへ神かみの室いへを本もとの狀さまに復ふくしてこれを堅固けんごにす 14 その旣󠄁すでに成󠄃なるにおよびて餘あまれる金きんを王わうとヱホヤダの前󠄃まへに持もちいたりければ其それをもてヱホバの室いへのために器皿うつはものを作つくれり即すなはち奉事つとめの器うつは献祭ささげものの器うつはおよび匙さじならびに金銀きんぎんの器うつはを作つくれりヱホヤダが世よに在ある日ひの間あひだはヱホバの室いへにて燔祭はんさいをささぐること絕たえざりき

15 ヱホヤダは年邁としすすみ日ひ滿みちて死しねりその死しねる時ときは百ひやく三十歳さいなりき 16 人衆ひと〴〵ダビデの邑まちにて王等わうたちの中間なかにこれを葬はうむる其そは彼かれイスラエルの中うちにおいて神かみとその殿みやとにむかひて善事よきことをおこなひたればなり 17 ヱホヤダの死しにたる後のちユダの牧伯等つかさたちきたりて王わうを拜はいす是こゝにおいて王わうこれに聽きゝしたがふ 18 彼かれらその先祖せんぞの神かみヱホバの室いへを棄すててアシラ像󠄃ざうおよび偶像󠄃ぐうざうに事つかへたればその愆とがのために震怒いかりユダとヱルサレムに臨のぞめり 19 ヱホバかれらを己おのれにひきかへさんとて預言者よげんしや等たちを遣󠄃つかはし之これにむかひて證あかしをたてさせたまひしかども聽きくことをせざりき

20 是こゝにおいて神かみの靈みたま祭司さいしヱホヤダの子こゼカリヤに臨のぞみければ彼かれ民たみの前󠄃まへに高たかく起󠄃たちあがりて之これに言いひけるは神かみかく宣のたまふ汝なんぢらヱホバの誡命いましめを犯をかして災禍わざはひを招まねくは何なにぞや汝なんぢらヱホバを棄すてたればヱホバも汝なんぢらを棄すてたまふと〘637㌻〙 21 然しかるに人衆ひと〴〵かれを害󠄅がいせんと謀はかり王わうの命めいによりて石いしをもてこれをヱホバの室いへの庭󠄄にはにて擊うち殺ころせり 22 斯かくヨアシ王わうはゼカリヤの父󠄃ちゝヱホヤダが己おのれにほどこせし恩おんを念おもはずしてその子こを殺ころせり彼かれ死しぬる時ときにヱホバこれを顧󠄃かへりみこれを問とひ討たゞしたまへと言いへり
 827㌻ 

23 かくてその年としの終󠄃をはるにおよびてスリアの軍勢ぐんぜいかれにむかひて攻せめのぼりユダとヱルサレムにいたりて民たみの牧伯等つかさたちをことごとく民たみの中うちより滅ほろぼし絕たちその掠取物ぶんどりものを凡すべてダマスコの王わうに遣󠄃おくれり 24 この時ときスリアの軍勢ぐんぜいは小せう勢ぜいにて來きたりけるにヱホバ大軍たいぐんをこれが手てに付わたしたまへり是こはその先祖せんぞの神かみヱホバを棄すてたるが故ゆゑなり斯かくかれらヨアシを罰ばつせり

25 スリア人びとヨアシに大おほ傷きずをおはせて遺󠄃すて去さりけるがヨアシの臣僕しもべ等ら祭司さいしヱホヤダの子等こらの血ちのために黨たうをむすびて之これに叛󠄃そむき之これをその床とこの上うへに弑しいして死しなしめたり人衆ひと〴〵これをダビデの邑まちに葬はうむれり但たゞし王わうの墓はかには葬はうむらざりき 26 黨たうをむすびて之これに叛󠄃そむきし者ものはアンモンの婦󠄃をんなシメアテの子こザバデおよびモアブの婦󠄃をんなシムリテの子こヨザバデなりき 27 ヨアシの子等こらの事ことヨアシの吿つげられし預言よげんおよび神かみの室いへを修繕つくろひし事ことなどは列王れつわうの書ふみの註釋ちうしやくに記しるさるヨアシの子こアマジヤこれに代かはりて王わうとなれり

第25章

1 アマジヤは二十五歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて二十九年ねんの間あひだ世よを治をさめたりその母はゝはヱルサレムの者ものにして名なをヱホアダンといふ 2 アマジヤはヱホバの善よしと視みたまふ事ことを行おこなひしかども心こゝろを全󠄃まつたうしてこれを爲なさざりき 3 彼かれ國くにのおのが手てに堅かたく立たつにおよびてその父󠄃ちゝ王わうを弑しいせし臣僕しもべ等らを殺ころせり 4 然されどその子女こども等らをば殺ころさずしてモーセの書ふみの律法おきてに記しるせるごとく爲なせり即すなはちヱホバ命めいじて言いひたまはく父󠄃ちゝはその子女こどもの故ゆゑによりて殺ころさるべからず子女こどもはその父󠄃ちゝの故ゆゑによりて殺ころさるべからず各々おの〳〵おのれの罪つみによりて殺ころさるべきなりと
 828㌻ 

5 アマジヤ、ユダの人ひとを集あつめその父󠄃祖ふその家いへにしたがひて或あるひは千せん人にんの長かしらに附屬ふぞくせしめ或あるひは百ひやく人にんの長かしらに附屬ふぞくせしむユダとベニヤミンともに然しかり且かつ二十歳さい以上いじやうの者ものを數󠄄かぞへ戈ほこと楯たてとを執とりて戰鬪たたかひに臨のぞむ倔强くつきやうの士し三十萬まんを得え 6 また銀ぎん百ひやくタラントをもてイスラエルより大勇󠄃士だいゆうし十萬まんを傭やとへり 7 時ときに神かみの人ひとかれに詣いたりて言いひけるは王わうよイスラエルの軍勢ぐんぜいをして汝なんぢとともに往󠄃ゆかしむる勿なかれヱホバはイスラエル人びとすなはちエフライムの子孫ひと〴〵とは偕ともにいまさざるなり 8 汝なんぢもし往󠄃ゆかば心こゝろを强つよくして戰鬪たたかひを爲なせ神かみなんぢをして敵てきの前󠄃まへに斃たふれしめたまはん神かみは助たすくる力ちからありまた倒たふす力ちからあるなり〘638㌻〙 9 アマジヤ神かみの人ひとにいひけるは然さらば已すでにイスラエルの軍隊󠄄ぐんたいに與あたへたる百ひやくタラントを如何いかにすべきや神かみの人ひと答こたへけるはヱホバは其それよりも多おほき者ものを汝なんぢに賜たまふことを得うるなりと 10 是こゝにおいてアマジヤかのエフライムより來きたりて己おのれに就つける軍隊󠄄ぐんたいを分󠄃わけ離はなしてその處ところに歸かへらしめければ彼かれらユダにむかひて烈はげしく怒いかりを發はつし火ひのごとくに怒いかりてその處ところに歸かへれり 11 かくてアマジヤは力ちからを强つよくしその民たみを率󠄃ひきゐて鹽しほの谷たにに往󠄃ゆきセイル人びと一萬まんを擊うち殺ころせり 12 ユダの子孫ひと〴〵またこの外ほかに一萬人まんにんを生擒いけどりて磐いはの頂いたゞきに曳ひきゆき磐いはの頂いたゞきよりこれを投なげおとしければ皆みな微塵こな〴〵に碎くだけたり 13 前󠄃さきにアマジヤが己おのれとともに戰鬪たたかひに往󠄃ゆくべからずとして歸かへし遣󠄃やりたる軍ぐん卒そつ等らサマリアよりベテホロンまでのユダの邑々まち〳〵を襲󠄂おそひ人ひと三千ぜんを擊うちころし物ものを多おほく奪うばふ

14 アマジヤ、エドム人びとを戮ころして歸かへる時ときにセイル人びとの神々かみ〴〵を携たづさへ來きたり之これを安置あんちして己おのれの神かみとなしその前󠄃まへに禮拜をがみをなし之これに香かうを焚たけり 15 是こゝをもてヱホバ、アマジヤにむかひて怒いかりを發はつし預言者よげんしやをこれに遣󠄃つかはして言いはしめたまひけるは彼かの民たみの神々かみ〴〵は己おのれの民たみを汝なんぢの手てより救すくふことを得えざりし者ものなるに汝なんぢなにとて之これを求もとむるや 16 彼かれかく王わうに語かたれる時とき王わうこれにむかひ我儕われら汝なんぢを王わうの議官ぎくわんとなせしや止やめよ汝なんぢなんぞ擊うち殺ころされんとするやと言いひければ預言者よげんしやすなはち止やめて言いへり我われ知しる汝なんぢこの事ことを行おこなびて吾わが諫いさめを聽きゝいれざるによりて神かみなんぢを滅ほろぼさんと決さだめたまふと
 829㌻ 

17 斯かくてユダの王わうアマジヤ相あひ議はかりて人ひとをヱヒウの子こヱホアハズの子こなるイスラエルの王わうヨアシに遣󠄃つかはし來きたれ我儕われらたがひに面かほをあはせんと言いはしめければ 18 イスラエルの王わうヨアシ、ユダの王わうアマジヤに言いひおくりけるはレバノンの荊棘いばらかつてレバノンの香柏かうはくに汝なんぢの女子むすめを我わが子この妻つまに與あたへよと言いひおくりたること有󠄃ありしにレバノンの野や獸じうとほりてその荊棘いばらを踏ふみたふせり 19 汝なんぢはエドム人びとを擊破うちやぶれりと謂いひ心こゝろにたかぶりて誇ほこる然されば汝なんぢ家いへに安やすんじ居をれ何なんぞ禍わざはひを惹ひきおこして自己おのれもユダもともに亡ほろびんとするやと

20 然しかるにアマジヤ聽きくことをせざりき此事このことは神かみより出いでたる者ものにて彼かれらをその敵てきの手てに付わたさんがためなり是こは彼かれらエドムの神々かみ〴〵を求もとめしに因よる 21 是こゝにおいてイスラエルの王わうヨアシ上のぼりきたりユダのベテシメシにてユダの王わうアマジヤと面かほをあはせたりしが 22 ユダ、イスラエルに擊うち敗やぶられて各々おの〳〵その天てん幕まくに逃󠄄にげかへりぬ〘639㌻〙 23 時ときにイスラエルの王わうヨアシはヱホアハズの子こヨアシの子こなるユダの王わうアマジヤをベテシメシに執とらへてヱルサレムに携たづさへゆきヱルサレムの石垣いしがきをエフライムの門もんより隅すみの門もんまで四百ひやくキユビト程󠄃ほどを毀こぼち 24 また神かみの室いへの中うちにてオベデエドムが守まもり居をる一切すべての金銀きんぎんおよび諸もろ〳〵の器皿うつはものならびに王わうの家いへの財寳ざいはうを取とりかつ人ひと質じちをとりてサマリアに歸かへれり

25 ユダの王わうヨアシの子こアマジヤはイスラエルの王わうヱホアハズの子こヨアシの死しにてより後のちなほ十五年ねん生存いきながらへたり 26 アマジヤのその餘ほかの始し終󠄃じうの行爲わざはユダとイスラエルの列王れつわうの書ふみに記しるさるるにあらずや 27 アマジヤ飜ひるがへりてヱホバに從したがはずなりし後のちヱルサレムにおいて黨たうを結むすびて彼かれに敵てきする者ものありければ彼かれラキシに逃󠄄にげゆきけるにその人々ひと〴〵ラキシに人ひとをやりて彼かれを其處そこに殺ころさしめたり 28 人衆ひと〴〵これを馬むまに負󠄅おはせてきたりユダの邑まちにてその先祖せんぞ等たちとともにこれを葬はうむりぬ
 830㌻ 

第26章

1 是こゝにおいてユダの民たみみなウジヤをとりて王わうとなしてその父󠄃ちゝアマジヤに代かはらしめたり時ときに年とし十六なりき 2 彼かれエラテの邑まちを建󠄄たててこれを再ふたゝびユダに歸きせしむ是これはかの王わうがその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりし後のちなりき 3 ウジヤは十六歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて五十二年ねんの間あひだ世よを治をさめたりその母はゝはヱルサレムの者ものにして名なをヱコリアといふ 4 ウジヤはその父󠄃ちゝアマジヤが凡すべてなしたる如ごとくヱホバの善よしと觀みたまふ事ことを行おこなひ 5 神かみの默示もくしに明あきらかなりしかのゼカリヤの世よにある日ひの間あひだ心こゝろをこめてヱホバを求もとめたりそのヱホバを求もとむる間あひだは神かみこれをして幸福さいはひならしめたまへり

6 彼かれいでてペリシテ人びとと戰たゝかひガテの石垣いしがきヤブネの石垣いしがきおよびアシドドの石垣いしがきを圮くづしアシドドの地ちならびにペリシテ人びとの中間なかに邑まちを建󠄄たつ 7 神かみかれを助たすけてペリシテ人びとグルバアルに住󠄃すむアラビヤ人びとおよびメウニ人びとを攻擊せめうたしめたまへり 8 アンモニ人びとはまたウジヤに貢みつぎを納󠄃いるウジヤの名なつひにエジプトの入いり口くちまでも廣ひろまれり其そは甚はなはだ强つよくなりければなり 9 ウジヤ、ヱルサレムの隅すみの門もん谷たにの門もんおよび角隅すみ〴〵に戌樓やぐらを建󠄄たててこれを堅固けんごにし 10 また荒野あれのに戌樓やぐらを建󠄄たて許多あまたの水溜みづためを掘ほれり其そは家畜かちくを多おほく有󠄃もちたればなり亦また平󠄃野ひらのにも平󠄃地ひらちにも家畜かちくを有󠄃もてり又󠄂また山々やま〳〵およびカルメルには農夫のうふと葡萄ぶだうを修つくる者ものを有󠄃もてり農事のうじを好このみたればなり 11 ウジヤ戰士いくさびと一旅󠄃團りよだんあり書記しよきヱイエルと牧伯つかさマアセヤの數󠄄かず調󠄃査しらべによりて隊󠄄々くみ〴〵にわかれて戰爭いくさに出いづ皆みな王わうの軍長ぐんちやうハナニヤの手てに屬ぞくす〘640㌻〙 12 大勇󠄃士だいゆうしの族ぞく長ちやうの數󠄄かずは都合あはせて二千せん六百ぴやく 13 その手てに屬ぞくする軍勢ぐんぜいは三十萬まん七千せん五百ひやく人にんみな大おほいなる力ちからをもて戰たゝかひ王わうを助たすけて敵てきに當あたる 14 ウジヤその全󠄃ぜん軍ぐんのために楯たて戈ほこ兜かぶと鎧よろひ弓ゆみおよび投石器いしなげきの石いしを備そなふ 15 彼かれまたヱルサレムにおいて工人こうじんに機き械かいを案かんがへ造󠄃つくらしめ之これを戌樓やぐらおよび石垣いしがきに施ほどこし之これをもて矢やならびに大おほ石いしを射󠄂い出いだせり是こゝにおいてその名な遠󠄄とほく廣ひろまれり其そは非ひ常じやうの援󠄃助たすけを蒙かうむりて旺盛󠄃さかんになりたればなり
 831㌻ 

16 然しかるに彼かれ旺盛󠄃さかんになるにおよびその心こゝろに高たかぶりて惡あしき事ことを行おこなへり即すなはち彼かれその神かみヱホバにむかひて罪つみを犯をかしヱホバの殿みやに入いりて香かう壇だんの上うへに香かうを焚たかんとせり 17 時ときに祭司さいしアザリヤ、ヱホバの祭司さいしたる勇󠄃者ゆうしや八十人にんを率󠄃ひきゐて彼かれの後あとにしたがひ入いり 18 ウジヤ王わうを阻さゝへてこれに言いひけるはウジヤよヱホバに香かうを焚たくことは汝なんぢのなすべき所󠄃ところにあらずアロンの子孫しそんにして香かうを焚たくために潔󠄄きよめられたる祭司さいし等どものなすべき所󠄃ところなり聖󠄃所󠄃せいじよより出いでよ汝なんぢは罪つみを犯をかせりヱホバ神かみなんぢに榮さかえを加くはへたまはじと 19 是こゝにおいてウジヤ怒いかりを發はつし香かう爐ろを手てにとりて香かうを焚たかんとせしがその祭司さいしにむかひて怒いかりを發はつしをる間あひだに癩らい病びやうその額ひたひに起󠄃おこれり時ときに彼かれはヱホバの室いへにて祭司さいし等たちの前󠄃まへにあたりて香かう壇だんの側そばにをる 20 祭司さいしの長をさアザリヤおよび一切すべての祭司さいし等たち彼かれを見みしに已すでにその額ひたひに癩らい病びやう生しやうじゐたれば彼かれを其處そこより速󠄃すみやかにいだせり彼かれもまたヱホバの己おのれを擊うちたまへるを見みて自みづから急󠄃いそぎて出いで去されり 21 ウジヤ王わうはその死しぬる日ひまで癩らい病びやう人にんとなり居をりしがその癩らい病びやう人にんとなるにおよびては別はなれ殿どのに住󠄃すめりヱホバの室いへより斷たゝれたればなり其その子こヨタム王わうの家いへを管理つかさどりて國くにの民たみを審判󠄄さばけり 22 ウジヤのその餘ほかの始し終󠄃じうの行爲わざはアモツの子こ預言者よげんしやイザヤこれを書記かきしるしたり 23 ウジヤその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりたれば彼かれは癩らい病びやう人にんなりとて王等わうたちの墓はかに連󠄃接つらなる地ちにこれを葬はうむりてその先祖せんぞ等たちとともならしむその子こヨタムこれに代かはりて王わうとなれり

第27章

1 ヨタムは二十五歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて十六年ねんの間あひだ世よを治をさめたり其その母はゝはザドクの女むすめにして名なをヱルシヤといふ 2 ヨタムはその父󠄃ちゝウジヤの凡すべて爲なしたるごとくヱホバの善よしと視みたまふ事ことをなせり但たゞしヱホバの殿みやには入いらざりき民たみは尙なほ惡あしき事ことを爲なせり 3 彼かれヱホバの家いへの上かみの門もんを建󠄄たてなほしオペルの石垣いしがきを多おほく築きづき增まし
 832㌻ 
4 ユダの山地やまちに數󠄄すう箇この邑まちを建󠄄たて林はやしの間あひだに城󠄃しろおよび戌樓やぐらを築きづけけり 5 彼かれアンモニ人びとの王わうと戰たゝかひこれに勝󠄃かてり其その年としアンモンの子孫ひと〴〵銀ぎん百ひやくタラント小麥こむぎ一萬まん石ごく大おほ麥むぎ一萬まん石ごくを彼かれにおくれりアンモンの子孫ひと〴〵は第だい二年ねんにも第だい三年ねんにも是かくのごとく彼かれに貢みつぎをいる〘641㌻〙 6 ヨタムその神かみヱホバの前󠄃まへにおいてその行おこなひを堅かたうしたるに因よりて權能ちからある者ものとなれり 7 ヨタムのその餘ほかの行爲わざその一切すべての戰鬪たたかひおよびその行おこなひなどはイスラエルとユダの列王れつわうの書ふみに記しるさる 8 彼かれは二十五歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて十六年ねんの間あひだ世よを治をさめたり 9 ヨタムその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりたればダビデの邑まちにこれを葬はうむれりその子こアハズこれに代かはりて王わうとなる

第28章

1 アハズは二十歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて十六年ねんの間あひだ世よを治をさめたりしがその父󠄃ちゝダビデと異ことにしてヱホバの善よしと觀みたまふ所󠄃ところを行おこなはず 2 イスラエルの王等わうたちの道󠄃みちにあゆみ亦また諸もろ〳〵のバアルのために像󠄃ざうを鑄い造󠄃つくり 3 ベンヒンノムの谷たににて香かうを焚たきその子こを火ひに燒やきなどしてヱホバがイスラエルの子孫ひと〴〵の前󠄃まへより逐󠄃おひはらひたまひし異邦󠄆人いはうじんの行おこなふところの憎にくむべき事ことに傚ならひ 4 また崇邱たかきところの上うへ丘をかの上うへ一切すべての靑あを木きの下したにて犧牲いけにへをささげ香かうを焚たけり

5 是故このゆゑにその神かみヱホバかれをスリアの王わうの手てに付わたしたまひてスリア人びとつひに彼かれを擊破うちやぶりその人々ひと〴〵を衆おほく虜囚とりことしてダマスコに曳ひきゆけり彼かれはまたイスラエルの王わうの手てにも付わたされたればイスラエルの王わうかれを擊うちて大おほいにその人ひとを殺ころせり 6 すなはちレマリヤの子こペカ、ユダにおいて一日にちの中うちに十二萬人まんにんを殺ころせり皆みな勇󠄃士ゆうしなりき是こは彼かれらその先祖せんぞの神かみヱホバを棄すてしによるなり 7 その時ときにエフライムの勇󠄃士ゆうしジクリといふ者もの王わうの子こマアセヤ宮內くない卿きやうアズリカムおよび王わうに亞つぐ人ひとエルカナを殺ころせり
 833㌻ 

8 イスラエルの子孫ひと〴〵つひにその兄弟きやうだいの中うちより婦󠄃人をんなならびに男子むすこ女子むすめなど合あはせて二十萬人まんにんを俘擄とりこにしまた衆多おほくの掠取物ぶんどりものを爲なしその掠取物ぶんどりものをサマリアに携たづさへゆけり 9 時ときに彼處かしこにヱホバの預言者よげんしやありその名なをオデデといふ彼かれサマリアに歸かへれる軍勢ぐんぜいの前󠄃まへに進󠄃すゝみいでて之これに言いひけるは汝なんぢらの先祖せんぞの神かみヱホバ、ユダを怒いかりてこれを汝なんぢらの手てに付わたしたまひしが汝なんぢらは天てんに達󠄃たつするほどの忿怒いかりをもて之これを殺ころせり 10 然しかのみならず汝なんぢら今いまユダとヱルサレムの子孫ひと〴〵を壓󠄂おしつけて己おのれの奴婢ぬひとなさんと思おもふ然されども汝なんぢら自身みづからもまた汝なんぢらの神かみヱホバに罪つみを獲えたる身みにあらずや 11 然されば今いま我われに聽きき汝なんぢらがその兄弟きやうだいの中うちより擄とらへ來きたりし俘擄とりこを放はなち歸かへせヱホバの烈はげしき怒いかりなんぢらの上うへに臨のぞまんとすればなりと 12 是こゝにおいてエフライム人びとの長をさたる人々ひと〴〵すなはちヨハナンの子こアザリヤ、メシレモテの子こベレキヤ、シヤルムの子こヒゼキヤ、ハデライの子こアマサ等ら戰爭いくさより歸かへれる者等ものどもの前󠄃まへに立たちふさがりて〘642㌻〙 13 之これにいひけるは汝なんぢら俘擄とりこを此こゝに曳ひきいるべからず汝なんぢらは我われらをしてヱホバに愆とがを得えせしめて更󠄃さらに我われらの罪愆つみとがを增まさんとす我われらの愆とがは大おほいにして烈はげしき怒いかりイスラエルにのぞまんとするなりと 14 是こゝにおいて兵へい卒そつ等どもその俘擄とりこと掠取物ぶんどりものを牧伯等つかさたちと全󠄃ぜん會衆くわいしうの前󠄃まへに遺󠄃すておきければ 15 上かみに名なを擧あげたる人々ひと〴〵たちて俘擄とりこを受うけ取とり掠取物ぶんどりものの中うちより衣服󠄃ころもを取とりてその裸はだかなる者ものに着きせ之これに靴くつを穿󠄂はかせ食󠄃くひ飮のみを爲なさしめ膏油あぶらを沃そゝぎ等などしその弱󠄃よわき者ものをば盡こと〴〵く驢馬ろばに乘のせ斯かくして之これを棕櫚しゆろの邑まちヱリコに導󠄃みちびきゆきてその兄弟きやうだいに詣いたらしめ而しかしてサマリアに歸かへれり

16 當時そのころアハズ王わう人ひとをアツスリヤの王等わうたちに遣󠄃つかはして援󠄃助たすけを乞こはしむ 17 其そはエドム人びとまた來きたりてユダを攻擊せめうち民たみを擄とらへて去さりたればなり 18 ペリシテ人びともまた平󠄃野ひらのの邑々まち〳〵およびユダの南みなみの邑々まち〳〵を侵󠄃をかしてベテシメシ、アヤロン、ゲデロテおよびシヨコとその郷里むらざとテムナとその郷里むらざとギムゾとその郷里むらざとを取とりて其處そこに住󠄃すめり 19 イスラエルの王わうアハズの故ゆゑをもてヱホバかくユダを卑ひくくしたまふ其そは彼かれユダの中うちに淫逸みだりなる事ことを行おこなひかつヱホバにむかひて大おほいに罪つみを犯をかしたればなり
 834㌻ 
20 アツスリヤの王わうテグラテピレセルは彼かれの所󠄃ところに來きたりしかども彼かれに力ちからをそへずして反かへつてこれを煩わづらはせり 21 アハズ、ヱホバの家いへと王わうの家いへおよび牧伯等つかさたちの家いへの物ものを取とりてアツスリヤの王わうに與あたへけれどもアハズを援󠄃たすくることをせざりき

22 このアハズ王わうはその困難なやみの時ときに當あたりてますますヱホバに罪つみを犯をかせり 23 即すなはち彼かれおのれを擊うてるダマスコの神々かみ〴〵に犧牲いけにへを献さゝげて言いふスリアの王等わうたちの神々かみ〴〵はその王等わうたちを助たすくれば我われもこれに犧牲いけにへを献さゝげん然されば彼かれら我われを助たすけんと然しかれども彼等かれらはかへつてアハズとイスラエル全󠄃國ぜんこくを仆たふす者ものとなれり 24 アハズ神かみの室いへの器皿うつはものを取とり聚あつめて神かみの室いへの器皿うつはものを切きりやぶりヱホバの室いへの戶とを閉とぢヱルサレムの隅々すみ〴〵に凡すべて祭壇さいだんを造󠄃つくり 25 ユダの一切すべての邑々まち〳〵に崇邱たかきところを造󠄃つくりて別あさし神かみに香かうを焚たき等などしてその先祖せんぞの神かみヱホバの忿怒いかりを惹ひきおこせり 26 アハズのその餘ほかの始し終󠄃じうの行爲わざおよびその一切すべての行跡おこなひはユダとイスラエルの列王れつわうの書ふみに記しるさる 27 アハズその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりたればエルサレムの邑まちにこれを葬はうむれり然されどイスラエルの王等わうたちの墓はかにはこれを持もちゆかざりき其その子こヒゼキヤこれに代かはりて王わうとなる〘643㌻〙

第29章

1 ヒゼキヤは二十五歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて二十九年ねんの間あひだ世よを治をさめたりその母はゝはゼカリヤの女むすめにして名なをアビヤといふ 2 ヒゼキヤはその父󠄃ちゝダビデの凡すべてなしたる如ごとくヱホバの目めに善よしと視みたまふ事ことをなせり 3 即すなはち彼かれその治世ぢせいの第だい一年ねん一月󠄃ぐわつにヱホバの室いへの戶とを開ひらきかつ之これを修繕つくろひ 4 祭司さいしおよびレビ人びとを携たづさへいりて東ひがしの廣場ひろばにこれを集あつめ 5 而しかして之これにいひけるはレビ人びとよ我われに聽きけ汝等なんぢらいま身みを潔󠄄きよめて汝等なんぢらの先祖せんぞの神かみヱホバの室いへを潔󠄄きよめ汚穢けがれを聖󠄃所󠄃せいじよより除のぞきされ 6 夫それ我われらの先祖せんぞは罪つみを犯をかし我われらの神かみヱホバの目めに惡あししと見みたまふことを行おこなひてヱホバを棄すてヱホバの住󠄃所󠄃すみかに面かほを背そむけて後うしろをこれに向むけ
 835㌻ 
7 また廊らうの戶とを閉とぢ燈火ともしびを消󠄃けし聖󠄃所󠄃せいじよにてイスラエルの神かみに香かうを焚たかず燔祭はんさいを献さゝけざりし 8 是こゝをもてヱホバの忿怒いかりユダとヱルサレムに臨のぞみヱホバ彼等かれらをして打うちただよはされしめ詑異おどろきとならしめ胡盧ものわらひとならしめたまへり汝なんぢらが目めに覩みるごとし 9 即すなはち我儕われらの父󠄃ちゝは劍つるぎに斃たふれ我われらの男子むすこ女子むすめ及および妻つま等らはこれがために俘擄とりことなれり 10 今いま我われイスラエルの神かみヱホバと契󠄅約けいやくを結むすばんとする意志こころざしありその烈はげしき怒いかり我われらを離はなるることあらん 11 我わが子等こらよ今いまは怠おこたる勿なかれヱホバ汝なんぢらを擇えらびて己おのれの前󠄃まへに立たちて事つかへしめ己おのれに事つかふる者ものとなし香かうを焚たく者ものとなしたまひたればなりと

12 是こゝにおいてレビ人びと起󠄃たてり即すなはちコハテの子孫しそんの中うちにてはアマサイの子こマハテおよびアザリヤの子こヨエル、メラリの子孫しそんの中うちにてはアブデの子こキシおよびヱハレレルの子こアザリヤ、ゲルシヨン人びとの中うちにてはジンマの子こヨアおよびヨアの子こエデン 13 エリザパンの子孫しそんの中うちにてはシムリおよびヱイエル、アサフの子孫しそんの中うちにてはゼカリヤおよびマツタニヤ 14 ヘマンの子孫しそんの中うちにてはヱヒエルおよびシメイ、ヱドトンの子孫しそんの中うちにてはシマヤおよびウジエル 15 かれらその兄弟きやうだいを集つどへて身みを潔󠄄きよめヱホバの言ことばに依よりて王わうの傳つたへし命令めいれいにしたがひてヱホバの室いへを潔󠄄きよめんとて入いりきたり 16 祭司さいし等たちヱホバの室いへの奧おくに入いりてこれを潔󠄄きよめヱホバの殿みやにありし汚穢けがれをことごとくヱホバの室いへの庭󠄄にはに携たづさへいだせばレビ人びとそれを受うけて外そとにいだしキデロン河がはに持もちいたる 17 彼かれら正月󠄃しやうぐわつの元日ぐわんじつに潔󠄄きよむることを始はじめてその月󠄃つきの八日やうかにヱホバの廊らうにおよびまたヱホバの家いへを潔󠄄きよむるに八日やうかを費つひやし正月󠄃しやうぐわつの十六日にちにいたりて之これを終󠄃をはれり 18 かくて彼かれらヒゼキヤ王わうの處ところに入いりて言いふ我われらヱホバの室いへをことごとく潔󠄄きよめまた燔祭はんさいの壇だんとその一切すべての器具󠄄うつはものおよび供前󠄃そなへのパンの案つくゑとその一切すべての器皿うつはものとを潔󠄄きよめたり〘644㌻〙 19 またアハズ王わうがその治世ぢせいに罪つみを犯をかして棄すてたりし一切すべての器皿うつはものをも整ととのへてこれを潔󠄄きよめヱホバの壇だんの前󠄃まへにこれを据すゑ置おけりと
 836㌻ 

20 是こゝにおいてヒゼキヤ王わう蚤つとに起󠄃おきいで邑まちの牧伯等つかさたちをあつめてヱホバの家いへにのぼり往󠄃ゆき 21 牡牛をうし七匹󠄃ななつ牡羊をひつじ七匹󠄃ななつ羔羊こひつじ七匹󠄃ななつ牡山羊をやぎ七匹󠄃ななつを牽󠄁ひききたらしめ國くにと聖󠄃所󠄃せいじよとユダのためにこれを罪祭ざいさいとなしアロンの子孫しそんたる祭司さいし等たちに命めいじてこれをヱホバの壇だんの上うへに献さゝげしむ 22 即すなはち牡牛をうしを宰ほふれば祭司さいし等たちその血ちを受うけて壇だんに灑そゝぎまた牡羊をひつじを宰ほふればその血ちを壇だんに灑そゝぎまた羔羊こひつじを宰ほふればその血ちを壇だんに灑そゝげり 23 かくて人々ひと〴〵罪祭ざいさいの牡山羊をやぎを王わうと會衆くわいしうの前󠄃まへに牽󠄁ひききたりければ彼かれらその上うへに手てを按おけり 24 而しかして祭司さいしこれを宰ほふりその血ちを罪祭ざいさいとして壇だんの上うへに献さゝげてイスラエル全󠄃國ぜんこくのために贖罪あがなひをなせり是こは王わうイスラエル全󠄃國ぜんこくの爲ために燔祭はんさいおよび罪祭ざいさいを献さゝぐることを命めいじたるに因よる

25 王わうレビ人びとをヱホバの室いへに置おきダビデおよび王わうの先見者せんけんしやガデと預言よげん者しやナタンの命令めいれいにしたがひて之これに鐃鈸ねうはち瑟しつおよび琴ことを執とらしむ是これはヱホバがその預言者よげんしやによりて命めいじたまひし所󠄃ところなり 26 是こゝにおいてレビ人びとはダビデの樂器がくきをとり祭司さいしは喇叭らつぱをとりて立たつ 27 時ときにヒゼキヤ燔祭はんさいを壇だんの上うへに献さゝぐることを命めいぜり燔祭はんさいをささげ始はじむるときヱホバの歌うたをうたひ喇叭らつぱを吹ふきイスラエルの王わうダビデの樂器がくきをならしはじめたり 28 しかして會衆くわいしうみな禮拜れいはいをなし謳歌者うたうたふもの歌うたをうたひ喇叭らつぱ手ふき喇叭らつぱを吹ふきならし燔祭はんさいの終󠄃をはるまで凡すべて斯かくありしが

29 献さゝぐる事ことの終󠄃をはるにおよびて王わうおよび之これと偕ともに在ある者もの皆みな身みをかがめて禮拜れいはいをなせり 30 かくて又󠄂またヒゼキヤ王わうおよび牧伯等つかさたちレビ人びとに命めいじダビデと先見者せんけんしやアサフの詞ことばをもてヱホバを讃美さんびせしむ彼等かれら喜樂よろこびをもて讃美さんびし首かうべをさげて禮れい拜はいす

31 時ときにヒゼキヤこたへて言いひけるは汝なんぢらすでにヱホバに事つかへんために身みを潔󠄄きよめたれば進󠄃すゝみよりてヱホバの室いへに犧牲いけにへおよび感謝󠄃かんしや祭さいを携たづさへきたれと會衆くわいしうすなはち犧牲いけにへおよび感謝󠄃かんしや祭さいを携たづさへきたる又󠄂また志こころざしある者ものはみな燔祭はんさいを携たづさふ
 837㌻ 
32 會衆くわいしうの携たづさへきたりし燔祭はんさいの數󠄄かぞは牡牛をうし七十牡羊をひつじ一百ぴやく羔羊こひつじ二百ひやく是これみなヱホバに燔祭はんさいとして奉たてまつる者ものなり 33 また奉納󠄃物をさめものは牛うし六百ぴやく羊ひつじ三千ぜんなりき 34 然しかるに祭司さいし寡すくなくしてその燔祭はんさいの物ものの皮かはを剝はぎつくすこと能あたはざりければその兄弟きやうだいたるレビ人びとこれを助たすけてその工わざを終󠄃をふ斯かゝる間あひだに他ほかの祭司さいし等たちも身みを潔󠄄きよむレビ人びとは祭司さいしよりも心こゝろ正たゞしくして身みを潔󠄄きよめたり〘645㌻〙 35 燔祭はんさい夥多おびただしくあり酬恩祭しうおんさいの脂あぶら及およびすべての燔祭はんさいの酒さけも然しかり斯かくヱホバの室いへの奉事つとめ備そなはれり 36 この事こと俄にはかなりしかども神かみかく民たみの爲ために備そなへをなしたまひしに因よりてヒゼキヤおよび一切すべての民たみ喜よろこべり

第30章

1 茲こゝにヒゼキヤ、イスラエルとユダに遍󠄃あまねく人ひとを遣󠄃つかはしまた書ふみをエフライムとマナセに書かきおくりヱルサレムなるヱホバの室いへに來きたりてイスラエルの神かみヱホバに逾越節󠄄すぎこしのいはひを行おこなはんことを勸󠄂すゝむ 2 王わうすでにその牧伯等つかさたちおよびヱルサレムにある會衆くわいしうと議はかり二月󠄃ぐわつをもて逾越節󠄄すぎこしのいはひを行おこなはんと定さだめたり 3 其そは祭司さいしの身みを潔󠄄きよめし者もの足たらず民たみまたヱルサレムに集あつまらざりしに因よりて彼時かのときにこれを行おこなふことを得えざればなり 4 王わうも會衆くわいしうもこの事ことを見みて善よしとなし 5 即すなはちこの事ことを定さだめてベエルシバよりダンまでイスラエルに遍󠄃あまねく宣布ふれしめしヱルサレムに來きたりてイスラエルの神かみヱホバに逾越節󠄄すぎこしのいはひを行おこなはんことを勸󠄂すゝむ是こはその錄しるされたるごとくにこれを行おこなふ事こと久ひさしく無なかりしが故ゆゑなり 6 飛脚ひきやくすなはち王わうとその牧伯等つかさたちが授さづけし書ふみをもちてイスラエルとユダを遍󠄃あまねく行ゆきめぐり王わうの命めいを傳つたへて云いふイスラエルの子孫ひと〴〵よ汝なんぢらアブラハム、イサク、イスラエルの神かみヱホバに起󠄃たち歸かへれ然さらばヱホバ、アツスリヤの王等わうたちの手てより逃󠄄のがれて遺󠄃のこるところの汝なんぢらに歸かへりたまはん 7 汝なんぢらの父󠄃ちゝおよび兄弟きやうだいの如ごとくならざれ彼かれらその先祖せんぞの神かみヱホバにむかひて罪つみを犯をかしたればこれを滅亡ほろびに就つかしめたまへり汝なんぢらが見みるごとし 8 然されば汝なんぢらの父󠄃ちゝのごとく汝なんぢら項うなじを强つよくせずしてヱホバに歸服󠄃きふくしその永久とこしなへに聖󠄃別きよめたまひし聖󠄃所󠄃せいじよに入いり汝なんぢらの神かみヱホバに事つかへよ然さすればその烈はげしき怒いかりなんぢらを離はなれん
 838㌻ 
9 汝なんぢら若もしヱホバに歸かへらば汝なんぢらの兄弟きやうだいおよび子女こどもその己おのれを擄とらへゆきし者ものの前󠄃まへに衿憫あはれみを得えて遂󠄅つひにまた此この國くににかへらん汝なんぢらの神かみヱホバは恩惠めぐみあり憐憫あはれみある者ものにましませば汝なんぢらこれに起󠄃たちかへるにおいては面かほを汝なんぢらに背そむけたまはじと

10 かくのごとく飛脚ひきやくエフライム、マナセの國くににいりて邑まちより邑まちに行ゆきめぐりて遂󠄅つひにゼブルンまで至いたりしが人衆ひと〴〵これを嘲󠄂あざけり笑わらへり 11 但たゞしアセル、マナセおよびゼブルンの中うちより身みを卑ひくくしてヱルサレムに來きたりし者ものもあり 12 またユダに於おいては神かみその力ちからをいだして人々ひと〴〵に心こゝろを一ひとつにせしめ王わうと牧伯等つかさたちがヱホバの言ことばに依よりて傳つたへし命令めいれいを之これに行おこなはしむ

13 斯かゝりしかば二月󠄃ぐわつにいたりて民たみ酵たねいれぬバンの節󠄄いはひをおこなはんとて多おほくヱルサレムに來きたり集あつまれりその會くわいはなはだ大おほいなりき〘646㌻〙 14 彼等かれらすなはち起󠄃たちてヱルサレムにある諸もろ〳〵の壇だんを取とりのぞきまた一切すべての香かう壇だんを取とりのぞきてこれをキデロン川がはに投なげすて 15 二月󠄃ぐわつの十四日かに逾越すぎこしの物ものを宰ほふれり是こゝにおいて祭司さいし等たちおよびレビ人びとは自みづから恥はぢ身みを潔󠄄きよめてヱホバの室いへに燔祭はんさいをを携たづさへきたり 16 神かみの人ひとモーセの律法おきてに循したがひ例れいに依よりて各々おの〳〵その所󠄃ところに立たち而しかして祭司さいし等たちレビ人びとの手てより血ちを受うけて灑そゝげり 17 時ときに會衆くわいしうの中うちに未いまだ身みを潔󠄄きよめざる者もの多おほかりければレビ人びとその潔󠄄きよからざる一切すべての人々ひと〴〵に代かはりて逾越すぎこしの物ものを宰ほふりてヱホバに潔󠄄きよめ献さゝぐ 18 また衆多おほくの民たみすたはちエフライム、マナセ、イツサカル、ゼブルンより來きたりし衆多おほくの者もの未いまだ身みを潔󠄄きよむる事ことをせずその書かき錄しるされし所󠄃ところに違󠄇たがひて逾越すぎこしの物ものを食󠄃くらへり是こゝをもてヒゼキヤこれがために祈いのりて云いふ 19 惠めぐみふかきヱホバよ凡およそその心こゝろを傾かたむけて神かみを求もとめその先祖せんぞの神かみヱホバを求もとむる者ものは假令たとひ聖󠄃所󠄃せいじよの潔󠄄齋きよめに循したがはざるとも願ねがはくは是これを赦ゆるしたまへと
 839㌻ 
20 ヱホバ、ヒゼキヤに聽きゝて民たみを醫いやしたまへり 21 ヱルサレムにきたれるイスラエルの子孫ひと〴〵は大おほいなる喜悅よろこびをいだきて七日なぬかの間あひだ酵たねいれぬパンの節󠄄いはひをおこなへり又󠄂またレビ人びとと祭司さいしは日々ひびにヱホバを讃美さんびし高たかき聲ねの樂がくを奏そうしてヱホバを頌󠄃たゝへたり 22 ヒゼキヤ、ヱホバの奉事つとめに善よく通󠄃つうじをる一切すべてのレビ人びとを深ふかく勞ねぎらふ斯かく人衆ひと〴〵酬恩祭しうおんさいを献さゝげその先祖せんぞの神かみヱホバに感謝󠄃かんしやして七日なぬかのあひだ節󠄄いはひの物ものを食󠄃くらへり

23 かくて又󠄂また全󠄃ぜん會くわいあひ議はかりて更󠄃さらに七日なぬかを守まもらんと決さだめ喜悅よろこびをいだきてまた七日なぬかを守まもれり 24 時ときにユダの王わうヒゼキヤは牡牛をうし一千せん羊ひつじ七千せんを會衆くわいしうに餽おくり又󠄂また牧伯等つかさたちは牡牛をうし一千せん羊ひつじ一萬まんを會衆くわいしうに餽おくれり祭司さいしもまた衆おほく身みを潔󠄄きよめたり 25 ユダの全󠄃ぜん會衆くわいしうおよび祭司さいしレビ人びとならびにイスラエルより來きたれる全󠄃ぜん會衆くわいしうおよびイスラエルの地ちより來きたれる異邦󠄆人ことくにびととユダに住󠄃すむ異邦󠄆人ことくにびとみな喜よろこべり 26 かくヱルサレムに大おほいなる喜悅よろこびありきイスラエルの王わうダビデの子こソロモンの時ときより以來このかたかくのごとき事ことヱルサレムに在あらざりしなり 27 この時とき祭司さいしレビ人びと起󠄃たちて民たみを祝しゆくしけるにその言ことば聽きかれその祈禱いのりヱホバの聖󠄃きよき住󠄃所󠄃すみかなる天てんに達󠄃たつせり

第31章

1 この事ことすべて終󠄃をはりしかば其處そこに在ありしイスラエル人びとみなユダの邑々まち〳〵に出いでゆき柱󠄃像󠄃はしらざうを碎くだきアシラ像󠄃ざうを斫きりたふしユダとベニヤミンの全󠄃地ぜんちより崇邱たかきところと祭壇さいだんを崩󠄃くづし絕たちエフライム、マナセにも及およぼして遂󠄅つひにまつたく之これを毀こぼち而しかしてイスラエルの子孫ひと〴〵おのおのその邑々まち〳〵に還󠄃かへりて己おのれの產業さんげふにいたれり〘647㌻〙

2 ヒゼキヤ祭司さいしおよびレビ人びとの班列くみを定さだめその班列くみにしたがひて各々おの〳〵にその職つとめを行おこなはしむ即すなはち祭司さいしとレビ人びとをして燔祭はんさいおよび酬恩祭しうおんさいを献さゝげしめヱホバの營えいの門もんにおいて奉事つとめをなし感謝󠄃かんしやをなし讃美さんびをなさしめ 3 また己おのれの財產ざいさんの中うちより王わうの分󠄃ぶんを出いだして燔祭はんさいのためにす即すなはち朝󠄃夕あさゆふの燔祭はんさいおよび安息日あんそくにち朔日ついたち節󠄄會せちゑなどの燔祭はんさいのために之これを出いだしてヱホバの律法おきてに記しるさるる如ごとくす
 840㌻ 
4 彼かれまたヱルサレムに住󠄃すむ民たみに祭司さいしとレビ人びとにその分󠄃ぶんを與あたへんことを命めいず是これかれらをしてヱホバの律法おきてに身みを委ゆだねしめんとてなり 5 其その命令めいれいの傳つたはるや否いなやイスラエルの子孫ひと〴〵穀物こくもつ酒さけ油あぶら蜜みつならびに田野はたけの諸もろ〳〵の產物さんぶつの初はつを多おほく献さゝげまた一切すべての物ものの什一じふいちを夥多おびただしく携たづさへきたる 6 ユダの邑々まち〳〵に住󠄃すめるイスラエルとユダの子孫ひと〴〵もまた牛うし羊ひつじの什一じふいちならびにその神かみヱホバに納󠄃をさむべき聖󠄃物きよきものの什一じふいちを携たづさへきたりてこれを積つみ疊かさぬ 7 三月󠄃ぐわつに之これを積つみ疊かさぬることを始はじめめ七月󠄃ぐわつにいたりて之これを終󠄃をはれり 8 ヒゼキヤおよび牧伯等つかさたちきたりて其その積つみ疊かさねたる物ものを見みヱホバとその民たみイスラエルを祝しゆくせり 9 ヒゼキヤその積つみ疊かさねたる物ものの事ことを祭司さいしとレビ人びとに問とひ尋󠄃たづねければ 10 ザドクの家いへより出いでし祭司さいしの長をさアザリヤ彼かれに應こたへて言いひけるは民たみヱホバの室いへに禮物そなへものを携たづさふることを始はじめしより以來このかた我儕われら飽󠄄あくまでに食󠄃くらひしがその餘あまれる所󠄃ところはなはだ多おほしヱホバその民たみをめぐみたまひたればなりその餘あまれる所󠄃ところかくのごとく夥多おびただしと

11 ヒゼキヤ、ヱホバの家いへの內うちに室へやを設まうくることを命めいじければ則すなはちこれを設まうけ 12 忠實まめやかにその禮物そなへもの什一じふいちおよび奉納󠄃物をさめものを携たづさへいれりレビ人びとコナニヤこれを主つかさどりその兄弟きやうだいシメイこれに副そふ 13 ヱヒエル、アザジヤ、ナハテ、アサヘル、ヱレモテ、ヨザバデ、ヱリエル、イスマキヤ、マハテ、ベナヤ等らヒゼキヤ王わうおよび神かみの室いへの宰つかさアザリヤの命めいに依よりコナニヤ及およびその兄弟きやうだいシメイの手て下したにつきてこれが監督かんとく者しやとなる 14 東ひがしの門もんを守まもる者ものレビ人びとヱムナの子こコレ神かみに献さゝぐる誠󠄃意まごころよりの禮物そなへものを司つかさどりてヱホバの献納󠄃ささげ物ものおよび至聖󠄃物いときよきものを頒󠄃わかつ 15 その手てにつく者ものはエデン、ミニヤミン、ヱシユア、シマヤ、アマリヤおよびシカニヤみな祭司さいしの邑々まち〳〵に居をりてその職つとめを盡つくしその兄弟きやうだいに班列くみに依よりて之これを頒󠄃わかつ大小だいせうともに均ひとし 16 此この外ほかにまた凡すべて名な簿󠄃ふみに載のせたる男子をのこ三歳さい以上いじやうにしてヱホバの室いへに入いりその班列くみにしたがひて日々ひびの職しよく分󠄃ぶんを盡つくし擔任うけもちの勤務つとめを爲なすところの者ものに之これを頒󠄃わかつ
 841㌻ 
17 またその宗家そうけにしたがひて名な簿󠄃ふみに載のせられその班列くみにしたがひて擔任うけもちの事ことを執とり行おこなふところの祭司さいしおよび二十歳さい以上いじやうのレビ人びと〘648㌻〙 18 ならびに名な簿󠄃ふみに載のせたるその小ちひさき者ものその妻つまその男子むすこその女子むすめなどに盡こと〴〵く之これを頒󠄃わかつ會くわい中ちうすべて然しかり即すなはち彼等かれらは潔󠄄白いさぎよく忠實まめやかにその職つとめを盡つくせり 19 また邑々まち〳〵の郊地かうちに居をるアロンの子孫しそんたる祭司さいし等たちのためには邑まちごとに人ひとを名な指ざし選󠄄えらび祭司さいしの中うちの一切すべての男をとこおよびレビ人びとの中うちの名な簿󠄃ふみに載のせせたる一切すべての者ものにその分󠄃ぶんを予あたへしむ

20 ヒゼキヤ、ユダ全󠄃國ぜんこくに斯かくのごとく爲なし善事よきこと正たゞしき事こと忠實まめやかなる事ことをその神かみヱホバの前󠄃まへに行おこなへり 21 凡すべてその神かみの室いへの職務つとめにつき律法おきてにつき誡命いましめにつきて行おこなひ始はじめてその神かみを求もとめし工わざは悉こと〴〵く心こゝろをつくして行おこなひてこれを成󠄃就なしとげたり

第32章

1 ヒゼキヤが此これ等らの事ことを行おこなひ且かつ忠實まめやかなりし後のちアツスリヤの王わうセナケリブ來きたりてユダに入いり堅固けんごなる邑々まち〳〵にむかひて陣ぢんを張はり之これを攻取せめとらんとす 2 ヒゼキヤ、セナケリブの旣󠄁すでに來きたりヱルサレムに攻せめむかはんとするを見み 3 その牧伯等つかさたちおよび勇󠄃士ゆうし等らと謀はかりて邑まちの外そとなる一切すべての泉水いづみを塞ふさがんとす彼等かれらこれを助たすく 4 衆多おほくの民たみあつまりて一切すべての泉水いづみおよび國くにの中なかを流ながれわたる溪河たにがはを塞ふさぎていひけるはアツスリヤの王等わうたち來きたりて水みづを多おほく得えば豈いかで可よからんやと 5 ヒゼキヤまた力ちからを强つよくし破やぶれたる石垣いしがきをことごとく建󠄄たてなほして之これを戌樓やぐらまで築きづき上あげその外そとにまた石垣いしがきをめぐらしダビデの邑まちのミロを堅かたくし戈ほこ盾たてを多おほく造󠄃つくり 6 軍長ぐんちやうを多おほく民たみの上うへに立たて邑まちの門もんの廣ひろ場ばに民たみを集あつめてこれを努ねぎらひて言いふ 7 汝なんぢら心こゝろを强つよくし且かつ勇󠄃いさめアツスリヤの王わうのためにも彼かれとともなる群衆ぐんしうのためにも懼おそるる勿なかれ慄をののく勿なかれ我われらとともなる者ものは彼かれとともになる者ものよりも多おほきぞかし 8 彼かれとともなる者ものは肉󠄁にくの腕うでなり然しかれども我われらとともなる者ものは我われらの神かみヱホバにして我われらを助たすけ我われらに代かはりて戰たゝかひたまふべしと民たみはユダの王わうヒゼキヤの言ことばに安やすんず
 842㌻ 

9 此この後のちアツスリヤの王わうセナケリブその全󠄃ぜん軍ぐんをもてラキシを攻せめ圍󠄃かこみ居をりて臣僕しもべをヱルサレムに遣󠄃つかはしてユダの王わうヒゼキヤおよびヱルサレムにをる一切すべてのユダ人びとに吿つげしめて云いはく 10 アツスリヤの王わうセナケリブかく言いふ汝なんぢら何なにを恃たのみてヱルサレムに閉とぢ籠こもりをるや 11 ヒゼキヤ我われらの神かみヱホバ、アツスリヤの王わうの手てより我われらを救すくひ出いだしたまはんと言いひて汝なんぢらを浚そそのかし汝なんぢらをして饑󠄃うゑ渇かわきて死しなしめんとするに非あらずや 12 此このヒゼキヤはすなはちヱホバの諸もろ〳〵の崇邱たかきところと祭壇さいだんを取とりのぞきユダとヱルサレムとに命めいじて汝なんぢらは唯一ただひとつの壇だんの前󠄃まへにて崇拜をがみを爲なしその上うへに香かうを焚たくべしと言いひし者ものにあらずや〘649㌻〙 13 汝なんぢらは我われおよびわが先祖せんぞ等たちが諸もろ〳〵の國くにの民たみに爲なしたる所󠄃ところを知しらざるか其それ等らの國々くに〴〵の民たみの神かみ少許すこしにてもその國くにをわが手てより救すくひ取とることを得えしや 14 わが先祖せんぞ等たちの滅ほろぼし盡つくせし國民こくみんの諸もろ〳〵の神かみの中うち誰たれか己おのれの民たみをわが手てより救すくひ出いだすことを得えし者ものあらんや然されば汝なんぢらの神かみいかでか汝なんぢらをわが手てより救すくひいだすことを得えん 15 然されば斯かくヒゼキヤに欺あざむかるる勿なかれ浚そそのかさるる勿なかれまた彼かれを信しんずる勿なかれ何いづれの民たみ何いづれの國くにの神かみもその民たみを我わが手てまたは我わが父󠄃祖ふその手てより救すくひ出いだすことを得えざりしなれば况まして汝なんぢらの神かみいかでか我わが手てより汝なんぢらを救すくひ出いだすことを得えんと

16 セナケリブの臣僕しもべ等らこの外ほかにも多おほくヱホバ神かみおよびその僕しもべヒゼキヤを誹そしれり 17 セナケリブまた書ふみをかきおくりてイスラエルの神かみヱホバを嘲󠄂あざけりかつ誹そしり諸國しよこくの民たみの神々かみ〴〵その民たみをわが手てより救すくひいださざりし如ごとくヒゼキヤの神かみもその民たみをわが手てより救すくひ出いださじと云いふ 18 彼かれら遂󠄅つひに大おほ聲ごゑを擧あげユダヤ語ことばをもて石垣いしがきの上うへなるヱルサレムの民たみに語ものいひ之これを威󠄂おどしかつ擾みだせり是こは邑まちを取とらんとてなり 19 斯かくかれらはヱルサレムの神かみを論ろんずること人ひとの手ての作わざなる地上ちじやうの民たみの神々かみ〴〵を論ろんずるがごとくせり
 843㌻ 

20 是これによりてヒゼキヤ王わうおよびアモツの子こ預言者よげんしやイザヤともに祈禱いのりて天てんに呼よばはりければ 21 ヱホバ天てんの使󠄃つかひ一箇ひとりを遣󠄃つかはしてアツスリヤ王わうの陣ぢん營えいにある一切すべての大勇󠄃士だいゆうしおよび將しやう官くわん軍長ぐんちやう等らを絕たゝしめたまへり斯かゝりしかば王わう面かほを赧あからめて己おのれの國くにに還󠄃かへりけるがその神かみの家いへにいりし時とき其その身みより出いでたる者等ものども劍つるぎをもて之これを其處そこに弑しいせり 22 是かくのごとくヱホバ、ヒゼキヤとヱルサレムの民たみをアツスリヤの王わうセナケリブの手ておよび諸人すべてのひとの手てより救すくひいだし四方しはうにおいて之これを守護まもりたまへり 23 是こゝにおいて衆多おほくの人ひと献納󠄃ささげ物ものをヱルサレムに携たづさへきたりてヱホバに奉たてまつりまた財寳ざいはうをユダの王わうヒゼキヤに餽おくれり此この後のちヒゼキヤは萬國ばんこくの民たみに尊󠄅たふとび見みらる

24 當時そのときヒゼキヤ病やみて死しなんとせしがヱホバに祈いのりければヱホバこれに吿つげをなし之これに休徴しるしを賜たまへり 25 然しかるにヒゼキヤその蒙かうむりし恩おんに酬むくゆることをせずして心こゝろに高たかぶりければ震怒いかりこれに臨のぞまんとしまたユダとヱルサレムに臨のぞまんとせしが 26 ヒゼキヤその心こゝろに高慢たかぶりきを悔くいて身みを卑ひくくしヱルサレムの民たみも同おなじく然しかなしたるに因よりてヒゼキヤの世よにはヱホバの震怒いかりかれらに臨のぞまざりき〘650㌻〙

27 ヒゼキヤは富とみと貴たふときを極きはめ府庫くらを造󠄃つくりて金銀きんぎん寳石はうせき香物かうもつ楯たておよび各種もろ〳〵の寳貴たふとき器うつは物ものを藏をさめ 28 また倉廩よねぐらを造󠄃つくりて穀物こくもつ酒さけ油あぶらなどの產物さんぶつを藏をさめ圈こやを造󠄃つくりて種々さま〴〵の家畜かちくを置おき牢をりを造󠄃つくりて羊ひつじの群むれを置おき 29 また許多あまたの邑まちを設まうけかつ牛うし羊ひつじを夥多おびただしく有󠄃もてり是こは神かみ貨財くわざいを甚はなはだ多おほくこれに賜たまひしが故ゆゑなり 30 このヒゼキヤまたギホンの水みづの上かみの源みなもとを塞ふさぎてこれを下したより眞󠄃直ますぐにダビデの邑まちの西にしの方かたに引ひけり斯かくヒゼキヤはその一切すべての工わざを善よくなし就とげたり 31 但たゞしバビロンの君等きみたちが使󠄃者ししやを遣󠄃つかはしてこの國くににありし奇蹟きせきを問とはしめたる時ときには神かみかれを棄すておきたまへり是これその心こゝろに有󠄃あるところの事ことを盡こと〴〵く知しらんがために之これを試こゝろみたまへるなり
 844㌻ 

32 ヒゼキヤのその餘ほかの行爲わざおよびその德とく行かうはユダとイスラエルの列王れつわう紀きの書ふみの中うちなるアモツの子こ預言者よげんしやイザヤの默示もくしの中うちに記しるさる 33 ヒゼキヤその先祖せんぞ等たちと偕ともに寢ねむりたればダビデの子孫しそんの墓はかの中うちなる高たかき處ところにこれを葬はうむりユダの人々ひと〴〵およびヱルサレムの民たみみな厚あつくその死しを送󠄃おくれり其その子こマナセこれに代かはりて王わうとなる

第33章

1 マナセは十二歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて五十五年ねんの間あひだ世よを治をさめたり 2 彼かれはヱホバの目めに惡あしと觀みたまふことを爲なしイスラエルの子孫ひと〴〵の前󠄃まへよりヱホバの逐󠄃おひはらひたまひし國人くにびとの行おこなふところの憎にくむべき事わざに傚ならへり 3 即すなはちその父󠄃ちゝヒゼキヤの毀こぼちたりし崇邱たかきところを改あらため築きづき諸もろ〳〵のバアルのために壇だんを設まうけアシラ像󠄃ざうを作つくり天てんの衆群しうぐんを拜をがみて之これに事つかへ 4 またヱホバが我わが名なは永ながくヱルサレムに在あるべしと宣のたまひしヱホバの室いへの內うちに數󠄄すう箇この壇だんを築きづき 5 天てんの衆群しうぐんのためにヱホバの室いへの兩ふたつの庭󠄄にはに壇だんを築きづき 6 またベンヒンノムの谷たににてその子女こどもに火ひの中なかを通󠄃とほらせかつ占卜うらなひを行おこなひ魔󠄃術󠄃まじゆつをつかひ禁厭まじなひを爲なし憑鬼者くちよせと卜筮うらなひ師しを取とり用もちひなどしてヱホバの目めに惡あしと視みたまふ事ことを多おほく行おこなひてその震怒いかりを惹起󠄃ひきおこせり 7 彼かれまたその作つくりし偶像󠄃ぐうざうを神かみの室いへに安置あんちせり神かみ此この室いへにつきてダビデとその子こソロモンに言いひたまひし事ことあり云いはく我われこの室いへと我わがイスラエルの諸すべての支󠄂派󠄄わかれの中うちより選󠄄えらびたるヱルサレムとに我わが名なを永ながく置おかん 8 彼かれらもし我わが凡すべて命めいぜし事ことすなはちモーセが傳つたへし一切すべての律法おきてと法度のりと例典さだめを謹つゝしみて行おこなはば我わが汝なんぢらの先祖せんぞのために定さだめし地ちより我われこれが足あしを重かさねてうつさじと 9 マナセかくユダとヱルサレムの民たみとを迷󠄃まよはして惡あくを行おこなはしめたり其その狀さまイスラエルの子孫ひと〴〵の前󠄃まへにヱホバの滅ほろぼしたまひし異邦󠄆人ことくにびとよりも甚はなはだし〘651㌻〙

10 ヱホバ、マナセおよびその民たみを諭󠄄さとしたまひしかども聽きくことをせざりき 11 是こゝをもてヱホバ、アッスリヤの王わうの軍勢ぐんぜいの諸しよ將しやうをこれに攻せめ來きたらせたまひて彼等かれらつひにマナセを鉤かぎにて擄とらへ之これを杻械かせに繋つなぎてバビロンに曳ひきゆけり
 845㌻ 
12 然しかるに彼かれ患難なやみに罹かゝるにおよびてその神かみヱホバを和なだめその先祖せんぞの神かみの前󠄃まへに大おほいに身みを卑ひくくして 13 神かみに祈いのりければその祈禱いのりを容いれその懇願ねがひを聽ききこれをヱルサレムに携たづさへかへりて再ふたゝび國くにに𦲷のぞましめたまへり是これによりてマナセ、ヱホバは誠󠄃まことに神かみにいますと知しれり

14 この後のちかれダビデの邑まちの外そとにてギホンの西にしの方かたなる谷たにの內うちに石垣いしがきを築きづき魚うを門もんの入いり口くちまでに及およぼし又󠄂またオベルに石垣いしがきを環󠄃めぐらして甚はなはだ高たかく之これを築きづき上あげユダの一切すべての堅固けんごなる邑まちに軍長ぐんちやうを置おき 15 またヱホバの室いへより異邦󠄆ことくにの神々かみ〴〵および偶像󠄃ぐうざうを取とり除のぞきヱホバの室いへの山やまとヱルサレムとに自みづから築きづきし一切すべての壇だんを取とりのぞきて邑まちの外そとに投なげすて 16 ヱホバの壇だんを修復つくろひて酬恩祭しうおんさいおよび感謝󠄃かんしや祭さいをその上うへに献さゝげユダに命めいじてイスラエルの神かみヱホバに事つかへしめたり 17 然しかれども民たみは猶󠄅なほ崇邱たかきところにて犧牲いけにへを献さゝぐることなを爲なせり但たゞしその神かみヱホバに而已のみなりき

18 マナセのその餘ほかの行爲わざその神かみになせし祈禱いのりおよびイスラエルの神かみヱホバの名なをもて彼かれを諭󠄄さとせし先見者せんけんしや等たちの言ことばはイスラエルの列王れつわうの言げん行かう錄ろくに見みゆ 19 またその祈禱いのりを爲なしたる事ことその聽きかれたる事ことその諸もろ〳〵の罪愆つみとがその身みを卑ひくくする前󠄃まへに崇邱たかきところを築きづきてアシラ像󠄃ざうおよび刻󠄂きざみたる像󠄃ざうを立たてたる處々ところどころなどはホザイの言げん行かう錄ろくの中うちに記しるさる 20 マナセその先祖せんぞとともに寢ねむりたれば之これをその家いへに葬はうむれり其その子こアモンこれに代かはりて王わうとなる

21 アモンは二十二歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて二年ねんの間あひだ世よを治をさめたり 22 彼かれは其その父󠄃ちゝマナセの爲なせしごとくヱホバの目めに惡あしと觀みたまふ事ことを爲なせり即すなはちアモンその父󠄃ちゝマナセが作つくりたる諸もろ〳〵の刻󠄂きざみたる像󠄃ざうに犧牲いけにへを献さゝげてこれに事つかへ 23 その父󠄃ちゝマナセが身みを卑ひくくせしごとくヱホバの前󠄃まへに身みを卑ひくくすることを爲せざりき斯かくこのアモン愈󠄃いよ〳〵その愆とがを增ましたりしが 24 その臣僕しもべ黨たうを結むすびて之これに叛󠄃そむきこれをその家いへの內うちに弑しいせり 25 然しかるに國くにの民たみその黨たうを結むすびてアモン王わうに叛󠄃そむきし者等ものどもを盡こと〴〵く誅ころし而しかして國くにの民たみその子こヨシアを王わうとなしてその後あとを嗣つがしむ
 846㌻ 

第34章

1 ヨシアは八歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて三十一年ねんの間あひだ世よを治をさめたり 2 彼かれはヱホバの善よしと觀みたまふ事ことを爲なしその父󠄃ちゝダビデの道󠄃みちにあゆみて右みぎにも左ひだりにも曲まがらざりき 3 即すなはち尙なほ若わかかりしかどもその治世ぢせいの八年ねんにその父󠄃ちゝダビデの神かみを求もとむる事ことを始はじめその十二年ねんには崇邱たかきところアシラ像󠄃ざう刻󠄂きざみたる像󠄃ざう鑄いたる像󠄃ざうなどを除のぞきてユダとヱルサレムを潔󠄄きよむることを始はじめ〘652㌻〙 4 諸もろ〳〵のバアルの壇だんを己おのれの前󠄃まへにて毀こぼたしめ其その上うへに立たてる日ひの像󠄃ざうを斫きりたふしアシラ像󠄃ざうおよび雕像󠄃てうざう鑄しゆ像󠄃ざうを打うち碎くだきて粉󠄃々こな〴〵にし是等これらに犧牲いけにへを献さゝげし者等ものどもの墓はかの上うへに其それを撒まきちらし 5 祭司さいしの骨ほねをその諸もろ〳〵の壇だんの上うへに焚たき斯かくしてユダとヱルサレムを潔󠄄きよめたり 6 またマナセ、エフライム、シメオンおよびナフタリの荒あれたる邑々まち〳〵にも斯かくなし 7 諸しよ壇だんを毀こぼちアシラ像󠄃ざうおよび諸もろ〳〵の雕像󠄃てうざうを微塵みぢんに打うち碎くだきイスラエル全󠄃國ぜんこくの日ひの像󠄃ざうを盡こと〴〵く斫きりたふしてヱルサレムに歸かへりぬ

8 ヨシアその治世ぢせいの十八年ねんにいたりて已すでに國くにと殿みやとを潔󠄄きよめ了をはりその神かみヱホバの家いへを修繕つくろはしめんとてアザリヤの子こシヤパン邑まちの知事つかさマアセヤおよびヨアハズの子こ史󠄃官しくわんヨアを遣󠄃つかはせり 9 彼かれら祭司さいしの長をさヒルキヤの許もとに至いたりてヱホバの室いへに入いりし金かねを交󠄄わたせり是これは門守かどもりのレビ人びとがマナセ、エフライムおよび其その餘ほかの一切すべてのイスラエル人びとならびにユダとベニヤミンの人ひとおよびヱルサレムの民たみの手てより斂あつめたる者ものなり 10 やがてヱホバの室いへを監督かんとくするところの工師こうし等らの手てにこれを交󠄄わたしければ彼等かれらヱホバの室いへにて操作はたらくところの工人こうじんにこれを交󠄄わたして室いへを繕つくろひ修をさめしむ 11 即すなはち木匠こだくみおよび建󠄄築者いへづくりに之これを交󠄄わたしユダの王等わうたちが壞やぶりたる家々いへ〳〵のために琢きり石いしおよび骨ほね木ぎを買かはしめ梁はり木ぎをととのはしむ 12 その人々ひと〴〵忠實まめやかに操作はたらけりその監督かんとく者しやはメラリの子孫しそんたるヤハテ、オバデヤおよびコハテの子孫しそんたるゼカリヤ、メシユラムなどのレビ人びとなりき彼等かれらすなはち之これを主つかさどる又󠄂また樂器がくきを弄もてあそぶに精巧たくみなるレビ人びと凡すべて之これに伴󠄃ともなふ
 847㌻ 
13 彼等かれら亦また荷にを負󠄅おふものを監督かんとくし種々さま〴〵の工事こうじに操作はたらくところの諸もろ〳〵の工人こうじんをつかさどれり別ほかのレビ人びと書記しよきとなり役人やくにんとなり門守かどもりとなれり

14 ヱホバの室いへにいりし金かねを取とりいだすに當あたりて祭司さいしヒルキヤ、モーセの傳つたへしヱホバの律法おきての書ふみを見みいだせり 15 ヒルキヤ是こゝにおいて書記しよき官くわんシヤパンにきて言いひけるは我われヱホバの室いへにて律法おきての書ふみを見みいだせりと而しかしてヒルキヤその書ふみをシヤパンに付わたしければ 16 シヤパンその書ふみを王わうの所󠄃ところに持もちゆき王わうに復命かへりごとまうして言いふ僕しもべ等らその手てに委ゆだねられし所󠄃ところを盡こと〴〵く爲なし 17 ヱホバの室いへにありし金かねを打うちあけて之これを監督かんとく者しやの手ておよび工人こうじんの手てに交󠄄わたせりと 18 書記しよき官くわんシヤパン亦また王わうに吿つげて祭司さいしヒルキヤ我われに一ひとつの書ふみを交󠄄わたせりと言いひシヤパンそれを王わうの前󠄃まへに讀よみけるに〘653㌻〙 19 王わうその律法おきての言ことばを聞きゝて衣服󠄃ころもを裂さけり 20 而しかして王わうヒルキヤとシヤパンの子こアヒカムとミカの子こアブドンと書記しよき官くわんシヤパンと王わうの內ない臣じんアサヤとに命めいじて言いふ 21 汝なんぢら往󠄃ゆきてこの見み當あたりし書ふみの言ことばにつきて我われの爲ためまたイスラエルとユダに遺󠄃のこれる者等ものどものためにヱホバに問とへ我われらの先祖せんぞ等たちはヱホバの言ことばを守まもらず凡すべて此この書ふみに記しるされたる所󠄃ところを行おこなふことを爲せざりしに因よりてヱホバ我等われらに大おほいなる怒いかりを斟そゝぎ給たまふべければなりと

22 是こゝにおいてヒルキヤおよび王わうの人々ひと〴〵シヤルムの妻つまなる女をんな預言者よげんしやホルダの許もとに往󠄃ゆけりシヤルムはハルハスの子こなるテクワの子こにして衣裳いしやうを守まもる者ものなり時ときにホルダはヱルサレムの第だい二の邑まちに住󠄃すみをれり彼等かれらすなはちホルダに斯かくと語かたりしかば 23 ホルダこれに答こたへけるはイスラエルの神かみヱホバかく言いひたまふ汝なんぢらを我われに遣󠄃つかはせる人ひとに吿つげよ 24 ヱホバかく言いひたまふユダの王わうの前󠄃まへに讀よみし書ふみに記しるされたる諸もろ〳〵の呪詛のろひに循したがひて我われこの處ところと此これに住󠄃すむ者ものに災害󠄅わざはひを降󠄄くださん
 848㌻ 
25 其そは彼かれら我われを棄すてて他ほかの神かみに香かうを焚たきおのが手てにて作つくれる諸もろ〳〵の物ものをもて我わが怒いかりを惹起󠄃ひきおこさんとしたればなりこの故ゆゑにわが震怒いかりこの處ところに斟そゝぎて滅きえざるべし 26 されど汝なんぢらを遣󠄃つかはしてヱホバに問とはしむるユダの王わうには汝なんぢら斯かくいふべしイスラエルの神かみヱホバかく言いひたまふ汝なんぢが聞きける言ことばにつきては 27 汝なんぢ此處このところと此こゝにすむ者ものを責せむる神かみの言ことばを聞きゝし時ときに心こゝろやさしくして神かみの前󠄃まへに於おいて身みを卑ひくくし我わが前󠄃まへに身みを卑ひくくし衣服󠄃ころもを裂さきて我わが前󠄃まへに泣なきたれば我われも汝なんぢに聽きけりとヱホバ宣のたまふ 28 然されば我われ汝なんぢをして汝なんぢの先祖せんぞ等たちに列つらならしめん汝なんぢは安然やすらかに墓はかに歸きする事ことを得うべし汝なんぢは我わが此處このところと此こゝに住󠄃すむ者ものに降󠄄くだすところの諸もろ〳〵の災害󠄅わざはひを目めに見みる事ことあらじと彼等かれら即すなはち王わうに復命かへりごとまうしぬ

29 是こゝにおいて王わう人ひとを遣󠄃つかはしてユダとヱルサレムの長老としよりをことごとく集あつめ 30 而しかして王わうヱホバの室いへに上のぼりゆけりユダの人々ひと〴〵ヱルサレムの民たみ祭司さいしレビ人びと及および一切すべての民たみ大だいより小せうにいたるまでことごとく之これにともなふ王わうすなはちヱホバの室いへに見みあたりし契󠄅約けいやくの書ふみの言ことばを盡こと〴〵く彼かれらの耳みゝに讀よみ聞きかせ 31 而しかして王わう己おのれの所󠄃ところに立たちてヱホバの前󠄃まへに契󠄅約けいやくを立たてヱホバにしたがひて步あゆみ心こゝろを盡つくし精神せいしんを盡つくしてその誡命いましめと證詞あかしと法度のりを守まもり此この書ふみにしるされたる契󠄅約けいやくの言ことばを行おこなはんと言いひ 32 ヱルサレムおよびベニヤミンの有󠄃あらゆる人々ひと〴〵をみな之これに加くははらしめたりヱルサレムの民たみすなはちその先祖せんぞの神かみにまします御おん神かみの契󠄅約けいやくにしたがひて行おこなへり 33 かくてヨシア、イスラエルの子孫ひと〴〵に屬ぞくする一切すべての地ちより憎にくむべき者ものを盡こと〴〵く取とりのぞきイスラエルの有󠄃あらゆる人ひとをしてその神かみヱホバに事つかふまつらしめたりヨシアの世よにある日ひの間あひだは彼かれらその先祖せんぞの神かみヱホバに從したがひて離はなれざりき〘654㌻〙

第35章

1 茲こゝにヨシア、ヱルサレムにおいてヱホバに逾越節󠄄すぎこしのいはひを行おこなはんとし正しやう月󠄃ぐわつの十四日かに逾越すぎこしの物ものを宰ほふらしめ 2 祭司さいしをしてその職つとめを執とり行おこなはせ之これを勵はげましてヱホバの室いへの務つとめをなさしめ 3 またヱホバの聖󠄃者きよきものとなりてイスラエルの人衆ひと〴〵を誨をしふるレビ人びとに言いふ汝なんぢらイスラエルの王わうダビデの子こソロモンが建󠄄たてたる家いへに聖󠄃きよき契󠄅約けいやくの匱はこを放おけ再ふたゝび肩󠄃かたに擔になふこと有󠄃あらざるべし然されば今いま汝なんぢらの神かみヱホバおよびその民たみイスラエルに事つかふべし
 849㌻ 
4 汝なんぢらまたイスラエルの王わうダビデの書ふみおよびその子こソロモンの書ふみに本もとづきて父󠄃祖ふその家いへに循したがひその班列くみに依よりて自みづから準備そなへをなし 5 汝なんぢらの兄弟きやうだいなる民たみの人々ひと〴〵の宗家そうけの區分󠄃わかちに循したがひて聖󠄃所󠄃せいじよに立たち之これにレビ人びとの宗族やからの分󠄃ぶん缺かくること無なからしむべし 6 汝なんぢら逾越すぎこしの物ものを宰ほふり身みを潔󠄄きよめ汝なんぢらの兄弟きやうだいのために準備そなへをなしモーセが傳つたへしヱホバの言ことばのごとく行おこなふべしと

7 ヨシアすなはち羔羊こひつじおよび羔山羊こやぎを民たみの人々ひと〴〵に餽おくる其その數󠄄かず三萬まんまた牡牛をうし三千ぜんを餽おくる是これみな王わうの所󠄃有󠄃もちものの中うちより出いだして其處そこに居をる一切すべての人ひとのために逾越すぎこしの祭物そなへものとなせるなり 8 その牧伯等つかさたちも民たみと祭司さいしとレビ人びとに誠󠄃意まごころより與あたふる所󠄃ところありまた神かみの室いへの長等をさたちヒルキヤ、ゼカリヤ、ヱヒエルも綿羊ひつじ二千せん六百ぴやく牛うし三百びやくを祭司さいしに與あたへて逾越すぎこしの祭物ささげものと爲なす 9 またレビ人びとの長かしらたる人々ひと〴〵すなはちコナニヤおよびその兄弟きやうだいシマヤ、ネタンエル並ならびにハシヤビヤ、ヱイエル、ヨザバデなども綿羊ひつじ五千せん牛うし五百ひやくをレビ人びとに餽おくりて逾越すぎこしの祭物さいもつとなす

10 是かくのごとく献祭つとめの事こと備そなはりぬれば王わうの命めいにしたがひて祭司さいし等たちはその擔任場もちばに立たちレビ人びとはその班列くみに循したがひ居をり 11 やがて逾越すぎこしの物ものを宰ほふりければ祭司さいしその血ちをこれが手てより受うけて洒そゝげりレビ人びとその皮かはを剝はげり 12 かくて燔祭はんさいの物ものを移うつして民たみの人々ひと〴〵の父󠄃祖ふその家いへの區分󠄃わかれに付わたしてヱホバに献さゝげしむモーセの書ふみに記しるされたるが如ごとし其その牛うしに行おこなふところも亦また是かくのごとし 13 而しかして例規さだめのごとくに逾越すぎこしの物ものを火ひにて炙あぶりその他ほかの聖󠄃物せいぶつを鍋なべ釜󠄃かま鼎かなへなどに烹にて一切すべての民たみの人々ひと〴〵に奔はせ配󠄃くばれり 14 かくて後のちかれら自身みづからのためと祭司さいし等たちのために備そなふ其そはアロンの子孫しそんたる祭司さいし等たちは燔祭はんさいと脂あぶらを献さゝげて夜よるに入いりたればなり是これに因よりて斯かくレビ人びと自分󠄃みづからのためとアロンの子孫しそんたる祭司さいし等たちのために備そなふるなり 15 アサフの子孫しそんたる謳歌者うたうたふもの等どもはダビデ、アサフ、ヘマンおよび王わうの先見者せんけんしやヱドトンの命めいにしたがひてその擔任場もちばに居をり門もんを守まもる者等ものどもは門々もん〳〵に居をりてその職務つとめを離はなるるに及およばざりき其そはその兄弟きやうだいたるレビ人びとこれがために備そなへたればなり〘655㌻〙
 850㌻ 

16 斯かくのごとく其その日ひヱホバの献祭つとめの事ことことごとく備そなはりければヨシア王わうの命めいにしたがひて逾越節󠄄すぎこしのいはひを行おこなひヱホバの壇だんに燔祭はんさいを献さゝげたり 17 即すなはち其處そこに來きたれるイスラエルの子孫ひと〴〵その時とき逾越節󠄄すぎこしのいはひを行おこなひ七日なぬかの間あひだ酵たねいれぬパンの節󠄄いはひを行おこなへり 18 預言者よげんしやサムエルの日ひより以來このかたイスラエルにて是かくのごとくに逾越節󠄄すぎこしのいはひを行おこなひし事ことなし又󠄂またイスラエルの諸王しよわうの中うちにはヨシアが祭司さいしレビ人びとならびに來きたりあつまれるユダとイスラエルの諸人ひと〴〵およびヱルサレムの民たみとともに行おこなひし如ごとき逾越節󠄄すぎこしのいはひを行おこなひし者もの一人ひとりもあらず 19 この逾越節󠄄すぎこしのいはひはヨシアの治世ぢせいの十八年ねんに行おこなひしなり

20 是かくのごとくヨシア殿みやをととのへし後のちエジプトの王わうネコ、ユフラテの邊󠄎ほとりなるカルケミシを攻擊せめうたんとて上のぼり來きたりけるにヨシアこれを禦ふせがんとて出いで往󠄃ゆけり 21 是こゝにおいてネコ使󠄃者ししやをかれに遣󠄃つかはして言いふユダの王わうよ是これあに汝なんぢの與あづかる所󠄃ところならんや今日こんにちは汝なんぢを攻せめんとには非あらず我わが敵てきの家いへを攻せめんとするなり神かみわれに命めいじて急󠄃いそがしむ神かみわれとともにあり汝なんぢ神かみに逆󠄃さからふことを罷やめよ恐おそらくは彼かれなんぢを滅ほろぼしたまはんと 22 然しかるにヨシア面かほを轉かへして去さることを肯うけがはず却かへつてこれと戰たゝかはんとて服󠄃裝すがたを變かへ神かみの口くちより出いでしネコの言ことばを聽きゝいれずしてメギドンの谷たにに到いたりて戰たゝかひけるが 23 射󠄂手いての者等ものどもヨシア王わうに射󠄂い中あてたれば王わうその臣僕しもべどもにむかひて我われを扶たすけ出いだせ我われ太痍いたでを負󠄅おふと言いへり 24 是こゝにおいてその臣僕しもべ等どもかれをその車くるまより扶たすけおろし其その引ひかせたる次󠄄つぎの車くるまに乘のせてヱルサレムにつれゆきけるが遂󠄅つひに死しにたればその先祖せんぞの墓はかにこれを葬はうむりぬユダとヱルサレムみなヨシアのために哀かなしめり 25 時ときにヱレミヤ、ヨシアのために哀あい歌かを作つくれり謳歌うたうたふ男をとこ謳歌うたうたふ女をんな今日こんにちにいたるまでその哀あい歌かの中うちにヨシアの事ことを述󠄃のべイスラエルの中うちに之これを例れいとなせりその詞ことばは哀あい歌かの中うちに書しるさる 26 ヨシアのその餘ほかの行爲わざそのヱホバの律法おきてに錄しるされたる所󠄃ところにしたがひて爲なせし德とく行かう 27 およびその始終󠄃しじうの行爲わざなどはイスラエルとユダの列王れつわうの書ふみに記しるさる
 851㌻ 

第36章

1 是こゝにおいて國くにの民たみヨシアの子こヱホアハズを取とりヱルサレムにてその父󠄃ちゝにかはりて王わうとならしむ 2 ヱホアハズは二十三歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて三月󠄃みつきが間あひだ世よを治をさめけるが〘656㌻〙 3 エジプトの王わうヱルサレムにて彼かれを廢はいし且かつ銀ぎん百ひやくタラント金かね一タラントの罰ばつ金きんを國くにに課くわせり 4 而しかしてエジプトの王わうネコ彼かれの兄弟きやうだいエリアキムをもてユダとヱルサレムの王わうとなして之これが名なをヱホヤキムと改あらためその兄弟きやうだいヱホアハズを執とらへてエジプトに曳ひきゆけり

5 ヱホヤキムは二十五歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて十一年ねんの間あひだ世よを治をさめその神かみヱホバの惡あしと視みたまふことを爲なせり 6 彼かれの所󠄃ところにバビロンの王わうネブカデネザル攻せめのぼりバビロンに曳ひきゆかんとて之これを杻械かせに繋つなげり 7 ネブカデネザルまたヱホバの家いへの器具󠄄うつはものをバビロンに携たづさへゆきてバビロンにあるその宮みやにこれを藏をさめたり 8 ヱホヤキムのその餘ほかの行爲わざその行おこなひし憎にくむべき事等ことどもおよびその心こゝろに企たくみし事ことなどはイスラエルとユダの列王れつわうの書ふみに記しるさる其その子こヱホヤキンこれに代かはりて王わうとなる

9 ヱホヤキンは八歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて三月󠄃みつきと十とを日かの間あひだ世よを治をさめヱホバの惡あしと視みたまふ事ことを爲なしけるが 10 歳としの歸かへるにおよびてネブカデネザル王わう人ひとを遣󠄃つかはして彼かれとヱホバの室いへの貴たふとき器皿うつはものとをバビロンに携たづさへいたらしめ之これが兄弟きやうだいゼデキヤをもてユダとヱルサレムの王わうとなせり

11 ゼデキヤは二十一歳さいの時とき位くらゐに即つきヱルサレムにて十一年ねんの間あひだ世よを治をさめたり 12 彼かれはその神かみヱホバの惡あしと視みたまふ事ことを爲なしヱホバの言ことばを傳つたふる預言者よげんしやヱレミヤの前󠄃まへに身みを卑ひくくせざりき 13 ネブカデネザル彼かれをして神かみを指さして誓ちかはしめたりしにまた之これにも叛󠄃そむけり彼かれかくその項うなじを强こはくしその心こゝろを剛愎かたくなにしてイスラエルの神かみヱホバに立たちかへらざりき
 852㌻ 
14 祭司さいしの長等をさたちおよび民たみもまた凡すべて異邦󠄆人いはうじんの中うちにある諸もろ〳〵の憎にくむべき事わざに傚ならひて太甚はなはだしく大おほいに罪つみを犯をかしヱホバのヱルサレムに聖󠄃きよめ置おきたまへるその室いへを汚けがせり 15 其その先祖せんぞの神かみヱホバその民たみとその住󠄃所󠄃すみかとを恤あはれむが故ゆゑに頻しきりにその使󠄃者つかひを遣󠄃つかはして之これを諭󠄄さとしたまひしに 16 彼かれら神かみの使󠄃者つかひ等たちを嘲󠄂あざけり其その御み言ことばを輕かろんじその預言者よげんしや等たちを罵のゝしりたればヱホバの怒いかりその民たみにむかひて起󠄃おこり遂󠄅つひに救すくふべからざるに至いたれり

17 即すなはちヱホバ、カルデヤ人びとの王わうを之これに攻せめきたらせたまひければ彼かれその聖󠄃所󠄃せいじよの室いへにて劍つるぎをもて少者わかきものを殺ころし童男わらべをも童女わらはめをも老人おいびとをも白髮しらがの者ものをも憐あはれまざりき皆みなひとしく彼かれの手てに付わたしたまへり 18 神かみの室いへの諸もろ〳〵の大小だいせうの器皿うつはものヱホバの室いへの貨財くわざい王わうとその牧伯等つかさたちの貨財くわざいなど凡すべて之これをバビロンに携たづさへゆき 19 神かみの室いへを焚やきヱルサレムの石垣いしがきを崩󠄃くづしその中うちの宮殿みや〳〵を盡こと〴〵く火ひにて焚やきその中うちの貴たふとき器うつはを盡こと〴〵く壞そこなへり〘657㌻〙 20 また劍つるぎをのがれし者等ものどもはバビロンに擄とらはれゆきて彼處かしこにて彼かれとその子等こらの臣僕しもべとなりペルシヤの國くにの興おこるまで斯かくてありき 21 是これヱレミヤの口くちによりて傳つたはりしヱホバの言ことばの應おうぜんがためなりき斯かくこの地ち遂󠄅つひにその安息あんそくを享うけたり即すなはち是これはその荒あれをる間あひだ安息あんそくして終󠄃つひに七十年ねん滿みちぬ

22 ペルシヤ王わうクロスの元年ぐわんねんに當あたりヱホバ曩さきにヱレミヤの口くちによりて傳つたへたまひしその聖󠄃言みことばを成󠄃なさんとてペルシヤ王わうクロスの心こゝろを感動かんどうしたまひければ王わうすなはち宣命みことのりをつたへ詔書せうしよを出いだして徧あまねく國こく中ちうに吿示つげしめして云いはく 23 ペルシヤ王わうクロスかく言いふ天てんの神かみヱホバ地上ちじやうの諸國しよこくを我われに賜たまへりその家いへをユダのエルサレムに建󠄄たつることを我われに命めいず凡およそ汝なんぢらの中うちもしその民たみたる者ものあらばその神かみヱホバの助たすけを得えて上のぼりゆけ〘658㌻〙
 853㌻